怪異探偵№99の都市伝説事件簿

安珠あんこ

文字の大きさ
上 下
62 / 90
ファイル.07 洋館に住む謎の少女と少年探偵団

ファイル.07 洋館に住む謎の少女と少年探偵団(3)

しおりを挟む
 四人は洋館の玄関までやってきた。

「思ったより、大きな洋館だねえ」

「こんにちはー。お邪魔しまーす」

 ガチャガチャ。

 浩太が玄関のドアを開けようとするが、鍵がかかっていて開かなかった。

「どうしよう、やっぱり、鍵がかかってる」

「とりあえず、建物の外をぐるっと回って、中に入れるところを探してみましょう」

「私たちなら、窓からでも入れるかもしれないしね」

 四人は洋館の周囲を回って、入口になる場所がないか確認していった。

「うーん。窓も閉まってるね」

「あ、見て。あそこ、窓が開いてる」

 バルコニーの中にある大きな窓が開いているのが見えた。

「本当だ。でも二階だよ。僕らじゃ届かないじゃん」

「それじゃ、別の入口を探すしかないね」

「ねえ、見て。あそこに倉庫があるよ。ハシゴがあれば、二階まで登れるんじゃない?」

 洋館の庭にある洋風のガーデンの脇に、庭の手入れに使っていると思われる用具をしまっている小さな倉庫があった。

「よし、中を見てみよう。あー、薄暗くてよく見えないなあ」

「待って。私のスマホで照らすよ」

 有紗がスマホのライトをつけて、倉庫の中を照らした。

「あ、やった。奥にハシゴがあるよ」

「浩太くん。それはハシゴじゃなくて脚立っていうんですよ」

「へえ、拓海くんはなんでも知ってるねー」

「でも、これじゃ高さが足りないんじゃない? とても届かなそうだよ」

「大丈夫。脚立は広げるとハシゴとしても使えるんです。この大きさなら、広げてハシゴにすれば、なんとかバルコニーまで届くと思います」

「やったー。それじゃ、早速持っていって使おう」

 四人は倉庫から脚立を持ち出すと、バルコニーのある場所まで運んだ。

 脚立を広げてハシゴにすると、拓海の言うとおり、バルコニーまで届きそうな長さだった。

「浩太くん。ハシゴをかけるのを手伝ってください」

「わかった。僕が反対側を持つね」

「重いので、ゆっくり持ち上げましょう。危ないので有紗ちゃんたちは下がっていてください」

「はーい」

 浩太と拓海は、ゆっくりとハシゴを持ち上げてバルコニーにかけた。

「やっぱり重かったなあ。でも、うまくいったね」

「やるじゃない。さすが浩太と拓海ね」

 有紗が二人を褒めた。

「ハシゴを登るときはハシゴが揺れて危ないから、誰かが下でハシゴを押さえていないといけないんです。僕が押さえているから、浩太くんが先に登ってくれるかな?」

「いいよ。それじゃあ僕が一番先に登らせてもらうねー」

 拓海はハシゴの裏側に回り込んで、ハシゴをしっかりと手で押さえた。

「よし。浩太くん、登っていいよー」

「ありがとう拓海くん。それじゃあ登るよ」

 浩太はハシゴを一段ずつ登っていった。

「よし、とうちゃーく」

「浩太くん。今度は君も上からハシゴを持って押さえてください」

「わかったー」

「それじゃ、今度は私が登るねー」

 浩太に続いて、有紗と由衣も、ハシゴを登っていった。

「わーい、拓海くん、ついたよー」

「よし、最後は僕の番だね。浩太くん、揺れないように上でしっかりハシゴを押さえていてくださいねー」

「まかせて。バッチリ押さえてるから」

 最後に拓海がハシゴを登って、バルコニーに入った。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【総集編】童話パロディ短編集

