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1巻
1-3
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†
「陛下、到着いたしました」
「うむ」
ユーリが目を覚ますと、そこはカーティスの街。富裕層の巨大な邸宅が立ち並ぶ中、こぢんまりとした一軒家――クロードの家だ。
「ほう、ここか。悪くない」
その第一印象は質実剛健。庶民の家にしたら十分な大きさだが、周囲の豪邸とは比べるまでもない小さな家。一切の装飾を排した赤みがかった石造りの二階建て。知らぬ者が見たら、兵舎かと思うくらいだ。
「陛下のご趣味に合わせました。お気に召していただけるかと」
「ほう」
前世と変わらぬ彼に懐かしさを覚え、ユーリはすっと柔らかく微笑んだ。
「ああ、気に入ったぞ」
皇帝ユリウスは華美な装飾を嫌った。
どれだけ希少で高価なものを使ったか、どれだけ手間暇をかけたか。そんなのは俗人の見栄だ。小さな自分を大きく見せようする愚かな行いだ。余の上には誰もおらん。張り合う必要なぞまったくない。そう言って、効率を最優先させた。
満足したユーリは、入り口のドアに向かって歩き出す。クロードは先回りして、ドアを開けた。
家に入ると彼女は告げる。
「まずは着替えだ。動きにくくて、どうも落ち着かん」
ヒラヒラのドレスの裾を摘まみ、眉間に皺を寄せる。血で汚れていることよりも、動きにくいのが我慢ならなかった。
「どちらにいたしましょうか?」
クロードがふたつの服を見せる。男子向けと女子向けで、ともに測ったようにユーリのサイズにピッタリだ。庶民が着るようなシンプルなデザインだが、生地は一級品。着心地と動きやすさを追求したユーリ好みのものだった。
「ほう、用意周到だな」
クロードは、主君がいつ、どのような姿で現れてもいいように、男性用と女性用、すべてのサイズを取り揃えていた。その万全さに「前世でもそうだったな」とユーリは笑う。
「せっかくこの身体になったのだ。女物で構わん」
着替えを受け取ったユーリは躊躇わずに服を脱ごうとし――
「陛下」
「ん?」
慌てて後ろを向いた彼を見て、ユーリは気づく。今の自分が幼女姿である意味に。
「ああ、構わん。こんな貧相な身体で男も女もない。それとも、そなたは幼女趣味か?」
ユーリは着替えようとし、すぐに気がつく。
「女の服はこんなに面倒くさいのか」
そもそも、ドレスというものは、自分一人で脱ぎ着することを想定していない。メイドが数人がかりでやるものだ。
「クロード、手伝え」
ユーリの言葉に彼は戸惑う。しかし、皇帝の命令は絶対だ。とはいえ、彼にとっても初めての経験。なんとか苦戦しながら脱がし終わると、あらわになった肌を見ないように目を閉じた。
衣擦れの音。新しいワンピースに着替え終わったユーリが告げる。
「もういいぞ」
その声にクロードは振り向き、はっとする。見た目の美しさにではない。内側から滲み出る本質は前世から変わっていなかった。どのような姿であっても、隠しきれない威厳と高潔さ。人の上に立ち、世を統べるべき御方。クロードはあらためて、忠誠を誓う。
――今世も、我が命はこの御方のためにある。
感激している彼の心を知らず、ユーリは床に落ちたドレスを指差す。
「それは必要ない。適当に処分しろ」
「かしこまりました」
そう言いつつも、クロードは大切そうにドレスを抱える。
「では、こちらに」
そして、リビングに案内する。飾り気のない部屋に頑丈なテーブルと椅子。席についたユーリに尋ねる。
「お飲み物はいかがいたしましょうか?」
「余の好みは知っておるだろ?」
「もちろんでございます」
クロードはうやうやしく頭を下げるとキッチンに向かった。
戻ってきた彼の手には、ワイン瓶が一本にグラスがひとつ。ユリウスは白ワインを好んだ。強い酒で酩酊するわけにはいかず、赤ワインは血を思い出させる。ツマミは必要ない。せっかくの酒の味が濁ると、ユリウスは好まなかった。
