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カニパーティーと…不幸な誰か。
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VS.カニの真っ最中。
物理に走ったミヤさんを見て、スズが…。
ある意味言っちゃイケないコトを…。
ちょっ…スズ、それ言っちゃうんだ。
あ。
しまった。せっかく練った魔素が拡散した。
もう一回やり直して…と。
……。
よし。
おまたせ。
「ミヤさん、離れて!」
まずは、加熱。
練りに練った魔素を凝縮して…火炎弾。
ミヤさんが、散々殴りつけてた爪の根元──なんでこんなトコ狙ったんだ──を中心に、ガンガン連射。
炎に煽られて、カニが身悶えてるところを、次は冷却。
つか、もうお馴染みの。
「氷結!」
摂氏100度以上から一気にマイナス0度以下に。
これを何度も繰り返していると…。
なんとなく、カニの焼けるいいニオイがそこら中に漂い始めて…じゅるりっ。
トドメにミヤさんが、カニの脳天に一撃。
…余計な一撃だったかもしれないけど、まあ一応ね。
トドメをきっちりとさしておく。
…活き作りって、ザンコクだよな~?
「…や、生きながらの火焙り状態の、残酷焼きはどうするの?あれもなかなかザンコクだよね?」
ミヤさん、美味しくいただけるのなら、調理法には文句付けないで下さい。
自分で作るんじゃ無いならば、尚更。
さー、今夜は鍋だ。
カニ鍋だーっ!
──○○○──
…なんだあれ…。
こちらの予想を悉くハズすヤツらに、おれはもう言葉もなかった。
目的の──赤い髪の小僧──だけを残す為に、小僧の周囲の人族を1人ずつ減らしていこうと、まずは小娘を狙った。ヤツらの行動を先読みして、実習に行く学園生を使って、ヤツらが泊まるであろう宿に森妖虫の卵を持ち込ませた。思惑通り、小娘の使う部屋で孵った森妖虫は、小娘に寄生する前にその存在を気付かれて、赤髪の小僧に一撃で仕留められてしまった。
次に、昨日のことだが。
森に入って二手に分かれたのをいい事に、厄介そうな色男と小娘の方にカイザーとクィーン両方のコングの群れをけしかけた。
小僧どもが夢中になって採取していたから、気付かないだろうと思ったのだが。
…失敗した。
そして今日だ。
わざわざ森の奥から特大の森歩きを誘導して来たのに…このザマだ。
…何だったんだろう…。
あの、常に守られる側だった2人の、今日の狂乱ぶりは。
色男とあの赤髪の小僧も妙に嬉しそうだった。
森歩きには、さほど価値は無いハズなのだが…。
済んだことは仕方がない。
昨日、茶色の髪の小僧に存在を感づかれたことだし。この場は去ることにしよう。
あの男に報告しなければ、な…。
気が重い。
あの変態と話すことを考えるだけで、胃が痛い。
正直あんなオカシな男に目を付けられてるあの赤髪の小僧は…不憫、としか思えない。
時と世界を違えても続く執着とは…。
一方的なものでなければ、美談となったやも知れんのに…。
もはや溜め息すら出なかった。
その夜は、カニパーティーだった。
カニ鍋、カニ玉、カニ焼売…和食と中華が一緒くただが、気にするな。
美味けりゃいいのさ。
食うだけなんだから、文句言うな。
作る方の身にもなれや。
…カニクリームコロッケ作るには、牛乳系が手持ちに無かったんですよミヤさん…。
そこで地味~にプレッシャーかけるのヤメて下さいってば。
街に戻ったら、作りますから。
…って、なんで俺が作るのが当然になってんだか…。
5m級のカニは、さすがに4人では食い切れなかった。
異次元倉庫が時間も止まるタイプで良かったよ。いつでも好きな時に食える。
…こうなると、海の幸が恋しくなる。
焼き魚…貝の浜焼き…海老の鬼殻焼き…。
カニ食ったから、今度は海老か…。
あ、唐突にペスカトーレ食いたくなってきた。
ミヤさん、海行きましょう、海。
魚介類食いに。
「カニ鍋〆たばっかだっつーのに…。コウの食欲が爆発した件について。こうなったらもう、魚食うまでずーっとウルサいですよ」
付き合い長いからな。
お前はよく知ってるわな、スズ。
「…川の…と、いうか、淡水魚じゃダメなの?コウ君」
リッカさんが、仕方ない子ね、って顔で俺を見ている。
ダメなんです。
取れたてピチピチの海の魚を塩焼きにして、ガブリといきたいんです。
どーしても。
ミヤさんが、やれやれ顔で言った。
「お母さんがこう言ってるし、酒の実の依頼が済んだらちょっと海の方に行こうか」
誰がお母さんか。
いつまでそのネタ引っぱるんですか。
物理に走ったミヤさんを見て、スズが…。
ある意味言っちゃイケないコトを…。
ちょっ…スズ、それ言っちゃうんだ。
あ。
しまった。せっかく練った魔素が拡散した。
もう一回やり直して…と。
……。
よし。
おまたせ。
「ミヤさん、離れて!」
まずは、加熱。
練りに練った魔素を凝縮して…火炎弾。
ミヤさんが、散々殴りつけてた爪の根元──なんでこんなトコ狙ったんだ──を中心に、ガンガン連射。
炎に煽られて、カニが身悶えてるところを、次は冷却。
つか、もうお馴染みの。
「氷結!」
摂氏100度以上から一気にマイナス0度以下に。
これを何度も繰り返していると…。
なんとなく、カニの焼けるいいニオイがそこら中に漂い始めて…じゅるりっ。
トドメにミヤさんが、カニの脳天に一撃。
…余計な一撃だったかもしれないけど、まあ一応ね。
トドメをきっちりとさしておく。
…活き作りって、ザンコクだよな~?
