白い宮田きゅんも黒い宮田きゅんもどっちも大好きすぎてボクはもうヘンタイです!

雨宮くもり

文字の大きさ
上 下
40 / 84
10 ハジメテあげちゃいました※

3

しおりを挟む
◆ ◆ ◆



 翌日、広すぎるベッドで起きたら宮田くんはもういなかった。
 朝ごはんにはサンドイッチが用意されていた。いかにも写真映えしそうな茶色くてふかふかなベーコンレタスサンド。

 有り難くもぐもぐしながらお母さんに連絡したら「お友達の家に泊まったんでしょう?」と話が通っていて、びっくり。

 昨日のは本当に現実だったのかな──と、疑いつつ、天井からしたたる温水を浴びて時計を見たら11時過ぎ。


 このまま家に帰って学校はサボるという選択肢もあったけど、なんとなく気が乗らない。
 宮田くんがここにいないということは、いつものように登校してるんじゃないか。


(宮田くんってやっぱり真面目で素敵だな……。逢いたいなぁ)


 すっかり恋しくなってしまった。
 
 
◆ ◆ ◆



 学校は昼休み真っ只中だった。

 目立たないようにそーっと教室に入ったボクは、思わず「ああ」と声を出してしまった。

 またボクの席を占領して昼ごはんを食べてるやつらがいたのだ。
 いつもボクがほっぺをくっつけているところに堂々と尻を下ろし、ギャハギャハと笑い声をあげている。口からはパンくずがぼろぼろ。

(しまった……。どうしよう……)

 行き場がないまま、とりあえずカバンをロッカーに入れて意味もなく中身を整理して時間稼ぎをする。

(いやいや、こんなことをしてる場合じゃない。宮田くんを探さなくちゃ……)

 自分の目的を思い出し、決意とともに顔をあげたときだった。


 目の前を通り過ぎた、すらりと高い影。

 嗅ぎ覚えのある雅な残り香に、襟足のあたりがぞくりと逆立った。触れられてないのに気持ちいい──昨日の夜の感触がありありと蘇る。


(やっぱり来てた……!)

 
 思わずその肩に手をのばし、『宮田くん』と声をかけようとしたが、指は虚空を撫で、声もうまく出なかった。
 肝心なときにひょっこりしやがるコミュ障気質が憎らしい。

 けれど、さすが宮田くん。
 艷やかな瞳は些細なことも見逃しはしない。ハッと見開き、振り返ってくれる。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

初心者オメガは執着アルファの腕のなか

深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。 オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。 オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。 穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

親衛隊は、推しから『選ばれる』までは推しに自分の気持ちを伝えてはいけないルール

雨宮里玖
BL
エリート高校の親衛隊プラスα×平凡無自覚総受け 《あらすじ》 4月。平凡な吉良は、楯山に告白している川上の姿を偶然目撃してしまった。遠目だが二人はイイ感じに見えて告白は成功したようだった。 そのことで、吉良は二年間ずっと学生寮の同室者だった楯山に自分が特別な感情を抱いていたのではないかと思い——。 平凡無自覚な受けの総愛され全寮制学園ライフの物語。

毒/同級生×同級生/オメガバース(α×β)

ハタセ
BL
βに強い執着を向けるαと、そんなαから「俺はお前の運命にはなれない」と言って逃げようとするβのオメガバースのお話です。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

処理中です...