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11 癒える※
11-5 行きたいです
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「テル……」
どんな言葉をかけていいのか分からなくて、抱きしめることしかできなかった。
オレがもっと話上手なら、いっぱい励ましたり慰めたりできるだろうに。
どんなに修行して強くなっても結局は自分の足りないところばかりが目について嫌になる──きっとテルも同じ気持ちなのだろう。
「……先輩」
「ん?」
「……ベッド、行きたいです」
テルは泣きながらオレの体にぎゅううっとしがみついてきた。
「いいのか?」
「はい」
「……」
数日前のようにテルを抱えあげてみる。記憶の中の重みよりもさらに軽くなった気がする。テルがどんな気持ちで勉強に打ち込んでいたのかと想像するだけで息が苦しくなる。
オレのベッドにテルをおろしてやったものの、このまま一緒に寝る気にはとてもなれなかった。
「せんぱい……」
オレが迷っていると察したのだろう。テルは静かに胸の前で指を組み、祈るように言った。
「ぼく、先輩にお話しなければいけないことがあります。……どうか、最後まで聞いてください……」
テルの細くて白い指は、凍えているみたいに細かく震えていた。
どんな言葉をかけていいのか分からなくて、抱きしめることしかできなかった。
オレがもっと話上手なら、いっぱい励ましたり慰めたりできるだろうに。
どんなに修行して強くなっても結局は自分の足りないところばかりが目について嫌になる──きっとテルも同じ気持ちなのだろう。
「……先輩」
「ん?」
「……ベッド、行きたいです」
テルは泣きながらオレの体にぎゅううっとしがみついてきた。
「いいのか?」
「はい」
「……」
数日前のようにテルを抱えあげてみる。記憶の中の重みよりもさらに軽くなった気がする。テルがどんな気持ちで勉強に打ち込んでいたのかと想像するだけで息が苦しくなる。
オレのベッドにテルをおろしてやったものの、このまま一緒に寝る気にはとてもなれなかった。
「せんぱい……」
オレが迷っていると察したのだろう。テルは静かに胸の前で指を組み、祈るように言った。
「ぼく、先輩にお話しなければいけないことがあります。……どうか、最後まで聞いてください……」
テルの細くて白い指は、凍えているみたいに細かく震えていた。
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