「…や、生きながらの火焙り状態の、残酷焼きはどうするの?あれもなかなかザンコクだよね?」
ミヤさん、美味しくいただけるのなら、調理法には文句付けないで下さい。
自分で作るんじゃ無いならば、尚更。
さー、今夜は鍋だ。
カニ鍋だーっ!
──○○○──
…なんだあれ…。
こちらの予想を悉くハズすヤツらに、おれはもう言葉もなかった。
目的の──赤い髪の小僧──だけを残す為に、小僧の周囲の人族を1人ずつ減らしていこうと、まずは小娘を狙った。ヤツらの行動を先読みして、実習に行く学園生を使って、ヤツらが泊まるであろう宿に森妖虫の卵を持ち込ませた。思惑通り、小娘の使う部屋で孵った森妖虫は、小娘に寄生する前にその存在を気付かれて、赤髪の小僧に一撃で仕留められてしまった。
次に、昨日のことだが。
森に入って二手に分かれたのをいい事に、厄介そうな色男と小娘の方にカイザーとクィーン両方のコングの群れをけしかけた。
小僧どもが夢中になって採取していたから、気付かないだろうと思ったのだが。
…失敗した。
そして今日だ。
わざわざ森の奥から特大の森歩きを誘導して来たのに…このザマだ。
…何だったんだろう…。
あの、常に守られる側だった2人の、今日の狂乱ぶりは。
色男とあの赤髪の小僧も妙に嬉しそうだった。
森歩きには、さほど価値は無いハズなのだが…。
済んだことは仕方がない。
昨日、茶色の髪の小僧に存在を感づかれたことだし。この場は去ることにしよう。
あの男に報告しなければ、な…。
気が重い。
あの変態と話すことを考えるだけで、胃が痛い。
正直あんなオカシな男に目を付けられてるあの赤髪の小僧は…不憫、としか思えない。
時と世界を違えても続く執着とは…。
一方的なものでなければ、美談となったやも知れんのに…。
もはや溜め息すら出なかった。
その夜は、カニパーティーだった。
カニ鍋、カニ玉、カニ焼売…和食と中華が一緒くただが、気にするな。
美味けりゃいいのさ。
食うだけなんだから、文句言うな。
作る方の身にもなれや。
…カニクリームコロッケ作るには、牛乳系が手持ちに無かったんですよミヤさん…。
そこで地味~にプレッシャーかけるのヤメて下さいってば。
街に戻ったら、作りますから。
…って、なんで俺が作るのが当然になってんだか…。
5m級のカニは、さすがに4人では食い切れなかった。
異次元倉庫が時間も止まるタイプで良かったよ。いつでも好きな時に食える。
…こうなると、海の幸が恋しくなる。
焼き魚…貝の浜焼き…海老の鬼殻焼き…。
カニ食ったから、今度は海老か…。
あ、唐突にペスカトーレ食いたくなってきた。
ミヤさん、海行きましょう、海。
魚介類食いに。
「カニ鍋〆たばっかだっつーのに…。コウの食欲が爆発した件について。こうなったらもう、魚食うまでずーっとウルサいですよ」
付き合い長いからな。
お前はよく知ってるわな、スズ。
「…川の…と、いうか、淡水魚じゃダメなの?コウ君」
リッカさんが、仕方ない子ね、って顔で俺を見ている。
ダメなんです。
取れたてピチピチの海の魚を塩焼きにして、ガブリといきたいんです。
どーしても。
ミヤさんが、やれやれ顔で言った。
「お母さんがこう言ってるし、酒の実の依頼が済んだらちょっと海の方に行こうか」
誰がお母さんか。
いつまでそのネタ引っぱるんですか。
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