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035 いくら、イージーモードとはいえ、イージーモード過ぎるだろっ!
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いくらオレもそこそこレベル上がっていて『勇者の剣』を持っているとはいえ、あんな硬そうなモンスター、しかも、数えるのが嫌になるほどの大量を片付けるのには時間がかかりそうだし、なにより、メンド臭いからやりたくない。
そう思っていたところ、女教師さんがオレに手のひらサイズの小袋を渡してきた。
「これは?」
「毒薬です」
「うおっ!」
伸ばしかけていた手を思わず引っ込めてしまった。
「ご安心下さい。人間には無害です。しかし、メタスラには効果覿面(こうかてきめん)。ごく少量でも数秒で死に至ります」
「瞬コロだよ~」
「…………」
「しかも、伝染性も高く、その毒に侵された個体に触れているメタスラにも毒の効果が波及します。あの部屋全体に行き渡るのに数分もあれば十分です」
完全にチートアイテムじゃんかよ!
「もちろん、メタスラが死んだ際の経験値が毒薬を撒いた者に入ることは実証済みです」
なんだ、この「素人のオレでも簡単に経験値稼ぎできるように作りました」みたいなご都合アイテムは!
いくら、イージーモードとはいえ、イージーモード過ぎるだろっ!
いいぞ、もっとやれ!!!
女教師さんの説明を受けて、ようやく今回のミッションの全貌が把握できた。
いいか、リスティア。
説明ってのは、こういうのを言うんだぞ!
『攻略ガイド』のあんな落書きは説明でもなんでもねえからな?
その点、イーヴァちゃんの担当ページは、これぞお手本というべき、文句なしの出来だったな。
どうか、『攻略ガイド』の次のミッション担当がイーヴァでありますように。
「あー、そういえば、ちょっと気になったんだけど」
「はい、なんでしょうか?」
「大したことじゃないんだけど、どうして最初からメタスラを満杯にしておかなかったんですか? あんま時間の余裕なかったはずですけど」
「ああ、それは簡単な理由です。満杯だと壁がもたないのです」
そういえば、さっきからメタスラが壁にガンガンとぶつかる音が少しずつ大きくなってきている。
女教師さんの言う通りなら、メタスタは順調に増殖中なのだろう。
「そろそろ頃合いですね。それでは、勇者様、よろしくお願いします」
「勇者さま~、がんばって~」
いやいや、「毒薬を覗き窓から流しこむだけ」の簡単なお仕事で、頑張るもなにもないだろう。
覗き窓から見てみると、あちらの部屋はすでにメタスラでギュウギュウ状態だった。
オレは女教師さんの説明に従い、覗き窓からほんの僅かな隙間に向けて小袋を傾ける。
粉末状の毒薬がこぼれ落ちていき、近くにいたメタスラに振りかかる。
毒薬に浴びたメタスラは激しくもがこうとするが、スペースがないため周囲のメタスラとぶつかり合うことしかできず、周りに毒薬を振りまく結果になった。
そして、鈍色一色だったメタスラは、毒薬に触れると赤、青、緑、黄色と全身をまだら模様へと変えていった。まるで、カビが生えまくったまんじゅうみたいで、グロいことこの上ない。
カビまんじゅうは、女教師さんの説明通り、数秒間暴れるとすぐにおとなしくなった。
しかし、その時にはすでに、周囲のメタスラはカビまんじゅうと化していた。
そして、カビまんじゅうは1匹から2匹、2匹から4匹、とドンドンと増殖していき、暴れ回るカビまんじゅうと沈黙したカビまんじゅうが勢力図を塗り替えていく――。
そのおぞましい光景をこれ以上見続けることはオレにはできなかった。
――数分後。
あれだけ騒がしかった隣室だったが、だんだんと音が小さくなってゆき、やがて物音ひとつなく静まりかえった。
「んー、おわったかな?」
「はい。全滅しております」
「やったね~。おつかれ~勇者さま~」
「おう、おつかれ」
「『ステータス』見てみなよ~」
「そうだな」
リスティアにうながされたオレは、『ステータス』を開く。
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
シズク・サクマ
勇者 LV999
HP 9999
MP 9999
STR 999
DEF 999(+1)
AGI 999(+1)
DEX 999
INT 999
EQUIP
・布の服(DEF+1)
・布の靴(AGI+1)
・勇者の指輪
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
よしっ!
レベル・カンストだっ!!!
まったく、達成感がねえええええええええええ!!!!!!!!!
それにしても、ハードな仕事だった。
異世界に来てから、一番ハードだったかもしれん。
いろいろとメンタルがゴリゴリと削られたミッションだった。
どうやら、オレは勇者の仕事をナメていたようだ……。
まあ、やったことは「毒薬を覗き窓から流しこむだけ」の簡単なお仕事だけどな!
