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ファイル.05 八尺様と怪異の理想郷
ファイル.05 八尺様と怪異の理想郷(3)
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次の日の夜、なんと八尺様が九十九探偵事務所に相談に来た。
「こんばんは」
「はいはーい。って、えええええー!」
「どうしたサキ君。って、えええええー!」
事務所の入口に八尺様らしき人物が立っていたので、二人は腰を抜かしそうになった。
「驚かせてしまってすいません。昨日お二人をお見かけした時に、二人とも怪異が混じっているように感じたので、私の仲間かなと思いまして」
「やっぱり、私たちに気づいていたんですねー」
「ええ。でもすいません、昨日は姿を消してしまって。私、後をつけられるの苦手なんです」
「それはすいませんでした。嫌な思いをさせてしまいましたね」
「大丈夫ですよ。実は大変困ってることがありまして、九十九さんに相談したいのです」
「わかりました。どうぞ中へお入りください。詳しくお話を聞かせてもらいますね」
八尺様は九十九に、インターネット上で有名になりすぎたため、人々から警戒されてしまい、各地で結界を貼られて追い出されてしまって困っていると話した。
「なるほど、そういうことでしたか。それでは、私たちが、八尺様が気兼ねなく生活できるような場所を探してみましょう」
「何かあてがあるのですか?」
「ええ、知り合いに、こういうことに詳しい人物がいますので、相談してみます」
(ふふ、こういう時の望月様だ)
九十九は望月編集長に電話をかけて相談した。
「……というわけなんです。望月さん」
「なるほど。まさか八尺様から依頼を受けるとは、さすが怪異探偵の九十九さんですね。九十九さんは、I県にあるT地区をご存知ですか?」
望月は、日本で唯一、怪異と人間が共存しているT地区の存在を九十九に教える。
「I県のT地区ですか。噂は聞いていますが、東北ですから、東京からかなり遠いですねー」
T地区は、明治時代にとある民俗学者が小説で取り上げてから、怪異の住む里として、全国的に有名になった場所である。
「ええ。八尺様と一緒にいくとなると、電車には乗れないでしょうから、車で移動することになると思います。東京からですと、高速道路を使って七時間といったところですかねえ」
「やはり車ですよねえ。でも私、二人乗りの軽自動車しか持っていないんです。これは、レンタカーを借りるしかないですね」
「ああ、よければ私の車を貸しますよ。ミニバンなので、八尺様との移動にもちょうどいいと思います」
「いいんですか、望月さん?」
「ええ、九十九さんにはいつもお世話になってますからね。車ぐらいならいくらでも貸しますよ。私の仕事が終わったら、編集部の人間と、車を事務所まで持っていきますね」
「そこまでしていただけるとは……。本当にありがとうございます」
「サキ君、望月さんがミニバンを貸してくれるそうだよ。八尺様、車が来たら早速その場所を見に行きましょう」
望月編集長はミニバンを事務所まで届けてくれた。
「へえ、これ、ミニバンの中でも高級車なやつじゃないですかー。望月さん、さすが編集長なだけあって、いい車に乗ってますねー」
「ああ、いい車を貸してくれて、本当に助かるね。長い道中になるから、今回はゆっくりと休憩しながら行こうか。この車なら身体の大きな八尺様がいてもゆったりと仮眠出来るし、途中のサービスエリアにはシャワーを浴びられるところもあるらしいからね。このところ本当に暑いから、車の中にいてもシャワーを浴びたくなるだろうから」
「ふふ、サービスエリアで美味しいものを食べられそうですねえ」
「まったく、君は食べることには本当に目がないんだから」
「ぷうー、私の中の怪異はエネルギーをよく使う子だから、お腹が空くんですよー。私の身体が成長しないのもきっとこの子に栄養を取られてるからですよーだ」
(まだ怒ってたのか、サキ君)
「こんばんは」
「はいはーい。って、えええええー!」
「どうしたサキ君。って、えええええー!」
事務所の入口に八尺様らしき人物が立っていたので、二人は腰を抜かしそうになった。
「驚かせてしまってすいません。昨日お二人をお見かけした時に、二人とも怪異が混じっているように感じたので、私の仲間かなと思いまして」
「やっぱり、私たちに気づいていたんですねー」
「ええ。でもすいません、昨日は姿を消してしまって。私、後をつけられるの苦手なんです」
「それはすいませんでした。嫌な思いをさせてしまいましたね」
「大丈夫ですよ。実は大変困ってることがありまして、九十九さんに相談したいのです」
「わかりました。どうぞ中へお入りください。詳しくお話を聞かせてもらいますね」
八尺様は九十九に、インターネット上で有名になりすぎたため、人々から警戒されてしまい、各地で結界を貼られて追い出されてしまって困っていると話した。
「なるほど、そういうことでしたか。それでは、私たちが、八尺様が気兼ねなく生活できるような場所を探してみましょう」
「何かあてがあるのですか?」
「ええ、知り合いに、こういうことに詳しい人物がいますので、相談してみます」
(ふふ、こういう時の望月様だ)
九十九は望月編集長に電話をかけて相談した。
「……というわけなんです。望月さん」
「なるほど。まさか八尺様から依頼を受けるとは、さすが怪異探偵の九十九さんですね。九十九さんは、I県にあるT地区をご存知ですか?」
望月は、日本で唯一、怪異と人間が共存しているT地区の存在を九十九に教える。
「I県のT地区ですか。噂は聞いていますが、東北ですから、東京からかなり遠いですねー」
T地区は、明治時代にとある民俗学者が小説で取り上げてから、怪異の住む里として、全国的に有名になった場所である。
「ええ。八尺様と一緒にいくとなると、電車には乗れないでしょうから、車で移動することになると思います。東京からですと、高速道路を使って七時間といったところですかねえ」
「やはり車ですよねえ。でも私、二人乗りの軽自動車しか持っていないんです。これは、レンタカーを借りるしかないですね」
「ああ、よければ私の車を貸しますよ。ミニバンなので、八尺様との移動にもちょうどいいと思います」
「いいんですか、望月さん?」
「ええ、九十九さんにはいつもお世話になってますからね。車ぐらいならいくらでも貸しますよ。私の仕事が終わったら、編集部の人間と、車を事務所まで持っていきますね」
「そこまでしていただけるとは……。本当にありがとうございます」
「サキ君、望月さんがミニバンを貸してくれるそうだよ。八尺様、車が来たら早速その場所を見に行きましょう」
望月編集長はミニバンを事務所まで届けてくれた。
「へえ、これ、ミニバンの中でも高級車なやつじゃないですかー。望月さん、さすが編集長なだけあって、いい車に乗ってますねー」
「ああ、いい車を貸してくれて、本当に助かるね。長い道中になるから、今回はゆっくりと休憩しながら行こうか。この車なら身体の大きな八尺様がいてもゆったりと仮眠出来るし、途中のサービスエリアにはシャワーを浴びられるところもあるらしいからね。このところ本当に暑いから、車の中にいてもシャワーを浴びたくなるだろうから」
「ふふ、サービスエリアで美味しいものを食べられそうですねえ」
「まったく、君は食べることには本当に目がないんだから」
「ぷうー、私の中の怪異はエネルギーをよく使う子だから、お腹が空くんですよー。私の身体が成長しないのもきっとこの子に栄養を取られてるからですよーだ」
(まだ怒ってたのか、サキ君)
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