真っ白子犬の癒やし方

エピローグ

12-1 三ヶ月後

　スフェーンの退学が決まったのは、三ヶ月後のことだった。

　あいつはテル以外の生徒にも性的ないじめを繰り返し、人体実験同然に毒や薬を使いまくっていた。
　それをとがめられ、退学命令をあっさりと聞き入れた。反省なんてしていないのだろう。テルへの謝罪は一切無かった。


「あの野郎……もう一度会ったら絶対にぶん殴ってやろうと思っていたのに」

「はははっ。そんなことしたら退学処分になっていたのはキイチのほうだっただろうな」

　ツゲは穏やかに笑った。だが、瞳の奥は妙にギラついている。オレに何かうったえかけるような、意味深な視線。

「まさかお前……オレがスフェーンをぶん殴る前に手を回したんじゃねぇだろうな……？」

「ん？　なんのことだろうか。……なんの断りもなく私の唯一無二の親友をさらい、監禁し、毒を飲ませたクソ野郎に軽く復讐しただけさ」

「本当か？」

「私はお前に嘘をついたことはないよ」

　はい、と差し出されたのはグラスに入った妙な液体。目の前に置かれただけなのに猛烈な草のにおいが漂ってきて、ゲンナリした。
　ハーブティーはもう飲ませないとか言ってたくせに、やっぱり元通りに戻ってやがる。