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ファイル.08 サキとナージャの異世界冒険
ファイル.08 サキとナージャの異世界冒険(1)
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サキとナージャは、とある洞窟の中に閉じ込められていた。
「うう、頭がぼーっとしてきた。私たち、もうダメなんですかねー。はあ、最後に先生とハグしたかったなー」
サキは、意識が飛びそうになるのを必死にこらえながら、ナージャを見つめていた。
(ごめんねなーちゃん。私についてこなければ、こんなことにはならなかったのに……)
二人の命運はつきようとしていた。
何故、二人はこんな目にあっているのか。
ここで時間を少しさかのぼってみよう。
◇◇◇
ブイチューバーとして活動しているナージャのアドバイスを受けて、サキは動画共有サイトキューチューブに九十九探偵事務所の公式チャンネルを開設した。
彼女は動画再生数を稼ぐために、異世界で動画を撮影することを思いついた。
「なるほど。それで、異世界にいって動画配信をしたいというわけだね?」
サキから相談を受けた九十九が大好物のコーヒーを飲みながら質問した。
「はい。よく、ネット小説なんかだと、異世界から動画を配信している作品があるんですよー」
「でも、異世界ではインターネット使えないから動画配信無理だよね?」
九十九は半分あきれた顔をしながらサキに問いかけた。
「そうなんですー。でも、ビデオカメラやスマホを持ち込めれば、動画撮影出来るじゃないですか。リアルタイム配信にこだわらなければいいんですよー」
サキは自信に満ちた顔で話している。
「いや、そもそも、異世界に行くのが無理なんじゃ?」
コーヒーカップを口につけてから、九十九が今回の計画のそもそもの問題点をサキに投げかけた。
「そこなんですけど、少し前に、エレベーターで異世界に行く方法がネットで流行ったんです。今回はそれで異世界に行きますよー」
「その方法は私も知ってるけど、本当に行けると決まったわけじゃ……」
「ふふ、先輩、私も撮影手伝いますよ」
二人の話を聞いていたナージャが横から口を出した。
「えー、なーちゃん優しい。ありがとー」
「というわけで、私たちはしばらく異世界に撮影に行きますねー」
「えー!?」
突然の申し出に九十九は驚きを隠せなかった。
「ちょうど夏休みなんで、いいですよねー、先生?」
「……わかったよ。二人で楽しんできてね」
九十九は渋々サキたちが異世界に行くことを認めた。
「やったー!」
「やりましたね、先輩。ずっと異世界に行きたいって言ってましたものね」
大喜びしているサキとナージャはハイタッチを交わした。
ナージャが九十九探偵事務所で働きだしてから、ナージャはサキのことを先輩と呼んでいる。
実際の年齢はナージャの方がずっと年上だが、見た目は、背の低い吸血鬼のナージャの方が若干だが若く見える。
サキはサキで、初めて自分の後輩ができたことに、喜びを隠せないでいた。
「うう、頭がぼーっとしてきた。私たち、もうダメなんですかねー。はあ、最後に先生とハグしたかったなー」
サキは、意識が飛びそうになるのを必死にこらえながら、ナージャを見つめていた。
(ごめんねなーちゃん。私についてこなければ、こんなことにはならなかったのに……)
二人の命運はつきようとしていた。
何故、二人はこんな目にあっているのか。
ここで時間を少しさかのぼってみよう。
◇◇◇
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彼女は動画再生数を稼ぐために、異世界で動画を撮影することを思いついた。
「なるほど。それで、異世界にいって動画配信をしたいというわけだね?」
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「でも、異世界ではインターネット使えないから動画配信無理だよね?」
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「そうなんですー。でも、ビデオカメラやスマホを持ち込めれば、動画撮影出来るじゃないですか。リアルタイム配信にこだわらなければいいんですよー」
サキは自信に満ちた顔で話している。
「いや、そもそも、異世界に行くのが無理なんじゃ?」
コーヒーカップを口につけてから、九十九が今回の計画のそもそもの問題点をサキに投げかけた。
「そこなんですけど、少し前に、エレベーターで異世界に行く方法がネットで流行ったんです。今回はそれで異世界に行きますよー」
「その方法は私も知ってるけど、本当に行けると決まったわけじゃ……」
「ふふ、先輩、私も撮影手伝いますよ」
二人の話を聞いていたナージャが横から口を出した。
「えー、なーちゃん優しい。ありがとー」
「というわけで、私たちはしばらく異世界に撮影に行きますねー」
「えー!?」
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「……わかったよ。二人で楽しんできてね」
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実際の年齢はナージャの方がずっと年上だが、見た目は、背の低い吸血鬼のナージャの方が若干だが若く見える。
サキはサキで、初めて自分の後輩ができたことに、喜びを隠せないでいた。
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