白い宮田きゅんも黒い宮田きゅんもどっちも大好きすぎてボクはもうヘンタイです！

15 執事見習いになりました！

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　翌朝、いつものようにマスクとメガネをすっぽりと装着して執事モードに入ろうとしたとき、岩泉さんが声をかけてきた。

「今日はお庭の水やりから始めてください」

「え？」

　宮田くんへの謝罪の気持ちを込めて、部屋のベッドメイキングから始めようとしていたボクは拍子抜け。

「旦那さまが坊っちゃんにお話があるそうです。お部屋にはしばらく近づいてはいけませんよ」

　常に優しくてマイルドな岩泉さんの雰囲気が、今日はちょっと違った。胡椒を入れすぎたカルボナーラみたいに、粒粒のピリピリを感じる。

　なんだか怖い──けど、めちゃくちゃ良いことを聞いてしまった。

　

　ボクは空っぽのジョウロを片手にお庭ではなく、廊下を奥へ奥へと進んだ。

　宮田くんのお部屋のドアは、ビターチョコレートみたいにツヤツヤしてキレイ。ボクが毎日丁寧に磨いているから輝きが増しているのだ。

（宮田きゅん……）

　そこにナメクジのようにべったりくっついて、当然のように聞き耳をたててみる。

　なにも聞こえない──っていうか、ボクの心臓がバクバク鳴ってる音が大きすぎて邪魔だ。

　イケナイことをしている。
　バレたらクビかも。

　でも、下心がウヒウヒと踊る。

　どんな話が聞けてしまうのだろう。
　期待を胸に目を閉じていたときだった。


「──お前は誰だ」


　部屋ではない方から聞こえた。