真っ白子犬の癒やし方

雨宮くもり

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11 癒える※

11-6 テルのこと

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「実はぼく、娼館で生まれました。そこで、娼館のみんなの子供として育てられました」

「え?」

「本当の両親の顔は知りません。ぼくを置いてどこかへ行ってしまったらしくて……」

「そうなのか……」

「はい。でも娼館のみんなはとってもいい人たちで……ぼくはいっぱいいっぱい愛情をそそいでもらいました」


 素直なテルのことをそれはそれはかわいがった人たちは、テルを自分たちと同じ世界に引き込もうとはしなかった。

 テルはとても頭のいい子だった。本が大好き──なかでも、魔法陣を眺めるのが大好きだった。『勉強さえすれば、きっと強力な魔法を使えるようになる』と将来を有望視された。

 そこでテルは白魔道士になる道を選んだ。
 学園の入学テストに好成績で合格し、成り手の少ない白魔道士を目指すのであれば、多額の学費がほとんどが免除される。
 テルにとって願ってもない条件だった。

 そしてテルはその年、一番の高成績で入学した。
 将来有望の逸材として庶民の出でありながら、西寮で貴族たちと一緒に過ごすことを許可された。中でもとても質の良い部屋に住むことを許された。


「でも……西寮の貴族の方々は……特にスフェーン様は、それが面白くなかったみたいで……。ぼくが娼館育ちだって知ったとたんに、嫌がらせを……」

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