20 / 90
ファイル.02 神隠しの村に巣食う大蛇と二人の姉妹
ファイル.02 神隠しの村に巣食う大蛇と二人の姉妹(3)
しおりを挟む
サキの話では、この村の奥には帰らずの森と呼ばれている禁足地が存在するということだった。
『おい、うみか。森の方から怪異の臭いがプンプンするぜ』
『と、いうことは、やはり神隠しは怪異の仕業か。だが、まだ何かありそうだ。なんとなくだが、この村の人間は何かを隠している気がするんだ』
『カンってやつか?』
『ああ』
『なるほど。お前のカンはよく当たるからなあ。それで、何か対策を打つのか?』
『ああ、前に使った、紙の依代を使って付喪神を作る。これで村人たちの会話を聞き出してみようと思うんだ』
『盗み聞きかあ』
『嫌な言い方はよせ。あくまで調査のためだ。探偵にとって、盗聴は基本手技なんだよ、ゼロ君』
『わかってるって。うみかは、村人も怪異とグルかもってことを知りたいんだろ?』
『そうさ。村人たちが、神隠しの伝説を利用して、怪異に生贄を差し出している可能性も考えられるからね』
『人間の敵は人間ってわけだな。怖いねえ、人間って奴は』
九十九が作り出した付喪神で村人たちを観察した結果、やはり、村人たちは何故か次に神隠しにあう人間を知っているらしかった。
『やはり、村人たちは何かを隠している。怪異のことをよく知っているようだ』
『村人たちにも気をつけた方がいいな。気づいたら、俺たちが生贄になってるかもしれないぜ』
『何が起こるかわからないからな。そうならないように気をつけるよ』
三人は、まりえが事前に手配していた、この村で空家となっている建物に宿泊することにした。
古くからある日本家屋の民家だが、きちんと手入れがされていて、年数を考えれば十分すぎる家だった。
「思ったより、綺麗な家でよかったです」
「少し前に民泊が流行った時に、いろいろと手入れしたみたいだよ。農家民泊として、観光客を宿泊させていたみたいね」
「確かにさっき、ここに観光に来る人がいるっていってたわね。温泉以外にも、何かいい場所があるの?」
「この村の近くに、太刀割岩という人気の観光スポットがあってね。崖の上にある大きな岩なんだけど、まるで刀で真っ二つに切ったように二つに割れた岩なの。何年か前に、鬼と戦う剣士のアニメで、大きな岩を剣で斬るシーンがあったでしょ? そのおかげで、そこがアニメの聖地として取り上げられて、観光客が多く訪れるようになったのよ」
「そんな場所があるのねえ。知らなかったわ」
「この家にはお風呂が無いんだけど、二人も温泉、入るでしょう? 村の中心に温泉施設があるから、みんなでそこに入りに行きましょう」
「はーい。温泉、楽しみでーす」
『おい、うみか。森の方から怪異の臭いがプンプンするぜ』
『と、いうことは、やはり神隠しは怪異の仕業か。だが、まだ何かありそうだ。なんとなくだが、この村の人間は何かを隠している気がするんだ』
『カンってやつか?』
『ああ』
『なるほど。お前のカンはよく当たるからなあ。それで、何か対策を打つのか?』
『ああ、前に使った、紙の依代を使って付喪神を作る。これで村人たちの会話を聞き出してみようと思うんだ』
『盗み聞きかあ』
『嫌な言い方はよせ。あくまで調査のためだ。探偵にとって、盗聴は基本手技なんだよ、ゼロ君』
『わかってるって。うみかは、村人も怪異とグルかもってことを知りたいんだろ?』
『そうさ。村人たちが、神隠しの伝説を利用して、怪異に生贄を差し出している可能性も考えられるからね』
『人間の敵は人間ってわけだな。怖いねえ、人間って奴は』
九十九が作り出した付喪神で村人たちを観察した結果、やはり、村人たちは何故か次に神隠しにあう人間を知っているらしかった。
『やはり、村人たちは何かを隠している。怪異のことをよく知っているようだ』
『村人たちにも気をつけた方がいいな。気づいたら、俺たちが生贄になってるかもしれないぜ』
『何が起こるかわからないからな。そうならないように気をつけるよ』
三人は、まりえが事前に手配していた、この村で空家となっている建物に宿泊することにした。
古くからある日本家屋の民家だが、きちんと手入れがされていて、年数を考えれば十分すぎる家だった。
「思ったより、綺麗な家でよかったです」
「少し前に民泊が流行った時に、いろいろと手入れしたみたいだよ。農家民泊として、観光客を宿泊させていたみたいね」
「確かにさっき、ここに観光に来る人がいるっていってたわね。温泉以外にも、何かいい場所があるの?」
