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ファイル.09 陰陽師が探す秘宝と幻の迷宮

ファイル.09 陰陽師が探す秘宝と幻の迷宮(2)

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 陰陽師の名家である今村家では先祖代々、宇治の宝蔵の場所を探しているという。
 そして、暗躍してきたあの組織もまた、三大怪異の遺骸を手に入れるために、その場所をずっと探していた。

「サキ君、宇治市の地図をネットからダウンロードして印刷してくれ。とりあえず君のダウジングで宇治の宝蔵の入口を見つけてみよう」

「はいはーい。今準備しますねー」

 サキは宇治市の市街地の地図をダウンロードすると、プリンターでA3サイズの用紙に印刷して、応接室のテーブルの上に広げた。
 そして、地図の上にダウジングペンデュラムを掲げて、意識を集中させた。

 涼子は、何故かサキがダウジングを行う様子を一挙動も逃さないように注視していた。

 サキのダウジングペンデュラムは、朝日山の上でくるくると回転した。

「なるほど、朝日山に入口があるのですか。これは盲点でした。確かにここなら平等院からそれほど離れてはいないですからね」

 涼子が驚いたような顔を見せる。

 しかし、九十九は、ペンデュラムが反応した時に、彼女がわずかにほくそ笑んだのを見逃さなかった。

「宇治の宝蔵の入口の場所はわかりました。どうしましょう、早速現地に向かいますか?」

「いえ、お互いに準備がありますから、日を改めましょう。私は九十九先生の都合の良い日で構いませんので、準備が出来たら連絡をください」

「わかりました。こちらの準備が出来たら連絡しますね」
 
 三日後、九十九たちは宇治市の京阪宇治駅で涼子と合流した。
 今回、九十九の他にサキとナージャも同行していた。

 季節は秋に差し掛かっていたが、まだまだ気温は高く、九十九たちは蒸し暑さを感じていた。

「九十九さん、朝日山の入口にある興聖寺へは、ここから歩いて二十分ほどです。そこから十分ほど山道を登ると山頂に到着します。九十九さんたちが大丈夫なら、ここから歩いていこうと思うのですが?」

「私たちは大丈夫です。健康のためにも、ここは歩いていきましょう」

「わかりました。途中、山道が険しいところもあるようなので、気をつけていきましょう」

 四人は、興聖寺というお寺の駐車場までやってきた。

「ここから朝日山へと登ることが出来ます。その前に、サキさんのダウジング能力で、この山のどの辺に入口があるのか、見当をつけませんか?」

「わかりました。私がこの山の地形図をスマホに表示させます。それをサキ君にダウジングしてもらいましょう」

 九十九は、朝日山の地形図をスマホに表示した。
 サキのダウジングペンデュラムは、朝日山の頂上付近で反応を示した。

「朝日山の山頂には、観音堂があって、中に観音像が安置されているそうです。行ってみましょう」

 朝日山は標高が低い山だが、それでも山道は険しく、それなりに登るのが大変であった。

「トレッキングシューズを履いてきて正解でしたね」

「山道を通る時は普通の靴では足元が滑るからね。山を登る時は必須だよ」
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