白い宮田きゅんも黒い宮田きゅんもどっちも大好きすぎてボクはもうヘンタイです！

7 王子様にも程がある

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　ホテルのスイートルームだった。しかも和室。


「ぎゃわわわわわわわっ……！」


　宮田くんの言ってた“付き合って”とは、あくまで“お友達”としてカフェとかお食事に付き合ってくれって意味だよねぇ──っていう哀れなボクのしょんぼりフラグが、気持ちいいぐらいにへし折られてしまった。


　ホテルに付き合うってことは──そりゃあ、もう、それしかない。


「おっ、お、お邪魔します……」

「ゆっくりくつろいでくれたまえ」

「はへぇ」

　脇の下に大量の汗を感じながら畳のヘリを踏まないように歩く。
　慣れない空間にボクはすっかりかしこまっていた。子どもの頃におばあちゃんから言い聞かせられたマナーを厳守するのが精一杯。

　足元を凝視して、そろりそろり。
　そんなことばかりしているから、血が頭にのぼらない。
　緊張と興奮と貧血でふらりと卒倒しそう。


　ホテルのスイートルームといえばふつうは洋室なのに、和室というレベルの高さ。身震いしちゃう。

　シンデレラ気分が一気に源氏物語って感じだ。古典文学は授業だけで十分なのに。

　
（すんごいお部屋だなぁ……うちのリビングよりも広いかも……。畳のいい匂いが……ちょっと落ち着く……）


　全面ガラス張りで遥か遠くにビル群が見える。かなりの高層階なのに和室という贅沢な空間だ。不思議なぐらいに現実と切り離されている。
　天井は高く、家具といえば地味な座椅子と机以外ぐらい。とてもシンプルなつくり。

　けれど、ネコが通れるぐらいに細く開かれたふすまの奥には、べっこう色の光に包まれた寝室がちらり。
　本来は外国人VIP客のためなのか、寝床だけはベッドらしい。どんな体型の外国客でも手足を伸ばして眠れそうな大きくて広いベッドが見えた。

　つつましい和室の奥に、どーんと置かれている大きなベッド。その品の無さがビリビリと脳にクる。

　雅とエロ。
　これぞまさしく現代の源氏物語。知らんけど。


　──っていうかこんなとこ、ふつうの高校生が学校帰りに立ち寄っていい場所じゃない。