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ファイル.01 鏡に映る迷子の少女と帰れない駅
ファイル.01 鏡に映る迷子の少女と帰れない駅(2)
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「妹さんとは、電話やメールなどでやりとりをされているのですか?」
「いいえ、信じられないかもしれませんが、私と妹の百華には、二人だけの特別な連絡手段があるんです」
春花と百華には特異能力がある。
鏡を使うことで、お互いの姿を鏡に映し出し、スマートフォンのビデオ通話のように交信することが出来るのだ。
百華は春花にSOSのメッセージを送り、必死に助けを求めていた。
「なるほど、鏡を使って交信ができるというわけですね」
「はい、どういう原理かはわかりませんが、小さな頃から私たちにだけできる能力なんです」
春花は、九十九たちに小さな手鏡を見せた。
「私たちには、何かが映っているようには見えません。春花さんには、妹さんの姿が見えているんですね?」
「はい、私には今も……妹の百華の姿がはっきりと見えます」
そう話すと、春花は不安そうな表情をしながら俯いてしまった。
「春花さん。あなたの能力は、我々が特異能力と呼んでいるものだと思います。実は私にも、特異能力がありましてね。怪異の臭いを感じ取ることができるんです。この仕事にも大分役に立っています」
「九十九さんにもそんな能力が……。私たちだけではなかったのですね」
「ええ。そして私の助手のサキにも、特異能力があります」
「サキ君、あれを」
九十九はサキにチラリと目を送って合図をした。
「はーい」
サキは頷くと、大きな東京都の地図を持ち出してきて、応接テーブルの上に広げた。
そして、鎖に繋がれた宝石を取り出すと、地図の上にかかげた。
「私の助手のサキはダウジングという占いが得意なんです。私が知る限り、彼女が占いの結果を外したことがありません。これが彼女の特異能力です。ですので、今から彼女にこの地図を使って、妹さんに関係がありそうな駅を調べてもらいます」
それまでのおっとりとした雰囲気から、急に真剣な表情へと変わったサキは、地図上の駅の上に、このダウジングペンデュラムと呼ばれている特殊な振り子をかざしていった。
そして、ダウジングペンデュラムがU駅の上に来た時、振り子の先端の宝石がくるくると回転した。
「U駅で反応がありますね。春花さん、鏡で妹さんにそこがU駅かどうか、確認していただけますか?」
「わかりました。聞いてみます」
春花は手鏡を取り出して、百華と交信を始めた。
「……妹は、ここはU駅ではないと話しています。私たちはU駅を何度も訪れたことがありますから、間違いありません」
「しかし、サキ君の占いは外れないはず。となると……そういうことか」
九十九は、しばらく考え込んでから、春花に話しかけた。
「春花さん、今、妹さんがいるのは現実の駅ではなくて、幻の駅かもしれませんよ」
「幻の駅……、ですか?」
「ええ。春花さんは、インターネット上で有名になった、きさらぎ駅という話をご存じですか?」
「あの都市伝説のきさらぎ駅ですか?」
「そうです。私は、あなたの妹さんは現在きさらぎ駅のような幻の駅……、いや、異次元に存在する駅にいる可能性があると考えています」
「いいえ、信じられないかもしれませんが、私と妹の百華には、二人だけの特別な連絡手段があるんです」
春花と百華には特異能力がある。
鏡を使うことで、お互いの姿を鏡に映し出し、スマートフォンのビデオ通話のように交信することが出来るのだ。
百華は春花にSOSのメッセージを送り、必死に助けを求めていた。
「なるほど、鏡を使って交信ができるというわけですね」
「はい、どういう原理かはわかりませんが、小さな頃から私たちにだけできる能力なんです」
春花は、九十九たちに小さな手鏡を見せた。
「私たちには、何かが映っているようには見えません。春花さんには、妹さんの姿が見えているんですね?」
「はい、私には今も……妹の百華の姿がはっきりと見えます」
そう話すと、春花は不安そうな表情をしながら俯いてしまった。
「春花さん。あなたの能力は、我々が特異能力と呼んでいるものだと思います。実は私にも、特異能力がありましてね。怪異の臭いを感じ取ることができるんです。この仕事にも大分役に立っています」
「九十九さんにもそんな能力が……。私たちだけではなかったのですね」
「ええ。そして私の助手のサキにも、特異能力があります」
「サキ君、あれを」
九十九はサキにチラリと目を送って合図をした。
「はーい」
サキは頷くと、大きな東京都の地図を持ち出してきて、応接テーブルの上に広げた。
そして、鎖に繋がれた宝石を取り出すと、地図の上にかかげた。
「私の助手のサキはダウジングという占いが得意なんです。私が知る限り、彼女が占いの結果を外したことがありません。これが彼女の特異能力です。ですので、今から彼女にこの地図を使って、妹さんに関係がありそうな駅を調べてもらいます」
それまでのおっとりとした雰囲気から、急に真剣な表情へと変わったサキは、地図上の駅の上に、このダウジングペンデュラムと呼ばれている特殊な振り子をかざしていった。
そして、ダウジングペンデュラムがU駅の上に来た時、振り子の先端の宝石がくるくると回転した。
「U駅で反応がありますね。春花さん、鏡で妹さんにそこがU駅かどうか、確認していただけますか?」
「わかりました。聞いてみます」
春花は手鏡を取り出して、百華と交信を始めた。
「……妹は、ここはU駅ではないと話しています。私たちはU駅を何度も訪れたことがありますから、間違いありません」
「しかし、サキ君の占いは外れないはず。となると……そういうことか」
九十九は、しばらく考え込んでから、春花に話しかけた。
「春花さん、今、妹さんがいるのは現実の駅ではなくて、幻の駅かもしれませんよ」
「幻の駅……、ですか?」
「ええ。春花さんは、インターネット上で有名になった、きさらぎ駅という話をご存じですか?」
「あの都市伝説のきさらぎ駅ですか?」
「そうです。私は、あなたの妹さんは現在きさらぎ駅のような幻の駅……、いや、異次元に存在する駅にいる可能性があると考えています」
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