白い宮田きゅんも黒い宮田きゅんもどっちも大好きすぎてボクはもうヘンタイです!

雨宮くもり

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18 大ピンチです!

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(ボクも寝よ……、仲良く添い寝しちゃお……うひひっ! でもその前に……)


 半分だけお目覚めのモノをひとまずおさめるために、おトイレを目指した。

 でもスイートルームは相変わらず広すぎる。部屋が多すぎてどれがどこへ続く扉なのか分からない。とりあえず片っ端から開いてみる。
 魅惑のベッドルーム、廊下、ドレスルーム、廊下、マッチョ、書斎っぽい部屋、廊下。


「……ん?」

 一瞬、ムッキムキな物体が見えたような──。


「まあまあ! どんなに高級なホテルでもオバケの一つや二つぐらい出るさー! あはははー! そんなことよりおトイレどーこだっ! ここかなっ!?」

 開け放った扉の先でボクを待っていたのは、今にも弾けてしまいそうなほどピチピチに張った大胸筋。
 白衣におさまりきらない極太の腕。

「誰がバケモノですって? 失礼しちゃうわね」

 ねっとりとしたオネェ口調。

「ギャわあああああ!!!」

 いじわるそうに微笑んでいたのはムキムキマッチョ白衣こと、尾花沢先生だった。
 

「おばばばばばばああああああ!?!?」

「誰がオババよ! つーか、大声出しちゃダメよっ! 徹ちゃまに気づかれちゃう」

 どうして先生がここにいるんだと聞くことも忘れ、とっさに背中を向けてしまったのがいけなかった。
 あっという間にボクの頭は先生の丸太のような上腕筋にすっぽりと捕われ、お口はうちわのような手のひらでふさがれる。


「ぅぐうううーーーー!!!!」

「悪く思わないでちょーだいっ! 旦那様にアンタを捕獲したら、執事として再雇用してやるって言われたのよ! 千載一遇待ったなしのチャンスなんだからっ」

「ほふぅ!?」

「そもそもあたしはね、ごま塩みたいなガキの監視なんかより、岩泉様みたいなシブくてイケてるナイスなおじさまにアレコレと指導されながらあくせく汗を流したいのよぉおおおお!!」


 いつも毒舌ドライな先生が『岩泉様』と発する瞬間だけはやけに乙女で積極的。
 もしかしなくても恋をしてる模様だろう。

 筋トレのしすぎで執事をクビになって、宮田くんを監視する係として左遷されても、尾花沢先生的には執事業に戻りたいってことなのか。

 だから保健室の先生として厳しすぎるというか、粗塩擦り込み対応だったのか──。
 

「つーか、アンタッ! 執事見習いとして屋敷潜入して、あたしの岩泉様に気に入られてたんですって!? エロガキのくせにふざけんじゃないわよぉおおおおお!!!」


 恋するアナコンダの締め付け攻撃はあまりにも屈強。
 ぎりぎりぎりぎりと筋繊維がきしむ音と、ゴリゴリゴリゴリと骨がきしむ音のアンサンブル。

「アンタなんか旦那様にえげつないお仕置きされちゃいなさいっ!」

「んぐふあああ! あたま、割れちゃうううう! ぐびぃいいい、くび、折れりゅうううう──ウッ!」

 首の付け根から今まで聞いたこともないほどの不穏でヤバい音がした瞬間、ボクの意識は見事に強制シャットダウンされてしまったのだった。


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