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ファイル.04 呪いの動画といなくなったサキ

ファイル.04 呪いの動画といなくなったサキ(2)

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 九十九は月刊ヌーの望月編集長に連絡をとり、ビデオ通話で相談していた。

「と、いうわけで、助手のサキがその動画を見てしまったみたいなんです。望月さん、この動画について、何か情報はありませんか?」

「なるほど。実は、うちの編集部にも読者からその動画の情報がいくつか来ています。その中の一人の読者が、証拠として、動画から切り抜いた画像を送ってくれたんです。これが本物だとすると、この動画配信者はどこかの廃墟で撮影していたようです。その読者の方によると、動画内で配信者は、ここは廃病院だと語っていたようなのです。ですから、場所を特定するのはそれほど難しくないと思います。今から九十九さんにその画像を送りますので、確認してもらってもいいですか?」

 望月編集長から、配信者らしき男性の写った画像が送られてきた。

「ありがとうございます。こちらでも画像を確認できました。サキ君、この画像を見てくれ。これは君がみた動画と同じかな?」

「あ、私が見た動画と同じですー。この場所で間違いないです」

 サキがうなづいた。

「よし、先手必勝だ。とりあえず、この動画に映っているという廃墟を探そう。望月さん、この場所がどこかわかりますか?」
 
「いえ、さすがにこの画像だけでは私もわかりません。ですが、編集部のサーバーには、全国の廃墟のデータベースもあるので、私も調べてみましょう。廃病院であれば、案外早く場所は特定出来ると思いますよ」

「望月さん、ありがとうございます」

「困った時はお互い様ですよ。九十九さんにはお世話になってますしね。では、何かわかれば連絡しますよ」

 九十九は望月編集長にお礼を言うと通話を終了した。

「サキ君、とりあえず二人で廃墟を調べよう。日本中の廃墟になっている病院を調べるんだ」

「サキ君。サキ君。おい、サキ君……」

「いない。いつの間に? どこにいった?」

 九十九はサキがいなくなっていることに気づき、慌てて外に飛び出したが、サキはいなかった。
 そのまま、商店街をぐるりと回ったが、サキはどこにも見当たらなかった。

「商店街にもいないか。これはマズいな。だが、スマホ中毒のサキなら常にスマホを持ち歩いているはずだ。頼む、電話に出てくれ!」

「おかけになった電話は電源が入っていないか、 電波の届かない場所にあるため、かかりません……」

「電源が切られている? くそっ、遅かったか!」

 九十九は何度も電話をかけ直すが、結果は同じだった。

『例の動画に人を操るような効果があったようだな。これは間違い無く怪異が関係しているぞ。どうする、うみか?』

『決まってるだろう、ゼロ。サキは絶対に連れ戻す。どんな手を使ってもだ』

 九十九は、今まで誰にも見せたことのないような怖い顔をしていた。
 
『そうだよな、うみか。俺もサキを気に入っているからな。犯人には、俺たちを本気で怒らせたらどうなるか、思い知らせてやろうぜ』
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