真っ白子犬の癒やし方

雨宮くもり

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エピローグ

12-3 妄想が

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 ◆ ◆ ◆



「うぷっ」

 一気飲みした草汁が胃の中でちゃぷちゃぷいってる。手洗い場で口をすすぎ、部屋に戻ったときだった。


「──テル!?」


 ドアを開けてゾッとした。テルは部屋の真ん中に突っ立って、両鼻から血をだらだら流していたのだ。


「おい! どうした!? 大丈夫か!?」

「は、はひ……」

「まさか妙なやつらに襲われて殴られたとかじゃねぇだろな!?」

「やだなー、違いますよぉう」

 テルはなにやらヘラヘラしている。酔っ払っているみたいな──いや、酒なんてここにあるわけないし、テルが飲んでいるわけがない。


「……ちょっと、妄想が、だいぶはかどっちゃって……ぐふふ……」

「とりあえず、血拭けよ。紙、紙っ! って、昨日の夜使いすぎてもうねぇのか──」

「うへへへっ」

 紙を求めて戸棚を探し回っていると、背後にいるテルの気配が急に大きく膨張したような気がした。
 それに部屋の温度も少し下がったような──。
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