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11 不条理かよ
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しおりを挟む「もぉいぎでいげなぃいいい!!! じぬじぬじぬぢぬぅうううう!!!!」
「はいはい。死ぬ死ぬって自分で言っちゃうヤツほどなかなか死なないものよ。世の中って不条理ねぇ」
「みゃヤだぁあああああああ!!!! むじざれだぐなぃいいいい!!!!」
「……あたしの話はさっきから思いっきり無視されてんですけど? これも不条理ってか?」
尾花沢先生は大きくため息をつき、サラダチキンの切れ端をボクのお口に強制的に詰め込んできた。
ものすごくしょっぱい──のは、ボクの涙のせいか。遅れてやってきたバジルのいい香りが傷付いた心を包み込んでくれる。
「あんた昨日はお楽しみだったんでしょ? 良かったじゃない、たった一晩いい夢見れたんだから」
「ふぇ?」
なんで先生がそれを──。
「あたしはね、宮田家の元執事なの。この学校に来てからはずっと徹ちゃまの行動監視をしているのよ。だからアンタ達のことはなんでもお見通しなわけ」
「ほ???」
白衣マッチョが執事──。
理解しがたい疑問につられ、噛みちぎったチキンが口先からぼろりとこぼれた。床に落ちる前にキャッチしたからセーフ。
「あんたは昨日、徹ちゃまの中にいる悪魔にまんまと弄ばれたの。あいつはとにかく徹ちゃまの邪魔をしたくてしょうがないのよ。昔っからそう」
「あ、あくま……?」
気づけば手のひらの上のチキンのカケラが邪悪な牙になったみたいにずっしり重い。
「暑さや体温の急上昇がトリガーになって悪魔の人格が表に出てきてしまう特異体質。心当たりあるでしょ?」
宮田くんのなかの悪魔。
もしかしなくても、乱暴で口の悪い黒宮くんのことだ──。
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