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ファイル.03 ツチノコ狂想曲
ファイル.03 ツチノコ狂想曲(2)
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「ふふ、ちょろい仕事が来ましたねー。私と先生の能力を使えば、あっという間に見つけられますよー」
「まあね。でも、そう上手くいくとは……」
「百万~、百万~」
上機嫌になったサキは自然と歌を歌っていた。
一週間後、二人はツチノコの目撃情報があったG県の八十狩村へと向かった。
「取材費を前借りしたおかげで、新幹線でこれましたねー」
「ああ、G県は東京からかなり離れているからね。新幹線に乗れたのは大きいよ。望月編集長様々だな」
八十狩村ではツチノコの目撃情報が出てから、生きたツチノコに三百万円の懸賞金をかけている。
そのため、ツチノコを捕まえると高額な賞金をもらえることを知った人々が、全国からこの村に殺到していた。
「ほんと、ツチノコって人気なんですねー。生捕りにすれば、村から懸賞金三百万ですって」
「ああ、三百万円あれば、大分楽になるからな。がんばって捕まえよう」
「ふふふ。三百万~、三百まーん~」
村に着いた二人は、とりあえず村役場にいって話を聞くことにした。
「村役場でこの村全体の地図をもらってきました。これで私がダウジングして、さっさと居場所を見つけて捕獲しちゃいましょー」
しかし、サキがダウジングしても、ツチノコの反応は無かった。
「おかしいですねー。私のダウジングが反応しないなんてこと、ありえないのにー」
「もしかして、この村にはツチノコ自体がいないんじゃないか?」
「そんなー。でも、こんなに目撃情報があるんですよー」
「ツチノコによく似た生物と見間違えたのかもしれない。例えば、餌を食べてお腹が膨れているヘビとか。以前にも妊娠していてお腹が膨らんでいるマムシをツチノコと勘違いしたことがあったって聞いたことがあるよ」
「そんなー」
「ま、せっかくだからもう少しだけ調査してみよう。似た生物でもなんとか誤魔化して、ツチノコってことにすれば、お金、もらえるかもしれないし」
「そうですよね。どうせ、何か言われても知らなかったってしらばっくれればいいだけですものねー。よーし、ツチノコモドキ、捕まえましょー」
二人はツチノコの目撃情報がある丘に向かった。
「わあー、先生。青い花が咲いていますよー。綺麗ですねー」
「これはネモフィラだね。一面に咲いているとはねー」
「まるで、青い海原みたいで、本当に綺麗ですー」
この丘は、至る所に青い花が咲き乱れていて、丘を埋め尽くす花が、まるで青い海のように見えることから、絶景ポイントとして、近年観光地として人気となっていた。
「それにしても、人が多いね」
「ほんとー、綺麗な景色が台無しですー」
ネモフィラの咲き乱れた丘には、花の数に負けないくらいの人で溢れていた。
「みんなツチノコが目当てなんですかねー。せっかくの綺麗なお花が踏み荒らされてて、かわいそうです」
「ツチノコの賞金に目が眩んだ人間たちだ。花なんて眼中に無いよ」
「三百万ですからねー。仕方ないのかー」
その時、誰かが叫んだ。
「あ、あれ、ツチノコじゃない?」
「え、ツチノコ? どこだよ!」
「おい待て、俺が捕まえるから!」
その声が聞こえた途端、倒れるドミノのように人が殺到した。
「どいて、三百万円は私のものよ!」
「邪魔だ! どけよ!」
「どけえええええ!」
やんちゃなお兄さんたちが、目の前にいた小さな女の子を突き飛ばした。
「きゃあああああ!」
それを見たサキが女の子に駆け寄る。
「大丈夫ですか。ちょっと、あなたたち、危ないじゃないですか!」
「ああん? こいつがぼーと突っ立ってるのが悪いんだろうが! お前も邪魔するんじゃねえよ!」
ガラの悪いお兄さんはサキを睨んできた。
「うう、怒られてしまいましたー。サキ、何も悪いことしてないのにー」
「お嬢さん、大丈夫かい?」
「うん、大丈夫。助けてくれてありがとう」
「それはよかったです。でも、ちょっと、危険な状態ですねー。いつ事故が起きてもおかしくないです」
「ツチノコのためなら、なんだってしそうな感じで、殺気立っているね。みんな、この物価高で生活が苦しいんだろうけど」
「大変なのは、私たちだけじゃないんですね」
「ま、仕方ない、別の場所を探そう。ツチノコも警戒しているだろうから、人がたくさんいる場所を探しても見つかる確率は低いだろうしね」
「なるほど。人が近づかないようなところにいるかもってことですねー」
