目標:撤収

庭にハニワ

文字の大きさ
上 下
57 / 374

とにかく雷撃と氷結。

しおりを挟む
ドランクモンキーの鳴き声が大きくなって来た。
こちらに向かってくるドランクモンキーを、雷撃で打ち落としていく。
ショック状態で痺れて動けなくなってるだけだし、1日経てば元に戻るさ。
スズは自分を結界でくるんで──おー、反射させてる。
器用だな。

ドランクモンキー、スズに飛びかかる。
結界に弾かれる。
近くにいた仲間にぶつかるドランクモンキー。
何匹か纏まって転がって行く。

…落ち着いて見てたら面白いかも…が、そんなヒマは無い。

「いた!あれだろ、コウ!」

うわあ。

サルがたかっている。

結界を中心に、ドランクモンキーと、ドランクコングが入り乱れて暴れている。
結界をガンガン殴ったり蹴ったり…。
2人は無事か?
カイザーコングとクィーンコングはどこだ?
まあ、とにかく。

「スズ!今あそこまで道作るから、早くミヤさんらのとこへ!」

これだけ暴れてたら、今更血のニオイくらいでどーこーなることも無い…か、な?
でも。
氷結でトンネルを作って…ついでにミヤさんらの結界ごとくるみ込んじまえばいいか。
すっげー久々にマジで魔法使うな~…。

俺が伸ばした右手の先から、氷結が始まった。
みるみるうちに、氷のトンネルが形成されていく。
…途中でサルどもを巻き込んでるのは…まあ、そこにいたからな~。しょうがない。

「スズ、お前がミヤさんらの所に着いたら氷でドーム作って、トンネルは潰す。あとは──」
「こっちで何とかする!」
「OK!んじゃ、行けー!」

スズがトンネルに飛び込み、走り出した。
トンネルにまとわりついてくるサル共を凍らせるが…キリがないな。
サルの群れ…それもデカいヤツって、何頭くらい居るんだっけ?

…着いたか、スズ。
んじゃ変形させて、トンネルは潰す、と。
ついでに張り付いてたサル共もまとめて潰してみた。ら。
今度はドランクコングメインか。
待ってました的にゾロゾロ出てきたが。
まあ──氷結のおかげで、そこら辺に氷の破片が散らばっているし。
…すぐに溶けて水になるよな?
電気の通りも良くなるよな?

雷撃──。

バタバタ倒れていくドランクコングども。
と、氷のドーム方面から、血臭が漂ってきた。
ミヤさん出てきたかー。
あの人、物理特化だからな~。
サル共、細切れになってないか?



どこからともなくゴリラのドラミングの音が響いてきた。

「コウ!」

ミヤさんと合流。
うわ~、この人返り血一つ浴びてないよ。
ドーム周辺は、あんなに赤いのに。

「ミヤさん。カイザーとクィーンは?」

ミヤさんが、視線を向ける。
そっち方向には酒の木──俺らがまるっと採取した清酒の木と同じくらい──だったんだろう酒の木が。
あっちこっち枝ごと酒の実を毟り取っているのか、ベキバキに折られまくって、ちょっと無惨な姿になってる酒の木があった。
あー…。太い枝までやられている。
そこに、2頭。
ゴリラ──ドランクコングの倍以上デカいゴリラがいた。
毟り取った酒の実を、一口かじっちゃそこいらに放り出して…。
あれ?酔っ払ってんの?

「酒の実ってさ。生のままだと内包してる魔素が強過ぎて、生物には毒にしかならないんだよ。だからわざわざ乾燥させて、水分と共に魔素を抜いてから使うわけ。生であんなにガリガリやってたら──」

ガリガリってか、ぐちゃぐちゃだけどな。

「どちらか一方ならともかく、2頭もいたんじゃね~…」

さすがに荷が重い。
そう言って、ミヤさんは顔をしかめた。

「ひょっとして、ですけど。こんなにザコが多いのは──」
「カイザーの群れとクィーンの群れが合流しちゃったんだよ。同士討ちにならなかったのは、やっぱり群れを率いていたのがオスとメスだったからかな。気が合っちゃったみたいだよ」

………。
で、今は2頭仲良く酒の木を荒らしてる、と…。



俺らを遠巻きにしていたサルとゴリラが、にじにじとにじりよってきた。
氷のドームの方にも、いまだにたかっている。
とりあえず、さ。

「…集団の頭潰せばコイツらどっか行くかな?」
「…酒の木も凄いことになってるしねー…。生態系がどーのって言ってる場合じゃないね、これ」

…ってか、この数イチイチ相手すんのメンドーだし。

自然破壊します。

…もう、かなりやってる気がするけどな。



氷結と雷撃を交互に展開。
結構な範囲で何度も繰り広げる。
バタバタゴロゴロ倒れて転がっていくサルとゴリラ。
ミヤさんは、魔刃を鞭のように振り回して、1頭ずつ確実に首を落としていく。
…返り血なんて、付くわけないわな…。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界で勇者をやって帰ってきましたが、隣の四姉妹の様子がおかしいんですけど?

