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10 光の矢
10-10 どうすれば
しおりを挟む(このままデタラメに走り続けてもいずれ捕まるっ、どうすればいい……)
たった一瞬の判断ミスで腕の中のテルを傷つけてしまうかもしれないと思うほど、焦る。
落ち着け落ち着けと自分に言い聞かせるほど息が上がる。
脳裏をよぎるのは、弟のことだった。
昔、村を襲ってきたモンスターにオレはなんの考えもなく斬りかかった。そして死にかけた。
あのとき、無鉄砲に戦うのではなく泣きじゃくる弟を抱きかかえて逃げていたら──弟は今も生きていたかもしれない。
小さい体をいっぱいに伸ばし、オレにおおいかぶさって守ってくれた弟は──。
「──先輩ッ!」
朦朧とし始めていたオレの意識を揺さぶったのは、テルの声だった。まばゆい光のように、狭まる視界を照らしてくれる。
「このまま東にむかって、その先の水路に飛び込んでください。スフェーン様は水が苦手なんです!!」
「分かったっ」
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