クロードは栓を抜くとワインを注ぐ。グラスの中のさざ波が収まると、ユーリの前にすっと差し出した。それが済むと、クロードは立ったまま動かない。
ユーリはクロードを見上げる。
――そういえば、こいつはこういう生真面目な奴だったな。
「なにを突っ立ってる。そなたのグラスも持ってこい」
「かしこまりました」
クロードはキッチンに向かい、もうひとつのグラスを取ってくる。ユーリを見た彼は、小さく眉を動かす。その小さな手に瓶が握られていたからだ。
「まあ、座れ」
戸惑いながらも、クロードは彼女の言葉に従う。
「ほら、グラス」
クロードが差し出したグラスにユーリが酌をする。その際、手が震え、ワインが少し溢れた。それを見つめたまま、ユーリは呟く。
「この身体は難儀だな」
未だ慣れぬ幼き身体ではワイン瓶が大剣よりも重かった。自嘲気味に呟いた彼女は、クロードのグラスに自分のグラスを軽く当てる。
「新しい人生に乾杯だ」
ユーリはグラスを傾ける。そして、半分ほど飲み干し――
「むっ」
苦虫を噛み潰したように顔をしかめる。
「どうなさいましたか?」
「どうも、この身体は酒精を受け付けぬようだ。代わりを持て」
「承知いたしました」
吐き気を覚えるほどではないが、身体は火照り、汗が流れ、頭はクラクラする。
「お待たせしました」
戻ってきたクロードは氷を浮かべたグラスを彼女に手渡す。それをひと息で飲み干し、ユーリは大きく息を吐いた。
「お代わりだ」
柑橘の酸味とハーブの香りが、口の中を洗い流す。
「まさか、酒よりも果実水を好むようになるとはな……」
と自嘲気味に漏らす。
「お加減は?」
「ああ、落ち着いた。それにしても、よく出会えたな」
ユーリはユリアナの記憶によって、ここカーティスの街を目指した。他に行く当てがなかっただけで、クロードとの再会は偶然だ。
「陛下の『魔核』を見逃すわけがありません」
強い『魔核』を持つ者は、他人の『魔核』とそこから生み出される魔力を、ある程度は読み取れる。
特に、ユリウス帝はその能力に秀でており、対面するだけで相手の強さを正確に計れた。
クロードはそこまでではないが、それでも、主君のそれを違えるわけがない。
「余が現れなかったら、どうするつもりだったんだ?」
彼は二度目の人生でも主に仕えるために、直感に従い今日まで万全の準備を整えてきた。確信があったわけではない。それでもクロードは待っていた。
「いつまでもお待ちいたします」
「待つといっても、出会える保証はなかろう?」
それでもクロードのやるべきは、ただひとつ。
「今世でお会いできなければ、再度、転生してお待ちいたします」
「忠義な奴よのう」
ユーリはフッと笑い、柔らかい目で、前世に思いを馳せる。そして、クロードの人生についても。
「陛下――」
「ユーリだ」
これは決意表明だ。自分はもう主君ではない。二人の関係性は変わったのだと告げる発言だ。
真っ直ぐ射る彼女の視線をクロードは受け止める。
そして、彼もユーリの目をしっかりと捉える。
「失礼いたしました。ユーリ様」
「呼び捨ても構わんぞ」
「いえ……」
さすがにそれはできなかった。いずれ、できるようになるのだろうか。
「まあ、どちらでもよい」
「ユーリ様はこれから、どうなされるおつもりですか?」
「そうだな……」
思いを巡らす。前世の記憶を取り戻してから、ずっと考えていた。そして、おおよそ考えは固まっている。
「もし、今世でも覇道を歩むのでしたら、ユーリ様の片腕となり、大陸を制してみせましょう」
真剣な目――洒落や冗談でないことは、分かっている。
「いや、そういうのは……もう十分だ」
フッと鉄臭いにおいを思い出す。脳裏によぎるのは血塗られた前世。幾千幾万の死体を積み上げてできた玉座。
「そうだな……」
ユーリは細い顎を手に乗せ、視線を落とす。考えるときの癖で、クロードにとっては見慣れた光景だった。
「……自分のために生きるか」
長い長い沈黙の後、彼女の口から呟きが漏れた。
その言葉の続きが出るのを、クロードは黙って待つ。
「なにものにも縛られぬ人生……。余にもそなたにも、とんと縁がなかった」
父である先帝が崩御したとき、ユリウスは一二歳だった。