――ミッションクリア6――
【後書き】
次回――『「アタマオカシイ」と評判のリスティアさん。』
そう思っていたところ、女教師さんがオレに手のひらサイズの小袋を渡してきた。
「これは?」
「毒薬です」
「うおっ!」
伸ばしかけていた手を思わず引っ込めてしまった。
「ご安心下さい。人間には無害です。しかし、メタスラには効果覿面(こうかてきめん)。ごく少量でも数秒で死に至ります」
「瞬コロだよ~」
「…………」
「しかも、伝染性も高く、その毒に侵された個体に触れているメタスラにも毒の効果が波及します。あの部屋全体に行き渡るのに数分もあれば十分です」
完全にチートアイテムじゃんかよ!
「もちろん、メタスラが死んだ際の経験値が毒薬を撒いた者に入ることは実証済みです」
なんだ、この「素人のオレでも簡単に経験値稼ぎできるように作りました」みたいなご都合アイテムは!
いくら、イージーモードとはいえ、イージーモード過ぎるだろっ!
いいぞ、もっとやれ!!!
女教師さんの説明を受けて、ようやく今回のミッションの全貌が把握できた。
いいか、リスティア。
説明ってのは、こういうのを言うんだぞ!
『攻略ガイド』のあんな落書きは説明でもなんでもねえからな?
その点、イーヴァちゃんの担当ページは、これぞお手本というべき、文句なしの出来だったな。
どうか、『攻略ガイド』の次のミッション担当がイーヴァでありますように。
「あー、そういえば、ちょっと気になったんだけど」
「はい、なんでしょうか?」
「大したことじゃないんだけど、どうして最初からメタスラを満杯にしておかなかったんですか? あんま時間の余裕なかったはずですけど」
「ああ、それは簡単な理由です。満杯だと壁がもたないのです」
そういえば、さっきからメタスラが壁にガンガンとぶつかる音が少しずつ大きくなってきている。
女教師さんの言う通りなら、メタスタは順調に増殖中なのだろう。
「そろそろ頃合いですね。それでは、勇者様、よろしくお願いします」
「勇者さま~、がんばって~」
いやいや、「毒薬を覗き窓から流しこむだけ」の簡単なお仕事で、頑張るもなにもないだろう。
覗き窓から見てみると、あちらの部屋はすでにメタスラでギュウギュウ状態だった。
オレは女教師さんの説明に従い、覗き窓からほんの僅かな隙間に向けて小袋を傾ける。
粉末状の毒薬がこぼれ落ちていき、近くにいたメタスラに振りかかる。
毒薬に浴びたメタスラは激しくもがこうとするが、スペースがないため周囲のメタスラとぶつかり合うことしかできず、周りに毒薬を振りまく結果になった。
そして、鈍色一色だったメタスラは、毒薬に触れると赤、青、緑、黄色と全身をまだら模様へと変えていった。まるで、カビが生えまくったまんじゅうみたいで、グロいことこの上ない。
カビまんじゅうは、女教師さんの説明通り、数秒間暴れるとすぐにおとなしくなった。
しかし、その時にはすでに、周囲のメタスラはカビまんじゅうと化していた。
そして、カビまんじゅうは1匹から2匹、2匹から4匹、とドンドンと増殖していき、暴れ回るカビまんじゅうと沈黙したカビまんじゅうが勢力図を塗り替えていく――。
そのおぞましい光景をこれ以上見続けることはオレにはできなかった。
――数分後。
あれだけ騒がしかった隣室だったが、だんだんと音が小さくなってゆき、やがて物音ひとつなく静まりかえった。
「んー、おわったかな?」
「はい。全滅しております」
「やったね~。おつかれ~勇者さま~」
「おう、おつかれ」
「『ステータス』見てみなよ~」
「そうだな」
リスティアにうながされたオレは、『ステータス』を開く。
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
シズク・サクマ
勇者 LV999
HP 9999
MP 9999
STR 999
DEF 999(+1)
AGI 999(+1)
DEX 999
INT 999
EQUIP
・布の服(DEF+1)
・布の靴(AGI+1)
・勇者の指輪
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
よしっ!
レベル・カンストだっ!!!
まったく、達成感がねえええええええええええ!!!!!!!!!
それにしても、ハードな仕事だった。
異世界に来てから、一番ハードだったかもしれん。
いろいろとメンタルがゴリゴリと削られたミッションだった。
どうやら、オレは勇者の仕事をナメていたようだ……。
まあ、やったことは「毒薬を覗き窓から流しこむだけ」の簡単なお仕事だけどな!
――ミッションクリア6――
【後書き】
次回――『「アタマオカシイ」と評判のリスティアさん。』
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