『仕事です』~恋愛脳への最後の言葉

庭にハニワ

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『あの男』のご近所さん。

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あら?
狂い咲きの花畑の主人が何の用?
アンタのとこただでさえウルサいんだから、こんなとこでフラフラしてないでなんとかしてよ。
何よ。
アンタが自分で好き好んで高貴な花ばかり集めたんだから、ちゃんと最後まで責任取りなさいよ。

……え?
助けろ?
何で。

学園追い出されて家に帰ったら、親兄妹は居なかった。
姫さま達の世話をする者が必要だ。

だから何?

アンタの家族、アンタが高貴な方々引き連れて戻ってくるって聞いた途端に夜逃げしたわよ。
そりゃあ見事な逃げっぷりだったわ。
普通に考えて、お姫さまやらお嬢さまやらの満足するお世話なんて、出来ゃしないものね。

聖女さまが抜けてる?
どうでもいいわよそんな事。

幼なじみなんだから、助けてくれてもいいだろ?

なんであたしが色ボケ連中の世話しなきゃなんないのよ。
こっちは働いてんのよ。
そんなヒマないわよ。

……は?
お前はオレに惚れてんだろ?

アンタ、正気?
本っ当に何言ってんのよ。
アンタのどこに惚れるとこがあるの?
アタマん中、虫でも湧いてんの?
本気でバカよね。
バカ以外のナニモノでもないわね。

アンタな単なる近所の知人。
……いや、痴人だわね。

たまたまアタマの回りが良くて、学園に入れてさ。
オレはお前らボンクラとは違う~ってあたし達町の人をバカにしてたの知ってるわよ?
学園に入った平民は、アンタだけじゃあないのよ。
アンタがやらかした話だって、全部こっちに流れてきてたわよ。
あたしも食堂のおばちゃんも、八百屋のおっちゃんも肉屋のおかみさんも、パン屋のマリーも皆み~んなアンタのやらかした事知ってるわ。
アンタの家族、ずーっと申し訳なさそうにしてたし。
……なんでアンタなんかに高貴な方々が引っかかったのか、すっごい謎だけどね。

まぁ、あたしには関係ないし、どうでもいい事だけど。

……はあ?
金払えばいいだろ?
アンタ、あたしにアンタの尻拭いしろっての?

イヤよ。
冗談じゃあないわ。
たとえ大金払うって言われても、イヤよ。
だいたいアンタ、そんな余裕ないでしょ。
今でさえあの高貴な方々が、不満で不満で大騒ぎしてるってぇのに。
メイド雇う金なんか無いでしょ。
あったってイヤだけどね。

アンタ達に関わるのは、絶対にイヤよ。
『たとえ仕事だってイヤよ』
勝手に困ってなさいな。






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