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・ゆっくりおさんぽしよう(ほのぼの)
スリスリ 【close】
しおりを挟む弾けそうな愛おしさのままに抱きしめたかったけど、片手がふさがっている。
だから代わりに優兄のつむじに鼻先をくっつけた。
左右におもいっきりスリスリする。犬みたいだと思いながらもやめられない。
「うわっ、すっげぇふかふか……! 気持ちいい……いい匂いっ……!」
ちょっと涙ぐんでるって気づかれたくなくて、ふざけてるフリ。すりすりすればするほど、目頭がじんじんする。
「せんちゃん」
「ん?」
「おうち帰ったらいっぱいナデナデしてあげるね。今日付き合ってくれたご褒美」
「やったっ!」
優兄がやさしく微笑んでくれるこの時間を守りたい。強く思った。
変化していくもの達のなかで、オレと優兄の関係だけはずっとずっと変わらないでいたい。
──いつもと同じ。
オレはこれから、ただそれだけのことを守り抜く。そう強く誓った。
【close】
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