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さあ、お片付けの時間です。
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俺ら──俺とミヤさんが、思いっきり暴れていた頃。
スズとリッカさんは──。
「引きこもって、不安に震えていたわよ」
「何が起きてんのか、まったく分かんなかったからなぁ」
あれ?
今回は、結界の中から見てなかったんだ?
「いや、オレが結界に着いて、中に入ってさ。入れ替わりでミヤさんが出てった後、氷のドームで覆ったろ?」
あー、うん。
「中からは、すりガラス状態になってて外なんかよく見えなかった。…すぐに真っ赤に染まったから、なんとなく見えない方がいいんだな、と理解したけどな」
ミヤさん…。
3人でミヤさんを見た。
ミヤさんは、にっこり笑ってゴマかした。
…や、それが効いてるの、リッカさんだけ…じゃ、なかったな。何顔赤くしてんだよスズ…。
「…や~、やっぱミヤさんイイ男だな、と」
改めて思ったそーだ。
…この惨状の半分以上引き起こしたの、ミヤさんだけど?
確かに見てくれは良いけど、ぶっちゃけ中身は脳筋に近いぞ。
まあ、一応いろいろと考えてくれるし、動いてくれるけど、どっちかってぇと脳筋寄りだぞ。
「…そんなにお仕置きされたかったんだ…ふ~ん…」
げ。
ミヤさんが、薄~く笑っている。
スズは諦め顔で、リッカさんは萌え上がっていた。
あんた元気ですね。
元気ついでにここの後始末、やりましょうね。
ミヤさんがボソリと。
「…そのうちやるからね?覚悟しといてよ」
…忘れた頃に仕掛けてくるの、ヤメて下さい…。
それはさておいて。
こんな惨状、どーしろって…。
とりあえず、サル共の死骸とか破片とかは一カ所にまとめてから──分解処分かな?
ここ森の中だし。
…すでにちょっとした広場になってるけど、一応森の中だし。
気絶してたりケガしてるだけの生きてるサル共は──これも一カ所に集めて、と。
よしスズ、結界の応用だ。
リッカさんと協力しろ。
「何やらすんだよ~…」
スズがボヤくが、知らん。
え、何。
お前もこっちで死骸の処理やる?
「さー、どんな結界にするんだ?」
うむ。
決断が早くて何より。
えーとだな~…。
「時限式で、時間が来たら勝手に解除されるヤツで、ついでに治癒魔法がかかるよーに…とかどーよ?襲って来たから対処しただけで、好きこのんでこんな惨状引き起こしたわけじゃないし。生きてるモンには生きてもらおうかと」
「…それで、私とスズ君で協力ってコトなのね。結界と錬金術頑張ってるスズ君と、治癒系と錬金術頑張ってる私の2人で、ってコトなのね。…あら?これも小銭稼ぎになるのかしら?」
いらん所に気付いたか。
確かに治癒系の結界とか、夜間休んでる時に使えれば良いと思うんだろ~が、…忘れてないか?
治癒魔法って、ケガは治るが疲れ…つか疲労は取れないぞ。楽にはなるが、疲労は微妙に残るぞ。
思い出してみろ。
馬車の揺れで疲れが溜まった身体は、治癒魔法じゃスッキリしなかっただろ~が。
「…ケガ人前提で作れば…」
2人で考え込みだした。
とにかく、そっちは任せた。
いい加減、死骸処理の方に行かないと、ミヤさんのお仕置き…つか、足ツボマッサージが長くなる。
一カ所にサル共の死骸をまとめたらば、ちょっとした小山が出来てしまった。
血が染み込んだ地面ってのも、ちょっと…かなり不衛生だよな。
「…この状況で衛生面とか気にする?」
うっさいですよ、ミヤさん。
気分の問題です。
だいたい血に染まった大地って、どこの戦場ですか。
とりあえず、穴を掘る。
地属性魔法で土を柔らかくしてから、ごっそりと移動させた。
ん~…。
だいたい直径、深さ共に10mくらいの大きさの穴がポッカリと開いた。
そこにまとめておいた死骸をドサーッと入れて、と。
ミヤさん、やりますか?
「分解か…。砂粒くらいでいいかな?」
ばふっ…と一気に砂になった。
…早いっスね…。
「こんなことに時間かけてどーするの」
それもそーだ。
んじゃ、埋めま~す。
うん。
パッと見血に染まった大地には見えなくなったか。
…あっちこっちに飛んでる分は…知らん。
キリがない。
「中途半端だね」
うっせーですよミヤさん。
やらかしたのあんたでしょ?
血まみれ大地より、あっちの方が問題でしょーが。
俺は半壊状態で、無惨な姿の酒の木を指した。
生きてんのかね。
《鑑定》掛けるのがちょっと怖い。
ため息ついてると、ミヤさんが。
「何とかなるかもよ?」
おお、いつの間に。
ミヤさんは、半壊した酒の木の根元にいた。
「根っ子は無事なようだし、木の細胞も人の細胞も同じようなモンでしょ?治癒魔法と植物栄養剤とかで、何とかなるんじゃないかな?」
あー、ケガを治すって発想か。
なるほどな~。
「まあ、今日はもう日が暮れそうだから、何をするにしても明日になるかな。とりあえずは《壺中天(笑)》に戻らないとね」
や、持ってきてますけど。
さすがに魔法具置きっぱにはしないでしょ。
ただ、惨劇のあった場所に展開するのも何なんで。
「俺らが採取した方の酒の木のとこに行きますか」
「そうだね」
スズとリッカさんは──。
「引きこもって、不安に震えていたわよ」
「何が起きてんのか、まったく分かんなかったからなぁ」
あれ?
