怪異探偵№99の都市伝説事件簿

安珠あんこ

文字の大きさ
上 下
11 / 90
ファイル.01 鏡に映る迷子の少女と帰れない駅

ファイル.01 鏡に映る迷子の少女と帰れない駅(11)

しおりを挟む
 次の瞬間、九十九とサキは電車の中にいた。
 
 電車内には乗客が十人ほどいた。

「よかった。電車の中、空いてますよ先生」

「…………」

「先生? 何か気になることがあるんですか?」

「……いや、なんでもないよ。とりあえず座ろうか」

 しばらくすると、車掌がゆっくりと、車内を確認しながら歩いてきた。
 
 その時、車内にアナウンスが流れた。
 
「お客様にご連絡します。次の停車駅はささぎ。ささぎとなります」

「ささぎ? きさらぎ駅じゃないの? ささぎ駅なんて私、聞いたことないです。先生は知ってますか?」

「…………」

「先生……、先生? やっぱり変です。何か考えてるんですか?」
 
「あ……、ああ。私は以前にもささぎ駅に行ったことがある気がしてね。思い出してみたんだが、どうやら私の勘違いだったみたいだ。でも、次の駅で間違いなさそうだよ。そんな予感がするんだ」

「なるほど。そういうことだったんですね。まあ、先生の予感はよく当たりますからね。ささぎ駅で間違いないですよ」

「ああ。とりあえず、この駅で降りてみようか」
 
 二人は、ささぎ駅で電車から降りた。

(この感覚、間違いなく私はここを訪れている……。それも何度もだ。まさか、時間がループしているとでもいうのか?)

『おい、ゼロ。まさかとは思うが、この世界の時間はループしているのか?』

『おお、うみかもそこまで感知できるようになったのか。ああ、その通りだよ。信じられないかもしれないが、この駅は時間がループしているんだ。すでに三回、時間が巻き戻っている』

『すでに三回もループしているだって!? 私にはそこまでは感じられない。けど、君が言うなら間違いないな』

『ああ、時間がループしてるのに、お前とサキは、毎回話すことが少しずつ変わってるんだぜ。面白いよな。まあ、それはおいていて、ここには、この空間の時間を操って、ループさせている怪異がいる。そして、ある程度時間が経過すると、時間が巻き戻されてしまうんだ』

『なるほど。つまり、この空間の時間は怪異の能力でループしていて、制限時間を超えると、最初まで巻き戻されてしまうってことか?』
 
『ああ、さすが九十九だ。理解が早くて助かるぜ。それで俺たちはこの駅の中を探索していたんだが、とにかく広い駅でな。駅ビルの二階を探索し終えたところで時間切れとなってしまったんだ』

『なるほど、それは厄介だな。それで、私たちはこれから駅ビルの三階から探索していけばいいわけだね?』

『話が早くてほっんとに助かるぜ。それじゃ、早速探索に入ろう。そうそう、百華って子なら、駅ビルの一階にいるから心配するな』

『なるほど、三回目だから完全に居場所も把握しているんだな。よし、それじゃあ駅の探索を優先しよう。三階からでいいんだね?』

『ああ、とにかく広くて、あまり時間もないから急ごう』

 九十九は、ゼロと協力しながら、三階部分の探索を始めた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【総集編】日本昔話 パロディ短編集

Grisly
児童書・童話
❤️⭐️お願いします。  今まで発表した 日本昔ばなしの短編集を、再放送致します。 朝ドラの総集編のような物です笑 読みやすくなっているので、 ⭐️して、何度もお読み下さい。 読んだ方も、読んでない方も、 新しい発見があるはず! 是非お楽しみ下さい😄 ⭐︎登録、コメント待ってます。

こちら第二編集部!

月芝
児童書・童話
かつては全国でも有数の生徒数を誇ったマンモス小学校も、 いまや少子化の波に押されて、かつての勢いはない。 生徒数も全盛期の三分の一にまで減ってしまった。 そんな小学校には、ふたつの校内新聞がある。 第一編集部が発行している「パンダ通信」 第二編集部が発行している「エリマキトカゲ通信」 片やカジュアルでおしゃれで今時のトレンドにも敏感にて、 主に女生徒たちから絶大な支持をえている。 片や手堅い紙面造りが仇となり、保護者らと一部のマニアには 熱烈に支持されているものの、もはや風前の灯……。 編集部の規模、人員、発行部数も人気も雲泥の差にて、このままでは廃刊もありうる。 この危機的状況を打破すべく、第二編集部は起死回生の企画を立ち上げた。 それは―― 廃刊の危機を回避すべく、立ち上がった弱小第二編集部の面々。 これは企画を押しつけ……げふんげふん、もといまかされた女子部員たちが、 取材絡みでちょっと不思議なことを体験する物語である。

