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ギルド長、ボヤく。
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コウとミヤが去った後の支部長室にて。
ギルド長ことクリス・ヘイロンは、ぐったりとソファに横たわっていた。
何か申し訳なく思ったのか、コウが“ほんのお詫びです”と置いていった焼き菓子──ただのアップルパイである──の良い香りが、部屋中に漂っている。
が。
どうやら精神的な疲労が尋常じゃないらしい。
「……虹蛇様……。あの子達、ワタシの手におえないわ……」
ボソッと呟いたクリス。
返答など期待してはいなかったのだが。
『う~ん。ちょーっと思ってたよりも規格外じゃったかの~……』
ゑ。
クリスは身体を起こすと、中空を見据えて。
「虹蛇様? お休みになられていたはずじゃ……?」
虹蛇からの念話は続く。
『んー……。あやつら面白いからの~。気が向いた時に、たまに見ておる。最近黒のヤツとも関わり持ったじゃろ? なんとゆーかのー……。さすがは異世界人、と言ったところかの』
あぁ……。
そう言えば、そうだったわね。
最近めっきり忘れていた事実を思い出して。
クリスはもはやため息すら出てこない。
「……あれが異世界では一般的な人族だというのかしら? ……あら? でもスズ君とリッカちゃんは……」
ふと考え込むクリス。
……そこら辺には触れない方が無難だ、と途中で気付いたクリス。
……まあ、なんというか。
クリスは考え直した。
あの子達のおかげで、リーが外部に興味を持つようになったし。
食わず嫌いも克服したようだし。
良いことの方が多いかしらね?
いろいろと珍しい、美味しいモノも食べられるし、ね。
そこですかさず虹蛇が。
『あ~、それはちょ~っとウラヤマシイの~』
虹蛇様……。
あの子からレシピ譲り受けてるから、ワタシの作ったモノでよければ、後で転送致しますわ……。
『ん。よろしく、の』
念話終了。
……言いたいことだけ言って切れたわね……。
まあ、良いのだけれど……。
気のせいか、クリスの精神的疲労が2割り増しになった。
ギルド長が虹蛇との念話を終えた頃。
ほてほてと、ギルドから《壺中天(笑)》へと戻りながら。
「ねぇ、コウ?」
ミヤさんが言った。
「銀竜はいつ頃戻って来ると思う?」
ん~……。
どーなんでしょーね。
銀竜、予想外のスピードで、一気に隣国との国境の街ラクナに行ったよーだし。
今だにうろうろ……は、してないな。
一ヵ所で止まってる。
「……なんか、もーちょっとかかりそうな雰囲気ですね」
まあ、気長に待つとしましょーや。
ギルド長ことクリス・ヘイロンは、ぐったりとソファに横たわっていた。
何か申し訳なく思ったのか、コウが“ほんのお詫びです”と置いていった焼き菓子──ただのアップルパイである──の良い香りが、部屋中に漂っている。
が。
どうやら精神的な疲労が尋常じゃないらしい。
「……虹蛇様……。あの子達、ワタシの手におえないわ……」
ボソッと呟いたクリス。
返答など期待してはいなかったのだが。
『う~ん。ちょーっと思ってたよりも規格外じゃったかの~……』
ゑ。
クリスは身体を起こすと、中空を見据えて。
「虹蛇様? お休みになられていたはずじゃ……?」
虹蛇からの念話は続く。
『んー……。あやつら面白いからの~。気が向いた時に、たまに見ておる。最近黒のヤツとも関わり持ったじゃろ? なんとゆーかのー……。さすがは異世界人、と言ったところかの』
あぁ……。
そう言えば、そうだったわね。
最近めっきり忘れていた事実を思い出して。
クリスはもはやため息すら出てこない。
「……あれが異世界では一般的な人族だというのかしら? ……あら? でもスズ君とリッカちゃんは……」
ふと考え込むクリス。
……そこら辺には触れない方が無難だ、と途中で気付いたクリス。
……まあ、なんというか。
クリスは考え直した。
あの子達のおかげで、リーが外部に興味を持つようになったし。
食わず嫌いも克服したようだし。
良いことの方が多いかしらね?
いろいろと珍しい、美味しいモノも食べられるし、ね。
そこですかさず虹蛇が。
『あ~、それはちょ~っとウラヤマシイの~』
虹蛇様……。
あの子からレシピ譲り受けてるから、ワタシの作ったモノでよければ、後で転送致しますわ……。
『ん。よろしく、の』
念話終了。
……言いたいことだけ言って切れたわね……。
まあ、良いのだけれど……。
気のせいか、クリスの精神的疲労が2割り増しになった。
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ほてほてと、ギルドから《壺中天(笑)》へと戻りながら。
「ねぇ、コウ?」
ミヤさんが言った。
「銀竜はいつ頃戻って来ると思う?」
ん~……。
どーなんでしょーね。
銀竜、予想外のスピードで、一気に隣国との国境の街ラクナに行ったよーだし。
今だにうろうろ……は、してないな。
一ヵ所で止まってる。
「……なんか、もーちょっとかかりそうな雰囲気ですね」
まあ、気長に待つとしましょーや。
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