白い宮田きゅんも黒い宮田きゅんもどっちも大好きすぎてボクはもうヘンタイです！

12 宮田くん救出大作戦

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「宮田きゅーーーーんっっっ！！！！！」

　ボクは獲物を見つけたソンビのごとく、彼の背後に飛び出す。それとほぼ同時に海水パンツのヒモを解放した。

　ロングコートを翼のように思いっきり開いて脱ぎ去り、ボクのすべてをぼろんとむき出しにする。

　宮田くんがこちらに気づいて振り返るまで、約一秒。目と目を合わせるなんて贅沢はしない。

「宮田きゅんごめんねええっ！！」

　愛しい愛しい宮田くんの頭から胸までをロングコートですっぽりと包み込み、おもいっっっきり抱きしめた。

　約一ヶ月ぶりのハグ。
　しかもバックのハグ。

　なんてドラマチック。
　まるで愛のチカラで再会した恋人同士みたい。

　──宮田くんからしたら完全に二時間ドラマ冒頭の殺人シーンだけどね。

　
「宮田きゅん宮田きゅん宮田きゅーーーんっ！！！」

「……うぐ、あ、あ、アツっっっ！！！」

　ボクがぎゅうううっと抱きしめれば抱きしめるほど、宮田くんはコートのなかでもがく。釣り上げられた魚のようにバタバタとよく跳ねる。

「あぃ……やめっ、放してくれっ！！　暑いっ、熱い！」

　暑いでしょう。熱いだろう。アツいでしょうとも。
　なんてったってこのコートには『寒冷地用ホッカイロ 高熱マグマボンバー』20枚が左右みっちりと貼ってある。
　包み込んだだけで、灼熱地獄な蒸し風呂のできあがり。


　尾花沢先生は言っていた。


　──「徹ちゃまにとって熱と愛は毒なの。悪魔を呼び出す猛毒ね」
　──「そしてあんたは弄ばれる。良いことなんて一つもありゃしない」


　良いことなんて──ある。絶対に。
　一つも無いなんて認めない。