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5 君の手
5-1 記憶
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◆ ◆ ◆
そうだ。
オレは以前にもテルに手を握られたことがある。
あれは、ツゲにバッサリと斬られたときだ。
あいつは黒魔道士志望なくせに剣術や人体解剖学も学んでいる。
だから人の斬り方がよく分かっている。
血が派手に吹き出しやすいポイントを狙いつつ、癒着が早く進むよう浅く斬る。
新入生を歓迎するための演劇の出し物のなかでの話だ。
フィクションだと思って見ていた舞台上で突如、兵士役の男が血をドバドバ吹き出し、めためたに斬られる。
うちの学園の趣味の悪い伝統行事。
下級生をビビらすためのデモンストレーションみたいなもの。
もちろん、その刃にはフェニックスの御加護がついている。
どんなに斬ったところで相手は死にはしないし、痛みもない。
だからツゲは余計に容赦がなかった。
目をらんらんと光らせながらオレに斬りかかってくるその姿は、いつもの冷静沈着な態度にはほど遠かった。血に飢えた殺人鬼か狂戦士そのもの──。
そうだ。
オレは以前にもテルに手を握られたことがある。
あれは、ツゲにバッサリと斬られたときだ。
あいつは黒魔道士志望なくせに剣術や人体解剖学も学んでいる。
だから人の斬り方がよく分かっている。
血が派手に吹き出しやすいポイントを狙いつつ、癒着が早く進むよう浅く斬る。
新入生を歓迎するための演劇の出し物のなかでの話だ。
フィクションだと思って見ていた舞台上で突如、兵士役の男が血をドバドバ吹き出し、めためたに斬られる。
うちの学園の趣味の悪い伝統行事。
下級生をビビらすためのデモンストレーションみたいなもの。
もちろん、その刃にはフェニックスの御加護がついている。
どんなに斬ったところで相手は死にはしないし、痛みもない。
だからツゲは余計に容赦がなかった。
目をらんらんと光らせながらオレに斬りかかってくるその姿は、いつもの冷静沈着な態度にはほど遠かった。血に飢えた殺人鬼か狂戦士そのもの──。
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