真っ白子犬の癒やし方

雨宮くもり

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9 闇の中※

9-6 親睦

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「わたしは誇り高き西の寮長として、あのバカ犬とも親睦を深めてやってたんだよ」

「まさか……テルにもいろいろ飲ませてたんじゃねぇだろうな……?」

「テル? そんな名前だったっけ。もう忘れちゃったなぁ。いくらしつけてもギャンギャン泣き喚いて、せっかく飲ませてやったものを吐きまくるバカ犬なんて、いちいち覚えてらんないからなぁ」

「ふざけんなッ!!!」

「あ、そうだ。いいこと思いついた──」


 選んだ液体を元に戻し、スフェーンは横たわるオレの顔をのぞきこんできた。
 世にも美しい緑と黄色の入り混じった瞳は相変わらず焦点が合っていない。虚ろで冷たいままだ。
 それでも淡いピンク色の唇は愛らしく、半開き。ぽってりと膨れ、光を帯びているようなそこがゆっくりと迫ってくる。


「おい、──なにっ!?」


 不吉な予感に身構えた刹那、その唇が降ってきた。
 逃げることは許されずに呼吸をふさがれ、抵抗する間もなく服が脱がされていく。

「あはっ……立派な胸板だねぇ。いっぱい鍛えて筋肉つけたのに、なんの役にも立たないなんて可哀想」

「うるっ、せぇ……。それよりテメェ、テルになにしたんだっ!!?」

「覚えてないって言ってるでしょ? さすがドブネズミは犬以下の記憶力だね」

「なんだとっ──ぐぅ、ン!?」

 むきだしにされた胸の突起を強くねじられ、思わず腰が跳ねてしまった。
 爪の先で弾かれ、やさしく撫で回され、その間は頭が真っ白になり、なにもしゃべることができない。喉を締めながらガクガク震えてしまうばかりの自分が悔しい。

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