「この村の近くに、太刀割岩という人気の観光スポットがあってね。崖の上にある大きな岩なんだけど、まるで刀で真っ二つに切ったように二つに割れた岩なの。何年か前に、鬼と戦う剣士のアニメで、大きな岩を剣で斬るシーンがあったでしょ? そのおかげで、そこがアニメの聖地として取り上げられて、観光客が多く訪れるようになったのよ」
「そんな場所があるのねえ。知らなかったわ」
「この家にはお風呂が無いんだけど、二人も温泉、入るでしょう? 村の中心に温泉施設があるから、みんなでそこに入りに行きましょう」
「はーい。温泉、楽しみでーす」
10
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
児童絵本館のオオカミ
火隆丸
児童書・童話
閉鎖した児童絵本館に放置されたオオカミの着ぐるみが語る、数々の思い出。ボロボロの着ぐるみの中には、たくさんの人の想いが詰まっています。着ぐるみと人との間に生まれた、切なくも美しい物語です。
稲の精しーちゃんと旅の僧
MIKAN🍊
児童書・童話
「しーちゃん!しーちゃん!」と連呼しながら野原を駆け回る掌サイズの小さな女の子。その正体は五穀豊穣の神の使いだった。
四季を通して紡がれる、稲の精しーちゃんと若き旅の僧の心温まる物語。
【完結】緑の奇跡 赤の輝石
黄永るり
児童書・童話
15歳の少女クティーは、毎日カレーとナンを作りながら、ドラヴィダ王国の外れにある町の宿で、住み込みで働いていた。
ある日、宿のお客となった少年シャストラと青年グラハの部屋に呼び出されて、一緒に隣国ダルシャナの王都へ行かないかと持ちかけられる。
戸惑うクティーだったが、結局は自由を求めて二人とダルシャナの王都まで旅にでることにした。
【総集編】日本昔話 パロディ短編集
Grisly
児童書・童話
❤️⭐️お願いします。
今まで発表した
日本昔ばなしの短編集を、再放送致します。
朝ドラの総集編のような物です笑
読みやすくなっているので、
⭐️して、何度もお読み下さい。
読んだ方も、読んでない方も、
新しい発見があるはず!
是非お楽しみ下さい😄
⭐︎登録、コメント待ってます。
イービル・ゲート~退魔師・涼風夜空~
はじめアキラ
児童書・童話
「七不思議に関わるのはやめておけ」
小学六年生の、加賀花火のクラスに転校してきた生意気な美少年、涼風夜空。
彼は自らを退魔師と名乗り、花火に騎士になってくれと頼んできた――この学校にある、異世界へ続く門を封じるために。
いなくなったクラスメートの少女。
学校に潜む異世界からの侵入者。
花火と夜空、二人の少女と少年が学校の怪異へ挑む。

こちら御神楽学園心霊部!
緒方あきら
児童書・童話
取りつかれ体質の主人公、月城灯里が霊に憑かれた事を切っ掛けに心霊部に入部する。そこに数々の心霊体験が舞い込んでくる。事件を解決するごとに部員との絆は深まっていく。けれど、彼らにやってくる心霊事件は身の毛がよだつ恐ろしいものばかりで――。
灯里は取りつかれ体質で、事あるごとに幽霊に取りつかれる。
それがきっかけで学校の心霊部に入部する事になったが、いくつもの事件がやってきて――。
。
部屋に異音がなり、主人公を怯えさせる【トッテさん】。
前世から続く呪いにより死に導かれる生徒を救うが、彼にあげたお札は一週間でボロボロになってしまう【前世の名前】。
通ってはいけない道を通り、自分の影を失い、荒れた祠を修復し祈りを捧げて解決を試みる【竹林の道】。
どこまでもついて来る影が、家まで辿り着いたと安心した主人公の耳元に突然囁きかけてさっていく【楽しかった?】。
封印されていたものを解き放つと、それは江戸時代に封じられた幽霊。彼は門吉と名乗り主人公たちは土地神にするべく扱う【首無し地蔵】。
決して話してはいけない怪談を話してしまい、クラスメイトの背中に危険な影が現れ、咄嗟にこの話は嘘だったと弁明し霊を払う【嘘つき先生】。
事故死してさ迷う亡霊と出くわしてしまう。気付かぬふりをしてやり過ごすがすれ違い様に「見えてるくせに」と囁かれ襲われる【交差点】。
ひたすら振返らせようとする霊、駅まで着いたがトンネルを走る窓が鏡のようになり憑りついた霊の禍々しい姿を見る事になる【うしろ】。
都市伝説の噂を元に、エレベーターで消えてしまった生徒。記憶からさえもその存在を消す神隠し。心霊部は総出で生徒の救出を行った【異世界エレベーター】。
延々と名前を問う不気味な声【名前】。
10の怪異譚からなる心霊ホラー。心霊部の活躍は続いていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる