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14 恋の終わり??
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恋が終わってしまうと、気分ががっくり落ちたり、食欲が無くなったりするものだって、なんとなくイメージしていた。
でも、ボクの場合は違った。
「んんっ……は、ふっ……ン!」
パンツを投げ捨ててベッドに入って、自分の気持ちいいところを探した。爆発しそうな想いを慰めるにはこうするしかなかった。
「やんっ……うう、……きもちいい……ッ」
左手という不器用な恋人は、そそり立ったものをやさしくスリスリしてくれる。
ボクの思い通りに動いてくれる右手という恋人は、中指を駆使してもどかしくボクの内側をくすぐる。
「はー……ああ……あ、くぅうううッ!」
前と後ろの同時フィニッシュ。
「……っは、ふぅーー、ふはああっ……」
こういうのっていっぱいやりすぎると死ぬんだっけ、と考えながら何度も何度もイクのは自殺なのかもしれない。
一人きりの気持ちよさに飲み込まれながら死ぬ──。
理想的じゃないけど、それもいいかもしれない。
だって、ボクを死ぬほど抱いてくれる人はもういない。
ボクの運命の恋は終わっちゃったんだもの。
(……宮田きゅん……は、ただのおともだち……ともだち……ともだちでもいいけど……やっぱり……やっぱり……)
衝動のままにこみあげる涙をまくらに押し付けてグリグリするのも飽きた。
(好きなのに……手がとどかないなんて……)
ボクの想いがしみこみすぎた綿のまくらは、すっかり潰れてぺしゃんこ。
まるでボクのメンタルみたい。
もう二度と膨らむことはないんだろう。
(ああ……鬱だ……もっかいシよ……)
何度でも膨らんじゃうのは下半身だけですよ。ハハハ。
なんでボクってこんなにエロいんだろう。バカみたいだ。
バカだ。
しょうがないか、もともとおバカだから。ナチュラルボーンバカだから。
「ヘヘッ!」
自虐いっぱいに笑って寝返りを打とうとしたときだった。
まるで屋根に隕石が激突したような音と振動でベッドが弾み、「地震!?」と思いながら慌てて飛び起きる。
スマホに飛びついて震度を調べようとしたとき、締め切ったカーテンの向こうでなにか音がした。
コツコツコツ、と。
カラスが窓ガラスをつついているみたいな音。
(なんだろ……)
ドキドキしながら、とりあえずパンツをはいた。
そして横目で時計を見た。深夜2時。
そうこうしているうちに、またコツコツ。
「──ワタシだ、アイス」
カラスの鳴き声にしては日本語すぎる。
幽霊だったら窓をすり抜けて入ってくればいい。
いや、そもそもボクのことを『アイス』と呼ぶのは一人だけだ。
でも、ボクの場合は違った。
「んんっ……は、ふっ……ン!」
パンツを投げ捨ててベッドに入って、自分の気持ちいいところを探した。爆発しそうな想いを慰めるにはこうするしかなかった。
「やんっ……うう、……きもちいい……ッ」
左手という不器用な恋人は、そそり立ったものをやさしくスリスリしてくれる。
ボクの思い通りに動いてくれる右手という恋人は、中指を駆使してもどかしくボクの内側をくすぐる。
「はー……ああ……あ、くぅうううッ!」
前と後ろの同時フィニッシュ。
「……っは、ふぅーー、ふはああっ……」
こういうのっていっぱいやりすぎると死ぬんだっけ、と考えながら何度も何度もイクのは自殺なのかもしれない。
一人きりの気持ちよさに飲み込まれながら死ぬ──。
理想的じゃないけど、それもいいかもしれない。
だって、ボクを死ぬほど抱いてくれる人はもういない。
ボクの運命の恋は終わっちゃったんだもの。
(……宮田きゅん……は、ただのおともだち……ともだち……ともだちでもいいけど……やっぱり……やっぱり……)
衝動のままにこみあげる涙をまくらに押し付けてグリグリするのも飽きた。
(好きなのに……手がとどかないなんて……)
ボクの想いがしみこみすぎた綿のまくらは、すっかり潰れてぺしゃんこ。
まるでボクのメンタルみたい。
もう二度と膨らむことはないんだろう。
(ああ……鬱だ……もっかいシよ……)
何度でも膨らんじゃうのは下半身だけですよ。ハハハ。
なんでボクってこんなにエロいんだろう。バカみたいだ。
バカだ。
しょうがないか、もともとおバカだから。ナチュラルボーンバカだから。
「ヘヘッ!」
自虐いっぱいに笑って寝返りを打とうとしたときだった。
まるで屋根に隕石が激突したような音と振動でベッドが弾み、「地震!?」と思いながら慌てて飛び起きる。
スマホに飛びついて震度を調べようとしたとき、締め切ったカーテンの向こうでなにか音がした。
コツコツコツ、と。
カラスが窓ガラスをつついているみたいな音。
(なんだろ……)
ドキドキしながら、とりあえずパンツをはいた。
そして横目で時計を見た。深夜2時。
そうこうしているうちに、またコツコツ。
「──ワタシだ、アイス」
カラスの鳴き声にしては日本語すぎる。
幽霊だったら窓をすり抜けて入ってくればいい。
いや、そもそもボクのことを『アイス』と呼ぶのは一人だけだ。
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