怪異探偵№99の都市伝説事件簿

安珠あんこ

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ファイル.04 呪いの動画といなくなったサキ

ファイル.04 呪いの動画といなくなったサキ(7)

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 いつのまにか、人間たちが受付に集まってきていた。

『気をつけろうみか。こいつら、怪異に操られているぞ』

 怪異に操られていた人間の中の、一人の男性が九十九に喋りかけてきた。

「私はここで人間たちを改造して新しい怪異を作り出しているんだ。邪魔をされては困るなあ」

「新しい怪異を作り出しているだと? そのために人間を集めているのか?」

「ふん、お前には関係のないことだよ。ほう、見たことがある顔だと思ったら、お前は、被検体番号99だな。子供の頃に組織に連れてこられた時は、取るに足らない特異能力しか発現しなかったはずだが。確か、被検体番号0と同化したんだったな」

「一体、何の話をしているんだ」

「くくく、お前は忘れていても、お前の中にいるコードナンバーゼロは私をよく知っているよ」

『気をつけろうみか。この人間を操っている本体は組織の関係者だ』

「なるほど。だが、今は関係ない。サキを返してもらうぞ」

「サキ? ああ、この女か」

 受付の奥の部屋からナース服を来たサキが歩いてきた。

「サキ、サキ。大丈夫か?」

 しかし、サキも他の人間と同じように怪異に操られているようで、何も答えなかった。

「ふふ、コードナンバー99。この女はお前の大切な人間のようだな。こいつはすでに怪異が混じっていたから、私の助手をしてもらうことにしたんだ。これからこいつにお前を始末させる。お前は彼女には手が出せまい? 大人しく始末されるんだな」

 サキは突然九十九に襲いかかってきた。

「ちっ、サキと戦うことになるとは!」

 「ううううう……」

 サキは身に着けていたポシェットから手術用のメスを取り出して、九十九に投げつけてきた。

 九十九はサキの投げたメスを回避する。

 しかし、回避したはずのメスが向きを変えて、九十九の腕を切り裂いた。

「ぐっ! メスが方向を変えただと……」

「ふふ。私が操っているのは人間だけではないのさ。このまま私の操るメスに身体を切り刻まれて死ね」

 サキはたくさんのメスを上に放り投げた。

 無数のメスが九十九の方へと向かってくる。

『流石にこの数はかわしきれない。ゼロ、頼むよ』

『ああ、任せろ』

 九十九の身体が更に狼に近くなり、身体能力が強化された。
 ゼロに身体を預けて、狼人間のようになった九十九は、飛んできたメスを全て叩き落とした。

 そして、全てのメスを拾い上げると、手でぐにゃりと曲げて使い物にならなくした。

「ほほう。やはりゼロが混じっているだけのことはある。怪異化するとそれなりに強いな。だが、これならどうかな?」

 サキは、新たなメスを取り出すと、自身の首元にメスを当てた。

「この女の生死は、私にかかっている。大人しく、私の言うことを聞くなら、助けてやってもいいが、どうする?」

「……」

 九十九は、狼人間の姿から、普段の姿へと戻った。

「ふふ、それでいい。コードナンバー99、ゼロと一緒に私たちの組織に戻ってこい。それで、この女は解放してやる」

 九十九は、何故か冷静にサキを見つめていた。
 
「……お前がまだ、私の能力をよく知らなくて助かったよ」

「何を言っている?」

『この国におわします八百万の神々よ、我が友の身体に宿り、我が友を救いたまえ』

 九十九はサキに神を憑依させて付喪神にした。

「コントロールが効かないだと! お前、一体何をした!」

「そこにいるんだろ? 隠れてないで出てきな!」

 九十九はサキが出てきた受付の奥にある部屋を睨みながら叫んだ。
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