その直後、兄弟での跡目争いが起こる。それに勝利し、即位してからも内乱を収め、隣国との戦いに明け暮れ――大陸を制覇した後は、魔族との戦いだ。
休むことも振り返ることもなく、ただ、走り続けた。止まれば殺される。生きるには、殺し続けるしかなかった。
皇帝という役割に、民の安寧を守る役割に、がんじがらめの人生だった。そして、常にともにあったクロードにとってもそれは同じこと。
――自分のための人生。
生まれ変わった皇帝が望むのは、大陸を制覇しても手に入れられなかったものだった。
「自分のために生きることの意味」
ユーリは続ける。
「自分のために生きる民の気持ち」
さらに。
「民を守るために生き抜いた前世に価値はあったのか」
そして、クロードの目をじっと見る。
「それを知りたい」
噛みしめるように出たユーリの言葉。心からの願い。強制された目的ではなく、自分で決めた目的。ユーリは今世の指針を得て、スッキリした笑顔を見せる。
「余はそなたとともに、人生を謳歌したい。ついてきてくれるか?」
「御意」
「まあ、硬くなるな。二人で毎日を楽しもうじゃないか」
クロードが頷くと、ユーリは満足気にグラスを傾けた。短い沈黙が流れる。未来に向けた、心地よい静寂だ。
しばらくそれを満喫した後、ユーリがゆっくりと話し始める。
「ところで、どこまで覚えておる?」
「それが、どうも曖昧なのです」
「余も似たようなものだ。だが、余にはそなたが死んだという記憶がない。そなたの方が長く生きたのか?」
「いえ、私もユーリ様がお亡くなりになった記憶がございません」
「ふむ。となると二人とも生きたまま、同時期に転生したのか?」
ユーリは考え込む。少し顔を伏せ、左手の人差し指で右頬を掻きながら。記憶をたどり、そして、取っかかりを見つけた。思い出せる最後の記憶だ。
「魔王の記憶は?」
「魔王との最終決戦の直前まで……そこで記憶が途切れております」
「余と同じだな。余もそこまでしか覚えておらん。魔王の顔も、名前も、その場にいた者も。やはり、魔王の仕業と考えるのが妥当か……」
確証はないが、それが一番もっともらしかった。
「余とそなたが転生したのであれば、他の者も転生している可能性があるな」
ユーリは前世を思い出す。敵も多かったが、頼りになる臣下も大勢いた。もし叶うなら、会いたい相手は少なくない。幾人もの顔が思い浮かぶ。
だが、すぐにその気持ちを頭から追い払い、意識を現在に戻す。
「まあ、今の段階で推測しても、なにも得られん。前世のことはおいおい考えればいい。気にならないわけではないが、それよりも、今はこの人生を楽しもうではないか」
割り切りの速さは前世と同じ。クロードは思い出す。
――直感に従おうと、何時間も考え込もうと、得られる答えは大して変わらん。
即断即決。悩むことなく、前に進む。それこそが、ユリウス帝が大陸の覇者となれた理由だ。
「一度は終わったかもしれない命だ。せっかくそなたとも出会えた。ならば、この人生を楽しむのみ」
「承知いたしました。全力を尽くしてお仕えいたしましょう」
「俗世のことはそなたの方が詳しかろう。案内任せたぞ」
「お任せください」
「余は右も左も知らぬ、ただの幼女だ。守ってくれるだろ?」
ユーリはいたずらっぽく笑う。どう反応したらいいかクロードが戸惑っていると――
ユーリの身体がふらりと揺れる。
「陛下ッ!」
クロードは反射的にユーリに手を伸ばし、華奢な身体を支える。
「その呼び方はやめろと言ったであろう」
「申し訳ございません、ユーリ様」
「うむ」
「お身体は大丈夫ですか?」
「どうやら、さっきの酒が回ったようだ」
クロードを安心させるように口元を緩める。前世では、酔い潰れることなど一回もなかった。そんな隙を見せることはできなかった。
「……ユーリ様」
「神の粋な計らいだ。存分に楽しもうではないか……」
ユーリは目をつぶり、クロードの腕の中で、すやすやと寝息を立て始めた。クロードは支えていた腕を回し、ユーリを持ち上げる。
そして、軽く、頼りなく、儚げな身体を優しく抱き上げ、ベッドまで運んだ。
†
翌朝――