Grisly
児童書・童話
❤️⭐️お願いします。童話パロディ短編集

チェリーパイ

夢蘭
児童書・童話
かえでは普通の女の子だった、、、はずなのだ。しかしある日突然目の前に妖精チェリーが現れる。 普通の女の子だったはずのかえでは、どんどん普通から離れていく。 チェリーはなんのために来たのか? かえでは普通の生活にもどれるのか? この作品は、下書きなしで書いてるので誤字脱字があるかもしれません。なのであったら感想等で指摘してください! また、初心者なので内容としてえって思うこともあると思いますが、温かい目で見てください!また、こうしたら見やすいよ!とか、もっとこうしたら良いよ!とかアドバイスがあったらこれもコメントでよろしくお願いします。🙇‍♀️

児童絵本館のオオカミ

火隆丸
児童書・童話
閉鎖した児童絵本館に放置されたオオカミの着ぐるみが語る、数々の思い出。ボロボロの着ぐるみの中には、たくさんの人の想いが詰まっています。着ぐるみと人との間に生まれた、切なくも美しい物語です。

魔界カフェへようこそ

☆王子☆
児童書・童話
小さな踏切の前で電車を待つ一人の少年。遮断機がおり警報機が鳴りだすと、その少年はいじめという日々から逃れるため、ためらいなく電車に飛び込んだ。これですべて終わるはずだった――。ところが少年は地獄でも天国でもない魔物が暮らす世界に迷い込んでしまう。

ゆうれいのぼく

早乙女純章
児童書・童話
ぼくはゆうれいになっていた。 ゆうれいになる前が何だったのか分からない。 ぼくが帰れる場所を探してみよう。きっと自分が何だったのかを思い出して、なりたい自分になれそうな気がする。 ぼくはいろいろなものに憑依していって、みんなを喜ばせていく。 でも、結局、ゆうれいの自分に戻ってしまう。 ついには、空で同じゆうれいたちを見つけるけれど、そこもぼくの本当の居場所ではなかった。 ゆうれいはどんどん増えていっていく。なんと『あくのぐんだん』が人間をゆうれいにしていたのだ。 ※この作品は、レトロアーケードゲーム『ファンタズム』から影響を受けて創作しました。いわゆる参考文献みたいな感じです。

スペクターズ・ガーデンにようこそ

一花カナウ
児童書・童話
結衣には【スペクター】と呼ばれる奇妙な隣人たちの姿が見えている。 そんな秘密をきっかけに友だちになった葉子は結衣にとって一番の親友で、とっても大好きで憧れの存在だ。 しかし、中学二年に上がりクラスが分かれてしまったのをきっかけに、二人の関係が変わり始める……。 なお、当作品はhttps://ncode.syosetu.com/n2504t/ を大幅に改稿したものになります。 改稿版はアルファポリスでの公開後にカクヨム、ノベルアップ+でも公開します。

アルダブラ君、逃げ出す

んが
児童書・童話
動物たちがのびのびとおさんぽできる小さな動物園。 あるひ、誰かが動物園の入り口の扉を閉め忘れて、アルダブラゾウガメのアルダブラ君が逃げ出してしまいます。 逃げ出したゾウガメのあとをそっとついていくライオンのオライオンと豚のぶた太の三頭組が繰りひろげる珍道中を描いています。

夢の中で人狼ゲーム~負けたら存在消滅するし勝ってもなんかヤバそうなんですが~

世津路 章
児童書・童話
《蒲帆フウキ》は通信簿にも“オオカミ少年”と書かれるほどウソつきな小学生男子。 友達の《東間ホマレ》・《印路ミア》と一緒に、時々担任のこわーい本間先生に怒られつつも、おもしろおかしく暮らしていた。 ある日、駅前で配られていた不思議なカードをもらったフウキたち。それは、夢の中で行われる《バグストマック・ゲーム》への招待状だった。ルールは人狼ゲームだが、勝者はなんでも願いが叶うと聞き、フウキ・ホマレ・ミアは他の参加者と対決することに。 だが、彼らはまだ知らなかった。 ゲームの敗者は、現実から存在が跡形もなく消滅すること――そして勝者ですら、ゲームに潜む呪いから逃れられないことを。 敗退し、この世から消滅した友達を取り戻すため、フウキはゲームマスターに立ち向かう。 果たしてウソつきオオカミ少年は、勝っても負けても詰んでいる人狼ゲームに勝利することができるのだろうか? 8月中、ほぼ毎日更新予定です。 (※他小説サイトに別タイトルで投稿してます)

処理中です...