夢の中で人狼ゲーム~負けたら存在消滅するし勝ってもなんかヤバそうなんですが~

世津路 章
児童書・童話
《蒲帆フウキ》は通信簿にも“オオカミ少年”と書かれるほどウソつきな小学生男子。 友達の《東間ホマレ》・《印路ミア》と一緒に、時々担任のこわーい本間先生に怒られつつも、おもしろおかしく暮らしていた。 ある日、駅前で配られていた不思議なカードをもらったフウキたち。それは、夢の中で行われる《バグストマック・ゲーム》への招待状だった。ルールは人狼ゲームだが、勝者はなんでも願いが叶うと聞き、フウキ・ホマレ・ミアは他の参加者と対決することに。 だが、彼らはまだ知らなかった。 ゲームの敗者は、現実から存在が跡形もなく消滅すること――そして勝者ですら、ゲームに潜む呪いから逃れられないことを。 敗退し、この世から消滅した友達を取り戻すため、フウキはゲームマスターに立ち向かう。 果たしてウソつきオオカミ少年は、勝っても負けても詰んでいる人狼ゲームに勝利することができるのだろうか? 8月中、ほぼ毎日更新予定です。 (※他小説サイトに別タイトルで投稿してます)

守護霊のお仕事なんて出来ません!

柚月しずく
児童書・童話
事故に遭ってしまった未蘭が目が覚めると……そこは死後の世界だった。 死後の世界には「死亡予定者リスト」が存在するらしい。未蘭はリストに名前がなく「不法侵入者」と責められてしまう。 そんな未蘭を救ってくれたのは、白いスーツを着た少年。柊だった。 助けてもらいホッとしていた未蘭だったが、ある選択を迫られる。 ・守護霊代行の仕事を手伝うか。 ・死亡手続きを進められるか。 究極の選択を迫られた未蘭。 守護霊代行の仕事を引き受けることに。 人には視えない存在「守護霊代行」の任務を、なんとかこなしていたが……。 「視えないはずなのに、どうして私のことがわかるの?」 話しかけてくる男の子が現れて――⁉︎ ちょっと不思議で、信じられないような。だけど心温まるお話。

忠犬ハジッコ

SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。 「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。 ※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、  今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。  お楽しみいただければうれしいです。

スペクターズ・ガーデンにようこそ

一花カナウ
児童書・童話
結衣には【スペクター】と呼ばれる奇妙な隣人たちの姿が見えている。 そんな秘密をきっかけに友だちになった葉子は結衣にとって一番の親友で、とっても大好きで憧れの存在だ。 しかし、中学二年に上がりクラスが分かれてしまったのをきっかけに、二人の関係が変わり始める……。 なお、当作品はhttps://ncode.syosetu.com/n2504t/ を大幅に改稿したものになります。 改稿版はアルファポリスでの公開後にカクヨム、ノベルアップ+でも公開します。

VTuberデビュー! ~自分の声が苦手だったわたしが、VTuberになることになりました~

柚木ゆず
児童書・童話
「君の声はすごく可愛くて、僕の描いたキャラクターにピッタリなんです。もしよろしければ、VTuberになってくれませんか?」  声が変だと同級生や教師に笑われ続けたことが原因で、その時からずっと家族の前以外では声を出せなくなっていた女の子・佐倉美月。  そんな美月はある日偶然、隣家に引っ越してきた同い年の少年・田宮翔と――SNSで人気の中学生絵師に声を聞かれたことが切っ掛けとなり、やがて自分の声に対する認識が変わってゆくことになるのでした。

チェリーパイ

夢蘭
児童書・童話
かえでは普通の女の子だった、、、はずなのだ。しかしある日突然目の前に妖精チェリーが現れる。 普通の女の子だったはずのかえでは、どんどん普通から離れていく。 チェリーはなんのために来たのか? かえでは普通の生活にもどれるのか? この作品は、下書きなしで書いてるので誤字脱字があるかもしれません。なのであったら感想等で指摘してください! また、初心者なので内容としてえって思うこともあると思いますが、温かい目で見てください!また、こうしたら見やすいよ!とか、もっとこうしたら良いよ!とかアドバイスがあったらこれもコメントでよろしくお願いします。🙇‍♀️

処理中です...