目を覚ましたユーリは違和感を覚え、刹那、布団を跳ね上げ、枕元に手を伸ばす。
だが、手の先に剣はなく、弱々しく蹴られた布団はその場にストンと落ちた。
「そうであったな…………」
ユーリは「ふぅ」と息を吐き、顔にかかった長髪をかき上げる。
皇帝時代の習性で身体が反応してしまったが、しっかり覚醒した今、理解した。違和感の正体は自分の外ではなく、自らの身体にあることに。
薄暗い室内。クロードがユーリのために用意した寝室だ。使われた形跡がないが、清潔に保たれている。ベッドに衣装ダンスだけの殺風景な部屋。それ以上を主は必要としない――クロードらしい心配りだ。
ユーリはベッドから下り、カーテンを開ける。いつもと変わらぬ朝の日差しは、だが、彼女の知らないものだった。目線を上げて、その理由に気がつく。
「この身体だと、こう感じるのか」
記憶より高い位置から注ぐ光が銀色の髪を輝かせた。
彼女は視線を落として手を見つめる。小さく、柔らかく、頼りない手だ。手だけではない。姿見に映る姿を確認し、フッと笑みをこぼす。
それから大きく背を伸ばすと、身体の節々が文句を言う。筋肉も休みたがっている。そして、身体の持ち主も同意していた。
「ユリアナはまだ寝ているようだな」
コンコン――そのタイミングでノックの音が響く。押しつけがましいわけでもなく、遠慮しているのでもない、絶妙なバランスだ。心当たりは一人しか存在しない。
「入れ」
「おはようございます。お加減はいかがですか?」
すでに身支度を終えたクロードが盆を手に現れる。盆の上には水差しとコップ、そして、粉薬が載っていた。それを見て、彼女のこめかみが引っ張られ、頭がズキンと鳴る。
「こちらを」
彼女は渡された粉薬を水で流し込む。
「この身体では、酒を飲むのも、薬を飲むのも、一苦労だな」
クロードに向かって、「おえっ」と舌を出して見せる。
「ベタベタするな」
寝汗のせいでベタついたワンピースをパタパタと揺すった。
「シャワーを浴びますか?」
「しゃわー?」
聞き慣れぬ単語にユーリは首をかしげる。
「身体を清める魔道具です」
「魔道具?」
「失念しておりました。あの頃には、魔道具はなかったですね。魔道具は魔力によって働く道具です。シャワーは魔法を使わずとも、お湯が出る魔道具です」
「ほう。よく分からんが、便利になったようだな。面白そうだ。試してみるぞ」
「では、下に参りましょう」
浴室に入り、クロードが使い方を教えていく。
「ああ、分かったぞ」
説明の途中で、ユーリが口を挟んだ。
「ですが、まだ説明が――」
「いらんいらん。取って食われるでもなし。試してみるのも一興である」
そうだった、とクロードは皇帝の好奇心の強さを思い出す。新しい物はなんでも試してみる。それも自分の手で。
――一〇個試して、ひとつが上手くいけば、大当たりだ。
その好奇心が、失敗の山を積み上げ、新しい武器を生み、新しい戦術を生み、最強の軍隊を作り上げた。
「ほら、さっさと立ち去れい。それとも、余の裸に興味があるのか?」
「いえ、失礼しました。こちらに着替えを置いておきます」
クロードはユーリに背中を押され、浴室から追い出される。
「なにかあったら、お呼びください」
待ちきれずに脱衣所の扉を閉じたユーリに、彼の声は届いただろうか。
ユーリはさっそく全裸になり、嬉々として浴室へ飛び込んだ。浴室の半分は浴槽が占めていたが、今は湯が張られていない。そして、壁に掛かっているシャワーに目が釘付けになる。
「ほう、これがシャワーか。ここを捻ればいいのだな」
取っ手を捻ると同時に、シャワーから水が飛び出る。クロードの説明を途中で切り上げたせいで知らなかったのだが、持ち前の反射神経で飛びすさり、濡れることは免れた。
「驚かすでない。だが、興味深いな」
シャワーから出る水に手をかざすと、だんだんと水温が上がってくる。
「これで温まれということか」
流れるお湯を手で遊ぶ。
「ほう。これは新鮮だ」
銀色の髪を濡らしたお湯が、幼い肢体を流れ落ちる。
初めての体験に浮かれる彼女だったが、ひとつ不満があった。説明をちゃんと聞いていれば解決できる不満だったものの……ユーリは浴室から脱衣所に移動する。
