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10 光の矢
10-9 まだらの蛇
しおりを挟むあたりを見回すと、学校の裏庭らしき湿っぽい場所だった。
おそらく、昔使われていた地下倉庫にオレは捕まっていたのだろう。スフェーンはそこを自分の実験室として使っていたに違いない。
つくづく悪趣味な野郎だ。
舌を打ったそのとき、地響きと共にそれが地上へと這い上がってきた。
ぬらぬらと輝く大きな目玉のなかに浮かぶ鋭い瞳孔、にたりと笑っているように裂けた口元と杭のように太い牙。まるで何千年と生きた巨木のように重量感のある胴体。尻尾の尖端には鎌のように鋭利な針。
鮮やかな黄色と緑のまだら模様の大蛇──スフェーンが化けたものに違いなかった。
『死んじまえ!! ドブネズミどもッ!!』
「しっかり掴まってろよ、テルっ」
「はいっ!」
身を大きくくねらせて追いかけてくるフェーンをかわしつつ、一心不乱に走った。
足を踏み出すたびに背中からはどろりと血があふれる感触がして、気持ちが悪い。
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