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1 白い子犬
1-5 ありがとうございます
しおりを挟む「さっさと入れ。今日からここがお前の居場所だ」
「ありがとうございます! ありがとうございます! ありがとうございます!」
耳のお次は頭を下げてぺこぺこぺこぺこ。ついにはヒザまでついて土下座しようとしている。
放っといたらおでこが真っ黒になるまで床に擦り付けまくるかもしれない。
「やめてくれよ、礼なんて。言われ慣れてねぇから照れちまう」
「はい! ありがとうございます!」
「……ったく……」
そうこうしている間にマジで床におでこをくっつけての「ありがとうございますっ!」が始まった。
全身をモップ代わりにして掃除するのは結構だが、このペースじゃ朝が来る頃には全身真っ黒になっちまうぞ。
オレはその細すぎる首根っこをひょいと持ち上げ、部屋の真ん中までテルを運んだ。
ローブのフードがちょうどよく手にフィットして、ヘタな旅行カバンよりよっぽど持ちやすかった。
「お前、めちゃくちゃ軽いなあ。腕一本でどこまでも運べそうだわ」
「嬉しいですっ!ありがとうございますっ!」
やれやれ。さすがはモップ改めカバンだ。オレの話をちっとも聞きやしない。
もしや、犬耳もラブリーなただの飾りなのだろうか。
嫌味はさておき、『お茶でも』とは言ったもののこの部屋に客人をもてなせるようなものが果たしてあっただろうか。
二つあるのはベッドだけ。
食事用のテーブルとイスはオレが使っているものしかない。
出窓の手前には勉強机があった気がするものの、ホコリまみれのガラクタに埋もれている。掘り起こすのはだいぶ重労働だ。
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