「陛下、到着いたしました」
「うむ」
ユーリが目を覚ますと、そこはカーティスの街。富裕層の巨大な邸宅が立ち並ぶ中、こぢんまりとした一軒家――クロードの家だ。
「ほう、ここか。悪くない」
その第一印象は質実剛健。庶民の家にしたら十分な大きさだが、周囲の豪邸とは比べるまでもない小さな家。一切の装飾を排した赤みがかった石造りの二階建て。知らぬ者が見たら、兵舎かと思うくらいだ。
「陛下のご趣味に合わせました。お気に召していただけるかと」
「ほう」
前世と変わらぬ彼に懐かしさを覚え、ユーリはすっと柔らかく微笑んだ。
「ああ、気に入ったぞ」
皇帝ユリウスは華美な装飾を嫌った。
どれだけ希少で高価なものを使ったか、どれだけ手間暇をかけたか。そんなのは俗人の見栄だ。小さな自分を大きく見せようする愚かな行いだ。余の上には誰もおらん。張り合う必要なぞまったくない。そう言って、効率を最優先させた。
満足したユーリは、入り口のドアに向かって歩き出す。クロードは先回りして、ドアを開けた。
家に入ると彼女は告げる。
「まずは着替えだ。動きにくくて、どうも落ち着かん」
ヒラヒラのドレスの裾を摘まみ、眉間に皺を寄せる。血で汚れていることよりも、動きにくいのが我慢ならなかった。
「どちらにいたしましょうか?」
クロードがふたつの服を見せる。男子向けと女子向けで、ともに測ったようにユーリのサイズにピッタリだ。庶民が着るようなシンプルなデザインだが、生地は一級品。着心地と動きやすさを追求したユーリ好みのものだった。
「ほう、用意周到だな」
クロードは、主君がいつ、どのような姿で現れてもいいように、男性用と女性用、すべてのサイズを取り揃えていた。その万全さに「前世でもそうだったな」とユーリは笑う。
「せっかくこの身体になったのだ。女物で構わん」
着替えを受け取ったユーリは躊躇わずに服を脱ごうとし――
「陛下」
「ん?」
慌てて後ろを向いた彼を見て、ユーリは気づく。今の自分が幼女姿である意味に。
「ああ、構わん。こんな貧相な身体で男も女もない。それとも、そなたは幼女趣味か?」
ユーリは着替えようとし、すぐに気がつく。
「女の服はこんなに面倒くさいのか」
そもそも、ドレスというものは、自分一人で脱ぎ着することを想定していない。メイドが数人がかりでやるものだ。
「クロード、手伝え」
ユーリの言葉に彼は戸惑う。しかし、皇帝の命令は絶対だ。とはいえ、彼にとっても初めての経験。なんとか苦戦しながら脱がし終わると、あらわになった肌を見ないように目を閉じた。
衣擦れの音。新しいワンピースに着替え終わったユーリが告げる。
「もういいぞ」
その声にクロードは振り向き、はっとする。見た目の美しさにではない。内側から滲み出る本質は前世から変わっていなかった。どのような姿であっても、隠しきれない威厳と高潔さ。人の上に立ち、世を統べるべき御方。クロードはあらためて、忠誠を誓う。
――今世も、我が命はこの御方のためにある。
感激している彼の心を知らず、ユーリは床に落ちたドレスを指差す。
「それは必要ない。適当に処分しろ」
「かしこまりました」
そう言いつつも、クロードは大切そうにドレスを抱える。
「では、こちらに」
そして、リビングに案内する。飾り気のない部屋に頑丈なテーブルと椅子。席についたユーリに尋ねる。
「お飲み物はいかがいたしましょうか?」
「余の好みは知っておるだろ?」
「もちろんでございます」
クロードはうやうやしく頭を下げるとキッチンに向かった。
戻ってきた彼の手には、ワイン瓶が一本にグラスがひとつ。ユリウスは白ワインを好んだ。強い酒で酩酊するわけにはいかず、赤ワインは血を思い出させる。ツマミは必要ない。せっかくの酒の味が濁ると、ユリウスは好まなかった。
クロードは栓を抜くとワインを注ぐ。グラスの中のさざ波が収まると、ユーリの前にすっと差し出した。それが済むと、クロードは立ったまま動かない。
ユーリはクロードを見上げる。
――そういえば、こいつはこういう生真面目な奴だったな。
