変身ダンジョンヒーロー! 正体不明の特撮ヒーローとして活躍するはずが、配信切り忘れで有名女配信者を助けてしまい、初回から身バレしてしまう

まさキチ

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052 DM解放

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 池袋東口ダンジョン配信を行った翌日。
 僕は放課後の教室で佑と話していた。

「どう、DM?」
「思っていたよりスゴい数で驚いたよ」

 昨日『えつくすー』のDMを解放したので、さっそく大量のDMが送られてきた。

「これでもスパムや誹謗中傷はフィルタリングされてるんでしょ?」
「ああ、それの100倍くらいは来てるんじゃね」
「うええ」

 数万件のスパムか……想像しただけで吐きそうになる。

「それだけ人気なんだよ、ひでおは」
「うん。自分でもまだ信じられないけど」

 配信時のコメントの多さからも、人気が出たんだなと実感できる。

「どれが気になった?」
「応援してくれるDMが一番嬉しいね。コメント欄のときよりも、長文で応援してくれて嬉しくなるよ」

 昨晩はダンジョン帰りが遅かったので、半分も読めていないけどね。
 それでも十分、励まされた。

「やっぱり、ひでおはひでおだな」
「そうなの?」
「普通はクランからの勧誘やコラボ配信の依頼を一番気にするぞ」

 そういうDMも結構、来てたな。

「あー、でも、クランに入る気はないし、コラボも嬉しいけど、誰とやれば良いか分かんないだよね。僕はこういうの苦手だから、佑に選んでもらえるかな?」
「おう、ちょっと調べてから伝えるわ」
「いつも、ありがとね」
「おう。俺の方が楽しませてもらってるからな」

 佑に笑顔を向けられると嬉しくなる。
 何年たっても、その気持ちは変わらない。

「他には?」
「えーと、こんな企画やって欲しいってアイディアがいくつか」
「コメ欄でもこんなのやってくれってリクエスト多かったもんな」
「うん。企画考えるの大変だから、リクエストがあると助かるよ」
「いや、四刀流企画は良かったぜ。いろんな意味でひでおらしかった」
「あー、配信時もそんなこと言われたなあ」

 自分としては自信を持ってお披露目したんだけど、「ひでお流四刀流」と言われて、ちょっと悲しかった。

「たしかにな。どんなのあった?」
「いろいろあったけど、4つに絞ってみた。ひとつ目は『初心者講座』」
「この前の『罠講座』が評判良かったからな。あれは良かった」

 僕がヒーローと配信者に憧れたように、僕がみんなのヒーローになったり、配信者になるきっかけになったりすれば嬉しい。
 でも、ダンジョンは本当に危険だから、『初心者講座』は僕としてもやっていきたい。

「次は『ガチ攻略』だね」
「今のひでおならどこら辺まで潜れる?」
「見応えがあるようにしつつ、事故配信にならないようにすると、深々層の入り口付近かな」
「また、伝説動画になるな」

 以前は深層配信でもフェイク扱いされたからね。
 今はAIで簡単に3D動画作れちゃうから、仕方ないと言えば仕方ないんだけど。
 あの頃はツラかったなあ。

「深々層の動画はないからね」
「クランの勧誘がさらに激化しそうだな」

 あー、そうだよね。
 今のところは佑が止めてくれているけど、いつまでも誤魔化しきれないし。

「他には『コスチューム素材集め』だね」
「ああ、最初の頃の配信でもリクエストあったな」
「みんなヒーローコスチュームのこと知りたいんだよね」
「そりゃそうだろ。ひでおの配信を観てたら、みんなヒーローに憧れるだろ」
「ヒーロー2号とか出てくるかな?」
「まあ、それっぽいのは出てくるかもな」
「でも、ヒーローコスチュームは真似できないよね。佑じゃないと作れないでしょ」
「つーか、そもそも、普通の奴じゃ素材集められねえよ」
「そうかもね」

 けっこう多種類の素材が必要だから、全部やると大型企画になるんだよね。

「で、最後の企画は?」
「これは佑向けなんだよね。『助けるマンのガジェット紹介』だって」
「あー、まあ、予想してたけどな」
「どうかな?」
「ひでおに頼まれたら断れねえよ。今までの配信で使ったヤツなら良いんじゃね? ネタバレはしたくない」
「以上かな。『えつくすー』でアンケート取ってみるよ」
「おう、どれが選ばれるか楽しみだな」

 話がひと段落し、佑がカバンを掴む。

「おし、帰るか」
「あっ、僕はちょっと……」

【後書き】
次回――『呼び出し』
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