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ファイル.08 サキとナージャの異世界冒険
ファイル.08 サキとナージャの異世界冒険(3)
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次の日の早朝、二人は理事長の所有するテナントビルにやってきた。
このテナントビルは高円寺駅北口のすぐ近くにあり、こじんまりとしているが、建築年数が経過している割にはきれいな外観をしていて、多くの企業がオフィスとして利用していた。
まだ出勤には早い時間なので、ビルの中に誰もいなかった。
「あの後、もう一度理事長さんに確認したんだけど、この時間ならここで働いている従業員の人たちもまだ出社してこないから、自由に撮影していいって」
「よかったですね、先輩。それじゃ私、カメラの準備しますよ」
「よろしくねー、なーちゃん」
ナージャはビデオカメラを取り出して、動画を撮影するための設定を始めた。
「そういえば、エレベーターに乗るとき、一人じゃないと駄目でしたよね? 移動は一人ずつやるとして、エレベーターの中の撮影はどうします?」
「あー、一人ずつなの忘れてたー。それじゃあ、エレベーターの中は私が撮影するよー」
「お願いします。あ、異世界に行く方法、もう一度確認しますか?」
「そうだねー。もう一回確認しようか」
「わかりました。じゃあ、説明していきますね」
ナージャはカバンからスマホを取り出すと、エレベーターで異世界に行く方法が書いてあるページを開いた。
「まず、エレベーターには必ず一人で乗ります。そして、エレベーターに乗ったまま、四階、二階、六階、二階、十階と移動します。この時、誰かがエレベーターに乗ってきたら失敗なんですけど、この時間なら誰もいないから大丈夫ですね」
「うん。今は私たちしかこのビルにはいないはずだから、そこは問題ないね」
「十階に着いたら、そのまま五階まで移動します。五階で、異世界の若い女の人がエレベーターに乗ってくるみたいです。でも、絶対に話しかけては駄目です。そのまま一階のボタンを押すと、何故かエレベーターが十階まで上がっていきます」
「確か、その人に話しかけちゃうと失敗しちゃうんだった。気をつけようねー」
「ええ、そして十階でエレベーターから降りると、外が異世界になっています」
「なーちゃん。説明ありがとー。ふふ、そんなに難しくないから一人でも出来そうだねー」
「ええ、途中で乗り込んでくる異世界の女の人が気になりますけどね」
このテナントビルは高円寺駅北口のすぐ近くにあり、こじんまりとしているが、建築年数が経過している割にはきれいな外観をしていて、多くの企業がオフィスとして利用していた。
まだ出勤には早い時間なので、ビルの中に誰もいなかった。
「あの後、もう一度理事長さんに確認したんだけど、この時間ならここで働いている従業員の人たちもまだ出社してこないから、自由に撮影していいって」
「よかったですね、先輩。それじゃ私、カメラの準備しますよ」
「よろしくねー、なーちゃん」
ナージャはビデオカメラを取り出して、動画を撮影するための設定を始めた。
「そういえば、エレベーターに乗るとき、一人じゃないと駄目でしたよね? 移動は一人ずつやるとして、エレベーターの中の撮影はどうします?」
「あー、一人ずつなの忘れてたー。それじゃあ、エレベーターの中は私が撮影するよー」
「お願いします。あ、異世界に行く方法、もう一度確認しますか?」
「そうだねー。もう一回確認しようか」
「わかりました。じゃあ、説明していきますね」
ナージャはカバンからスマホを取り出すと、エレベーターで異世界に行く方法が書いてあるページを開いた。
「まず、エレベーターには必ず一人で乗ります。そして、エレベーターに乗ったまま、四階、二階、六階、二階、十階と移動します。この時、誰かがエレベーターに乗ってきたら失敗なんですけど、この時間なら誰もいないから大丈夫ですね」
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「ええ、途中で乗り込んでくる異世界の女の人が気になりますけどね」
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