「なにを突っ立ってる。そなたのグラスも持ってこい」
「かしこまりました」
クロードはキッチンに向かい、もうひとつのグラスを取ってくる。ユーリを見た彼は、小さく眉を動かす。その小さな手に瓶が握られていたからだ。
「まあ、座れ」
戸惑いながらも、クロードは彼女の言葉に従う。
「ほら、グラス」
クロードが差し出したグラスにユーリが酌をする。その際、手が震え、ワインが少し溢れた。それを見つめたまま、ユーリは呟く。
「この身体は難儀だな」
未だ慣れぬ幼き身体ではワイン瓶が大剣よりも重かった。自嘲気味に呟いた彼女は、クロードのグラスに自分のグラスを軽く当てる。
「新しい人生に乾杯だ」
ユーリはグラスを傾ける。そして、半分ほど飲み干し――
「むっ」
苦虫を噛み潰したように顔をしかめる。
「どうなさいましたか?」
「どうも、この身体は酒精を受け付けぬようだ。代わりを持て」
「承知いたしました」
吐き気を覚えるほどではないが、身体は火照り、汗が流れ、頭はクラクラする。
「お待たせしました」
戻ってきたクロードは氷を浮かべたグラスを彼女に手渡す。それをひと息で飲み干し、ユーリは大きく息を吐いた。
「お代わりだ」
柑橘の酸味とハーブの香りが、口の中を洗い流す。
「まさか、酒よりも果実水を好むようになるとはな……」
と自嘲気味に漏らす。
「お加減は?」
「ああ、落ち着いた。それにしても、よく出会えたな」
ユーリはユリアナの記憶によって、ここカーティスの街を目指した。他に行く当てがなかっただけで、クロードとの再会は偶然だ。
「陛下の『魔核』を見逃すわけがありません」
強い『魔核』を持つ者は、他人の『魔核』とそこから生み出される魔力を、ある程度は読み取れる。
特に、ユリウス帝はその能力に秀でており、対面するだけで相手の強さを正確に計れた。
クロードはそこまでではないが、それでも、主君のそれを違えるわけがない。
「余が現れなかったら、どうするつもりだったんだ?」
彼は二度目の人生でも主に仕えるために、直感に従い今日まで万全の準備を整えてきた。確信があったわけではない。それでもクロードは待っていた。
「いつまでもお待ちいたします」
「待つといっても、出会える保証はなかろう?」
それでもクロードのやるべきは、ただひとつ。
「今世でお会いできなければ、再度、転生してお待ちいたします」
「忠義な奴よのう」
ユーリはフッと笑い、柔らかい目で、前世に思いを馳せる。そして、クロードの人生についても。
「陛下――」
「ユーリだ」
これは決意表明だ。自分はもう主君ではない。二人の関係性は変わったのだと告げる発言だ。
真っ直ぐ射る彼女の視線をクロードは受け止める。
そして、彼もユーリの目をしっかりと捉える。
「失礼いたしました。ユーリ様」
「呼び捨ても構わんぞ」
「いえ……」
さすがにそれはできなかった。いずれ、できるようになるのだろうか。
「まあ、どちらでもよい」
「ユーリ様はこれから、どうなされるおつもりですか?」
「そうだな……」
思いを巡らす。前世の記憶を取り戻してから、ずっと考えていた。そして、おおよそ考えは固まっている。
「もし、今世でも覇道を歩むのでしたら、ユーリ様の片腕となり、大陸を制してみせましょう」
真剣な目――洒落や冗談でないことは、分かっている。
「いや、そういうのは……もう十分だ」
フッと鉄臭いにおいを思い出す。脳裏によぎるのは血塗られた前世。幾千幾万の死体を積み上げてできた玉座。
「そうだな……」
ユーリは細い顎を手に乗せ、視線を落とす。考えるときの癖で、クロードにとっては見慣れた光景だった。
「……自分のために生きるか」
長い長い沈黙の後、彼女の口から呟きが漏れた。
その言葉の続きが出るのを、クロードは黙って待つ。
「なにものにも縛られぬ人生……。余にもそなたにも、とんと縁がなかった」
父である先帝が崩御したとき、ユリウスは一二歳だった。
その直後、兄弟での跡目争いが起こる。それに勝利し、即位してからも内乱を収め、隣国との戦いに明け暮れ――大陸を制覇した後は、魔族との戦いだ。