レオナール D
ファンタジー
異世界に召喚されて魔王を倒す……そんなありふれた冒険を終えた主人公・八雲勇治は日本へと帰還した。 異世界に残って英雄として暮らし、お姫様と結婚したり、ハーレムを築くことだってできたというのに、あえて日本に帰ることを選択した。その理由は家族同然に付き合っている隣の四姉妹と再会するためである。 隣に住んでいる日下部家の四姉妹には子供の頃から世話になっており、恩返しがしたい、これからも見守ってあげたいと思っていたのだ。 だが……帰還した勇治に次々と襲いかかってくるのは四姉妹のハニートラップ? 奇跡としか思えないようなラッキースケベの連続だった。 おまけに、四姉妹は勇治と同じようにおかしな事情を抱えているようで……? はたして、勇治と四姉妹はこれからも平穏な日常を送ることができるのだろうか!? 

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜

himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。 えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。 ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ! ★恋愛ランキング入りしました! 読んでくれた皆様ありがとうございます。 連載希望のコメントをいただきましたので、 連載に向け準備中です。 *他サイトでも公開中 日間総合ランキング2位に入りました!

チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記

ノン・タロー
ファンタジー
ごく普通の女子高生である「武久 佳奈」は、通学途中に突然異世界へと飛ばされてしまう。これは何の特殊な能力もチートなスキルも持たない、ただごく普通の女子高生が、自力で会得した魔法やスキルを駆使し、元の世界へと帰る方法を探すべく見ず知らずの異世界で様々な人々や、様々な仲間たちとの出会いと別れを繰り返し、成長していく記録である……。 設定 この世界は人間、エルフ、妖怪、獣人、ドワーフ、魔物等が共存する世界となっています。 その為か男性だけでなく、女性も性に対する抵抗がわりと低くなっております。

拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、ひょんなことで死亡した僕、シアンは異世界にいつの間にか転生していた。 とは言え、赤子からではなくある程度成長した肉体だったので、のんびり過ごすために自給自足の生活をしていたのだが、そんな生活の最中で、あるメイドゴーレムを拾った。 …‥‥でもね、なんだろうこのメイド、チートすぎるというか、スペックがヤヴァイ。 「これもご主人様のためなのデス」「いや、やり過ぎだからね!?」 これは、そんな大変な毎日を送る羽目になってしまった後悔の話でもある‥‥‥いやまぁ、別に良いんだけどね(諦め) 小説家になろう様でも投稿しています。感想・ご指摘も受け付けますので、どうぞお楽しみに。

転生しても侍 〜この父に任せておけ、そう呟いたカシロウは〜

ハマハマ
ファンタジー
 ファンタジー×お侍×父と子の物語。   戦国時代を生きた侍、山尾甲士郎《ヤマオ・カシロウ》は生まれ変わった。  そして転生先において、不思議な力に目覚めた幼い我が子。 「この父に任せておけ」  そう呟いたカシロウは、父の責務を果たすべくその愛刀と、さらに自らにも目覚めた不思議な力とともに二度目の生を斬り開いてゆく。 ※表紙絵はみやこのじょう様に頂きました!

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

[完結]回復魔法しか使えない私が勇者パーティを追放されたが他の魔法を覚えたら最強魔法使いになりました

mikadozero
ファンタジー
3月19日 HOTランキング4位ありがとうございます。三月二十日HOTランキング2位ありがとうございます。 ーーーーーーーーーーーーー エマは突然勇者パーティから「お前はパーティを抜けろ」と言われて追放されたエマは生きる希望を失う。 そんなところにある老人が助け舟を出す。 そのチャンスをエマは自分のものに変えようと努力をする。 努力をすると、結果がついてくるそう思い毎日を過ごしていた。 エマは一人前の冒険者になろうとしていたのだった。

処理中です...