今回は、結界の中から見てなかったんだ?
「いや、オレが結界に着いて、中に入ってさ。入れ替わりでミヤさんが出てった後、氷のドームで覆ったろ?」
あー、うん。
「中からは、すりガラス状態になってて外なんかよく見えなかった。…すぐに真っ赤に染まったから、なんとなく見えない方がいいんだな、と理解したけどな」
ミヤさん…。
3人でミヤさんを見た。
ミヤさんは、にっこり笑ってゴマかした。
…や、それが効いてるの、リッカさんだけ…じゃ、なかったな。何顔赤くしてんだよスズ…。
「…や~、やっぱミヤさんイイ男だな、と」
改めて思ったそーだ。
…この惨状の半分以上引き起こしたの、ミヤさんだけど?
確かに見てくれは良いけど、ぶっちゃけ中身は脳筋に近いぞ。
まあ、一応いろいろと考えてくれるし、動いてくれるけど、どっちかってぇと脳筋寄りだぞ。
「…そんなにお仕置きされたかったんだ…ふ~ん…」
げ。
ミヤさんが、薄~く笑っている。
スズは諦め顔で、リッカさんは萌え上がっていた。
あんた元気ですね。
元気ついでにここの後始末、やりましょうね。
ミヤさんがボソリと。
「…そのうちやるからね?覚悟しといてよ」
…忘れた頃に仕掛けてくるの、ヤメて下さい…。
それはさておいて。
こんな惨状、どーしろって…。
とりあえず、サル共の死骸とか破片とかは一カ所にまとめてから──分解処分かな?
ここ森の中だし。
…すでにちょっとした広場になってるけど、一応森の中だし。
気絶してたりケガしてるだけの生きてるサル共は──これも一カ所に集めて、と。
よしスズ、結界の応用だ。
リッカさんと協力しろ。
「何やらすんだよ~…」
スズがボヤくが、知らん。
え、何。
お前もこっちで死骸の処理やる?
「さー、どんな結界にするんだ?」
うむ。
決断が早くて何より。
えーとだな~…。
「時限式で、時間が来たら勝手に解除されるヤツで、ついでに治癒魔法がかかるよーに…とかどーよ?襲って来たから対処しただけで、好きこのんでこんな惨状引き起こしたわけじゃないし。生きてるモンには生きてもらおうかと」
「…それで、私とスズ君で協力ってコトなのね。結界と錬金術頑張ってるスズ君と、治癒系と錬金術頑張ってる私の2人で、ってコトなのね。…あら?これも小銭稼ぎになるのかしら?」
いらん所に気付いたか。
確かに治癒系の結界とか、夜間休んでる時に使えれば良いと思うんだろ~が、…忘れてないか?
治癒魔法って、ケガは治るが疲れ…つか疲労は取れないぞ。楽にはなるが、疲労は微妙に残るぞ。
思い出してみろ。
馬車の揺れで疲れが溜まった身体は、治癒魔法じゃスッキリしなかっただろ~が。
「…ケガ人前提で作れば…」
2人で考え込みだした。
とにかく、そっちは任せた。
いい加減、死骸処理の方に行かないと、ミヤさんのお仕置き…つか、足ツボマッサージが長くなる。
一カ所にサル共の死骸をまとめたらば、ちょっとした小山が出来てしまった。
血が染み込んだ地面ってのも、ちょっと…かなり不衛生だよな。
「…この状況で衛生面とか気にする?」
うっさいですよ、ミヤさん。
気分の問題です。
だいたい血に染まった大地って、どこの戦場ですか。
とりあえず、穴を掘る。
地属性魔法で土を柔らかくしてから、ごっそりと移動させた。
ん~…。
だいたい直径、深さ共に10mくらいの大きさの穴がポッカリと開いた。
そこにまとめておいた死骸をドサーッと入れて、と。
ミヤさん、やりますか?
「分解か…。砂粒くらいでいいかな?」
ばふっ…と一気に砂になった。
…早いっスね…。
「こんなことに時間かけてどーするの」
それもそーだ。
んじゃ、埋めま~す。
うん。
パッと見血に染まった大地には見えなくなったか。
…あっちこっちに飛んでる分は…知らん。
キリがない。
「中途半端だね」
うっせーですよミヤさん。
やらかしたのあんたでしょ?
血まみれ大地より、あっちの方が問題でしょーが。
俺は半壊状態で、無惨な姿の酒の木を指した。
生きてんのかね。
《鑑定》掛けるのがちょっと怖い。
ため息ついてると、ミヤさんが。
「何とかなるかもよ?」
おお、いつの間に。
ミヤさんは、半壊した酒の木の根元にいた。
「根っ子は無事なようだし、木の細胞も人の細胞も同じようなモンでしょ?治癒魔法と植物栄養剤とかで、何とかなるんじゃないかな?」
あー、ケガを治すって発想か。
なるほどな~。
「まあ、今日はもう日が暮れそうだから、何をするにしても明日になるかな。とりあえずは《壺中天(笑)》に戻らないとね」
や、持ってきてますけど。
さすがに魔法具置きっぱにはしないでしょ。
ただ、惨劇のあった場所に展開するのも何なんで。
「俺らが採取した方の酒の木のとこに行きますか」
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