休むことも振り返ることもなく、ただ、走り続けた。止まれば殺される。生きるには、殺し続けるしかなかった。
皇帝という役割に、民の安寧を守る役割に、がんじがらめの人生だった。そして、常にともにあったクロードにとってもそれは同じこと。
――自分のための人生。
生まれ変わった皇帝が望むのは、大陸を制覇しても手に入れられなかったものだった。
「自分のために生きることの意味」
ユーリは続ける。
「自分のために生きる民の気持ち」
さらに。
「民を守るために生き抜いた前世に価値はあったのか」
そして、クロードの目をじっと見る。
「それを知りたい」
噛みしめるように出たユーリの言葉。心からの願い。強制された目的ではなく、自分で決めた目的。ユーリは今世の指針を得て、スッキリした笑顔を見せる。
「余はそなたとともに、人生を謳歌したい。ついてきてくれるか?」
「御意」
「まあ、硬くなるな。二人で毎日を楽しもうじゃないか」
クロードが頷くと、ユーリは満足気にグラスを傾けた。短い沈黙が流れる。未来に向けた、心地よい静寂だ。
しばらくそれを満喫した後、ユーリがゆっくりと話し始める。
「ところで、どこまで覚えておる?」
「それが、どうも曖昧なのです」
「余も似たようなものだ。だが、余にはそなたが死んだという記憶がない。そなたの方が長く生きたのか?」
「いえ、私もユーリ様がお亡くなりになった記憶がございません」
「ふむ。となると二人とも生きたまま、同時期に転生したのか?」
ユーリは考え込む。少し顔を伏せ、左手の人差し指で右頬を掻きながら。記憶をたどり、そして、取っかかりを見つけた。思い出せる最後の記憶だ。
「魔王の記憶は?」
「魔王との最終決戦の直前まで……そこで記憶が途切れております」
「余と同じだな。余もそこまでしか覚えておらん。魔王の顔も、名前も、その場にいた者も。やはり、魔王の仕業と考えるのが妥当か……」
確証はないが、それが一番もっともらしかった。
「余とそなたが転生したのであれば、他の者も転生している可能性があるな」
ユーリは前世を思い出す。敵も多かったが、頼りになる臣下も大勢いた。もし叶うなら、会いたい相手は少なくない。幾人もの顔が思い浮かぶ。
だが、すぐにその気持ちを頭から追い払い、意識を現在に戻す。
「まあ、今の段階で推測しても、なにも得られん。前世のことはおいおい考えればいい。気にならないわけではないが、それよりも、今はこの人生を楽しもうではないか」
割り切りの速さは前世と同じ。クロードは思い出す。
――直感に従おうと、何時間も考え込もうと、得られる答えは大して変わらん。
即断即決。悩むことなく、前に進む。それこそが、ユリウス帝が大陸の覇者となれた理由だ。
「一度は終わったかもしれない命だ。せっかくそなたとも出会えた。ならば、この人生を楽しむのみ」
「承知いたしました。全力を尽くしてお仕えいたしましょう」
「俗世のことはそなたの方が詳しかろう。案内任せたぞ」
「お任せください」
「余は右も左も知らぬ、ただの幼女だ。守ってくれるだろ?」
ユーリはいたずらっぽく笑う。どう反応したらいいかクロードが戸惑っていると――
ユーリの身体がふらりと揺れる。
「陛下ッ!」
クロードは反射的にユーリに手を伸ばし、華奢な身体を支える。
「その呼び方はやめろと言ったであろう」
「申し訳ございません、ユーリ様」
「うむ」
「お身体は大丈夫ですか?」
「どうやら、さっきの酒が回ったようだ」
クロードを安心させるように口元を緩める。前世では、酔い潰れることなど一回もなかった。そんな隙を見せることはできなかった。
「……ユーリ様」
「神の粋な計らいだ。存分に楽しもうではないか……」
ユーリは目をつぶり、クロードの腕の中で、すやすやと寝息を立て始めた。クロードは支えていた腕を回し、ユーリを持ち上げる。
そして、軽く、頼りなく、儚げな身体を優しく抱き上げ、ベッドまで運んだ。
†
翌朝――
目を覚ましたユーリは違和感を覚え、刹那、布団を跳ね上げ、枕元に手を伸ばす。
だが、手の先に剣はなく、弱々しく蹴られた布団はその場にストンと落ちた。
「そうであったな…………」