「そうだね。例えばこの先に崖が見えるだろう? あの崖の下なんかはなかなか人がいけないだろうからね。そういうところに潜んでるんじゃないかな?」
「そうですよね。それじゃ先生、私たちは人がいないところを狙って探していきましょー」
「まあね。でも、そう上手くいくとは……」
「百万~、百万~」
上機嫌になったサキは自然と歌を歌っていた。
一週間後、二人はツチノコの目撃情報があったG県の八十狩村へと向かった。
「取材費を前借りしたおかげで、新幹線でこれましたねー」
「ああ、G県は東京からかなり離れているからね。新幹線に乗れたのは大きいよ。望月編集長様々だな」
八十狩村ではツチノコの目撃情報が出てから、生きたツチノコに三百万円の懸賞金をかけている。
そのため、ツチノコを捕まえると高額な賞金をもらえることを知った人々が、全国からこの村に殺到していた。
「ほんと、ツチノコって人気なんですねー。生捕りにすれば、村から懸賞金三百万ですって」
「ああ、三百万円あれば、大分楽になるからな。がんばって捕まえよう」
「ふふふ。三百万~、三百まーん~」
村に着いた二人は、とりあえず村役場にいって話を聞くことにした。
「村役場でこの村全体の地図をもらってきました。これで私がダウジングして、さっさと居場所を見つけて捕獲しちゃいましょー」
しかし、サキがダウジングしても、ツチノコの反応は無かった。
「おかしいですねー。私のダウジングが反応しないなんてこと、ありえないのにー」
「もしかして、この村にはツチノコ自体がいないんじゃないか?」
「そんなー。でも、こんなに目撃情報があるんですよー」
「ツチノコによく似た生物と見間違えたのかもしれない。例えば、餌を食べてお腹が膨れているヘビとか。以前にも妊娠していてお腹が膨らんでいるマムシをツチノコと勘違いしたことがあったって聞いたことがあるよ」
「そんなー」
「ま、せっかくだからもう少しだけ調査してみよう。似た生物でもなんとか誤魔化して、ツチノコってことにすれば、お金、もらえるかもしれないし」
「そうですよね。どうせ、何か言われても知らなかったってしらばっくれればいいだけですものねー。よーし、ツチノコモドキ、捕まえましょー」
二人はツチノコの目撃情報がある丘に向かった。
「わあー、先生。青い花が咲いていますよー。綺麗ですねー」
「これはネモフィラだね。一面に咲いているとはねー」
「まるで、青い海原みたいで、本当に綺麗ですー」
この丘は、至る所に青い花が咲き乱れていて、丘を埋め尽くす花が、まるで青い海のように見えることから、絶景ポイントとして、近年観光地として人気となっていた。
「それにしても、人が多いね」
「ほんとー、綺麗な景色が台無しですー」
ネモフィラの咲き乱れた丘には、花の数に負けないくらいの人で溢れていた。
「みんなツチノコが目当てなんですかねー。せっかくの綺麗なお花が踏み荒らされてて、かわいそうです」
「ツチノコの賞金に目が眩んだ人間たちだ。花なんて眼中に無いよ」
「三百万ですからねー。仕方ないのかー」
その時、誰かが叫んだ。
「あ、あれ、ツチノコじゃない?」
「え、ツチノコ? どこだよ!」
「おい待て、俺が捕まえるから!」
その声が聞こえた途端、倒れるドミノのように人が殺到した。
「どいて、三百万円は私のものよ!」
「邪魔だ! どけよ!」
「どけえええええ!」
やんちゃなお兄さんたちが、目の前にいた小さな女の子を突き飛ばした。
「きゃあああああ!」
それを見たサキが女の子に駆け寄る。
「大丈夫ですか。ちょっと、あなたたち、危ないじゃないですか!」
「ああん? こいつがぼーと突っ立ってるのが悪いんだろうが! お前も邪魔するんじゃねえよ!」
ガラの悪いお兄さんはサキを睨んできた。
「うう、怒られてしまいましたー。サキ、何も悪いことしてないのにー」
「お嬢さん、大丈夫かい?」
「うん、大丈夫。助けてくれてありがとう」
「それはよかったです。でも、ちょっと、危険な状態ですねー。いつ事故が起きてもおかしくないです」
「ツチノコのためなら、なんだってしそうな感じで、殺気立っているね。みんな、この物価高で生活が苦しいんだろうけど」
「大変なのは、私たちだけじゃないんですね」
「ま、仕方ない、別の場所を探そう。ツチノコも警戒しているだろうから、人がたくさんいる場所を探しても見つかる確率は低いだろうしね」
「なるほど。人が近づかないようなところにいるかもってことですねー」
「そうだね。例えばこの先に崖が見えるだろう? あの崖の下なんかはなかなか人がいけないだろうからね。そういうところに潜んでるんじゃないかな?」
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