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ファイル.09 陰陽師が探す秘宝と幻の迷宮
ファイル.09 陰陽師が探す秘宝と幻の迷宮(5)
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「サキさん、素晴らしい能力です。まさか、まったく迷わずにここまでこれるとは思いませんでした」
涼子は大げさなリアクションをしながらサキを褒めた。
「ところで、あなたは本当は何者なんですか? 答えてもらいますよ」
九十九が涼子のことを睨みつけながら問いかけた。
「……気づいていたのですか?」
「私はカンが良いんです。あなたが悪意を持って私に仕事を依頼をしてきたのはうすうす気づいていました。今村涼子というのも偽名でしょう? だけど、ここであなたを止めないと大変なことになる予感がしたので、あえて依頼を受けたんです」
「ふふ、素晴らしいですね。君みたいに有能な人間は大好きです。今からでも私の組織に欲しいくらいですよ。まったく、なぜ君のような人物を組織から追い出したのか? 本当に、私の部下は無能ばかりで頭が痛くなりますね」
「あなたは、まさか?」
「そう。私は君たちのよく知っている組織のトップです。私はね、ここに収めてある日本の三大怪異の遺骸がどうしても欲しかったんですよ。彼らの遺骸を取り込んで、人間の限界を超える。それが、私の長年の夢でしたから」
「なるほど、それなら、なおさらあなたに財宝を渡すわけにはいかないですね」
「やめておきなさい。今日の私は機嫌がいいので、このまま何もしないなら、見逃してあげますよ」
「いくらあなたがこの遺骸を使って力を手に入れようと、サキがいなければこの迷宮から脱出できないはずです。三大怪異の遺骸がここに安置されていた理由がよくわかります」
「ふふ、九十九君。私がその気になれば、この場でサキ君を洗脳して、私の思い通りに動かすこともできるのですよ。そこをよく考えて行動することです」
「くっ!」
「グアアアアア」
その時、龍神が現れ、ボスに噛みついた。
「ほう、あなたは藤原頼通ですね。ふふ、伝承のとおり、龍神となって宝物を守っていましたか。死してなお、宝物を守るとは、大した男ですね。だが、私があなたの対策をしていないとでも?」
ボスは龍神の体内に黒い真珠のようなものを投げ入れた。
しばらくすると、龍神は苦しみ出した。
「ふふ、それは龍殺しの宝珠です。頼通さん、龍の姿になったのが仇となりましたね。あなたが龍の姿となっているのはわかっていましたから」
『龍の神よ、我が依代に宿り、その力を解放したまえ』
九十九は弱っていた龍神をこっそり自身の依代に移した。
『頼通様、毒から回復するまで、しばし依代の中で休んでいてください』
『すまない。そうさせてもらうよ』
涼子は大げさなリアクションをしながらサキを褒めた。
「ところで、あなたは本当は何者なんですか? 答えてもらいますよ」
九十九が涼子のことを睨みつけながら問いかけた。
「……気づいていたのですか?」
「私はカンが良いんです。あなたが悪意を持って私に仕事を依頼をしてきたのはうすうす気づいていました。今村涼子というのも偽名でしょう? だけど、ここであなたを止めないと大変なことになる予感がしたので、あえて依頼を受けたんです」
「ふふ、素晴らしいですね。君みたいに有能な人間は大好きです。今からでも私の組織に欲しいくらいですよ。まったく、なぜ君のような人物を組織から追い出したのか? 本当に、私の部下は無能ばかりで頭が痛くなりますね」
「あなたは、まさか?」
「そう。私は君たちのよく知っている組織のトップです。私はね、ここに収めてある日本の三大怪異の遺骸がどうしても欲しかったんですよ。彼らの遺骸を取り込んで、人間の限界を超える。それが、私の長年の夢でしたから」
「なるほど、それなら、なおさらあなたに財宝を渡すわけにはいかないですね」
「やめておきなさい。今日の私は機嫌がいいので、このまま何もしないなら、見逃してあげますよ」
「いくらあなたがこの遺骸を使って力を手に入れようと、サキがいなければこの迷宮から脱出できないはずです。三大怪異の遺骸がここに安置されていた理由がよくわかります」
「ふふ、九十九君。私がその気になれば、この場でサキ君を洗脳して、私の思い通りに動かすこともできるのですよ。そこをよく考えて行動することです」
「くっ!」
「グアアアアア」
その時、龍神が現れ、ボスに噛みついた。
「ほう、あなたは藤原頼通ですね。ふふ、伝承のとおり、龍神となって宝物を守っていましたか。死してなお、宝物を守るとは、大した男ですね。だが、私があなたの対策をしていないとでも?」
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しばらくすると、龍神は苦しみ出した。
「ふふ、それは龍殺しの宝珠です。頼通さん、龍の姿になったのが仇となりましたね。あなたが龍の姿となっているのはわかっていましたから」
『龍の神よ、我が依代に宿り、その力を解放したまえ』
九十九は弱っていた龍神をこっそり自身の依代に移した。
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『すまない。そうさせてもらうよ』
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