ユーリは「ふぅ」と息を吐き、顔にかかった長髪をかき上げる。
皇帝時代の習性で身体が反応してしまったが、しっかり覚醒した今、理解した。違和感の正体は自分の外ではなく、自らの身体にあることに。
薄暗い室内。クロードがユーリのために用意した寝室だ。使われた形跡がないが、清潔に保たれている。ベッドに衣装ダンスだけの殺風景な部屋。それ以上を主は必要としない――クロードらしい心配りだ。
ユーリはベッドから下り、カーテンを開ける。いつもと変わらぬ朝の日差しは、だが、彼女の知らないものだった。目線を上げて、その理由に気がつく。
「この身体だと、こう感じるのか」
記憶より高い位置から注ぐ光が銀色の髪を輝かせた。
彼女は視線を落として手を見つめる。小さく、柔らかく、頼りない手だ。手だけではない。姿見に映る姿を確認し、フッと笑みをこぼす。
それから大きく背を伸ばすと、身体の節々が文句を言う。筋肉も休みたがっている。そして、身体の持ち主も同意していた。
「ユリアナはまだ寝ているようだな」
コンコン――そのタイミングでノックの音が響く。押しつけがましいわけでもなく、遠慮しているのでもない、絶妙なバランスだ。心当たりは一人しか存在しない。
「入れ」
「おはようございます。お加減はいかがですか?」
すでに身支度を終えたクロードが盆を手に現れる。盆の上には水差しとコップ、そして、粉薬が載っていた。それを見て、彼女のこめかみが引っ張られ、頭がズキンと鳴る。
「こちらを」
彼女は渡された粉薬を水で流し込む。
「この身体では、酒を飲むのも、薬を飲むのも、一苦労だな」
クロードに向かって、「おえっ」と舌を出して見せる。
「ベタベタするな」
寝汗のせいでベタついたワンピースをパタパタと揺すった。
「シャワーを浴びますか?」
「しゃわー?」
聞き慣れぬ単語にユーリは首をかしげる。
「身体を清める魔道具です」
「魔道具?」
「失念しておりました。あの頃には、魔道具はなかったですね。魔道具は魔力によって働く道具です。シャワーは魔法を使わずとも、お湯が出る魔道具です」
「ほう。よく分からんが、便利になったようだな。面白そうだ。試してみるぞ」
「では、下に参りましょう」
浴室に入り、クロードが使い方を教えていく。
「ああ、分かったぞ」
説明の途中で、ユーリが口を挟んだ。
「ですが、まだ説明が――」
「いらんいらん。取って食われるでもなし。試してみるのも一興である」
そうだった、とクロードは皇帝の好奇心の強さを思い出す。新しい物はなんでも試してみる。それも自分の手で。
――一〇個試して、ひとつが上手くいけば、大当たりだ。
その好奇心が、失敗の山を積み上げ、新しい武器を生み、新しい戦術を生み、最強の軍隊を作り上げた。
「ほら、さっさと立ち去れい。それとも、余の裸に興味があるのか?」
「いえ、失礼しました。こちらに着替えを置いておきます」
クロードはユーリに背中を押され、浴室から追い出される。
「なにかあったら、お呼びください」
待ちきれずに脱衣所の扉を閉じたユーリに、彼の声は届いただろうか。
ユーリはさっそく全裸になり、嬉々として浴室へ飛び込んだ。浴室の半分は浴槽が占めていたが、今は湯が張られていない。そして、壁に掛かっているシャワーに目が釘付けになる。
「ほう、これがシャワーか。ここを捻ればいいのだな」
取っ手を捻ると同時に、シャワーから水が飛び出る。クロードの説明を途中で切り上げたせいで知らなかったのだが、持ち前の反射神経で飛びすさり、濡れることは免れた。
「驚かすでない。だが、興味深いな」
シャワーから出る水に手をかざすと、だんだんと水温が上がってくる。
「これで温まれということか」
流れるお湯を手で遊ぶ。
「ほう。これは新鮮だ」
銀色の髪を濡らしたお湯が、幼い肢体を流れ落ちる。
初めての体験に浮かれる彼女だったが、ひとつ不満があった。説明をちゃんと聞いていれば解決できる不満だったものの……ユーリは浴室から脱衣所に移動する。
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