異世界魔王討伐RTA~6時間で魔王を倒せって言われたけど、ベリーイージーモードなんで楽勝だった。むしろ、姫様とのイチャイチャがメインでは?~

まさキチ

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060 早とちりしたオレが悪かった

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 いつの間にかオレの話になっている。
 どういうことだ?

「だから、やっぱりこの人はわたしの好きな人だなって思ったの」
「えっ!? ちょ、まっ――」

 どういうこと?
 ほんと、どういうこと?

 リスティアは居住まいを正して、口を開く。

「わたしは勇者さまのことを愛しています。どうか隣においてください」

 リスティアは三指ついてプロポーズしてきた。
 いったいどこで覚えたんだ?
 いや、そんなこと気にしている場合じゃない。

「えっ!? はっ!? だって、好きな人が出来たって……」
「はい。あなたのことです」
「ええええええぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」

 リスティアは上目遣いでじっとこっちを見つめる。
 少し潤んだその瞳は見ていると吸い込まれてしまいそうだ。

「でも、ずっと見ていたって言ったよね? 今日が初対面じゃないの?」
「それも神様にお願いしたんです」
「えっ!?」
「神様の力であなたの生活を度々見ていたんです。この一年間」
「…………」
「だから、あなたにとっては初対面でも、ワタシにとっては一年間待ち続けた大切な相手だったのです」
「まじか…………」
「はい。まじです。ですので、どうかよろしくお願いします」

 まさか、まさか、まさか、まさか!!!!!

 じっと見つめ合う。
 リスティアの潤んだ瞳がオレを見つめる。
 オレの答えはひとつしかない――。

「はい、こちらこそよろしくお願いします」

 お互い頭を下げあって、顔を見合わせる。
 どちらともなく、笑い出してしまう。
 今まで張り詰めていた緊張の糸がプツンと切れた。

「でも、なんでオレ?」
「理由はさっき言ったとおりだけど――」

 ああ、さっき言ってたな。
 そん時はまさか自分のことだとは思っていなかったけど……。

「――ひとつに絞るなら、この人なら絶対にわたしを幸せにしてくれると思ったから。決して高望みせず、その代わり手に入れたものを大切にしてくれる、そう思ったから」

 だったら、最初からそう言ってくれよと思う。
 あっちの世界で、「好きな人がいる」って誤解するような言い方するから、遠回りしちゃったじゃないか。
 いや、早とちりしたオレが悪かったのかも。

「なんで、向こうでオレが尋ねたときは素直に答えなかったんだ?」
「だって、あの状況で答えたら、シズクがあっちに残っちゃうかもしれないと思ったんだもん」
「あっ、確かに」
「どうしても、こっちの世界に来たかったんだもん」

 そっか。
 でも、離れ離れにならなくてホントよかった。
 神様に感謝するしかない。

「今、名前で呼んだよな? オレのこと名前で呼んだよな?」
「うん、そ~だよ。シズクって呼んだよ。それがどうしたの?」
「どうしてって…………」

 そう。あっちの世界にいる間、リスティアがオレの名を呼んだことはなかった。
 呼びかける時はいつも「勇者さま」だった。
 「勇者さまと姫さま」の関係は終わったってことか。
 これからは「シズクとリスティア」の関係だ。

「でも、いきなりこっちの世界に来たって、いろいろと問題あるだろ、戸籍とか…………」
「それなら、大丈夫だよ。神様にお願いしてなんとかしてもらったから。じゃーん、お嫁さんカード~」

 そう言ってリスティアは鞄から取り出した運転免許証を見せつける。
 本物そっくりの出来栄えだ。
 生年月日は…………オレより年下だ。
 そして、住所は……………………ここじゃん!

「てゆうか、なに、そのお嫁さんカードって呼び方は?」
「勇者さまがあっちに来た時いろいろ勇者アイテムを手に入れたでしょ? だから、それに合わせて、いろいろ作ってみたんだよ~」
「じゃあ、他にもあるのか?」
「うん、たとえばね~、お嫁さん装備シリーズ~」
【後書き】
次回――『最終回』
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