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9 闇の中※
9-5 この部屋は
しおりを挟む「ああ、そういえば、」
いかにも毒々しい紫色の液体が入った筒を選び取りながら、スフェーンは微笑む。
「犬、元気?」
「いぬ?」
「しらばっくれないでほしいなぁ。ちょっと前にキミたちの寮に迷い込んだ白い犬たよ。やさしくお世話してあげてるんでしょ?」
もしや、テルのことだろうか。
どうしてこんなクソ野郎がテルを──。
「このお部屋はねぇ、薄汚くて落ちこぼれのバカ犬の寝床だったんだ」
「なんだって……?」
俺の部屋に来るまで、テルは監獄のような場所で寝起きしていた──。
そういえば初めて話をしたとき、テルは『ゴミ箱の中でも眠れる』と言っていた。硬くて冷たい石のベッドに比べたら、ゴミ箱のほうが遥かにマシかもしれない。
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