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既に番外編じゃあない。4
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王族2人と宰相、白ひげじーさんとの話し合いは、まず自己紹介から始まった。
そして、ざっくり過ぎる説明。
だが、王が語った事とさほど変わりなく。
よーするに。
どんな望みや願いでも、叶えてやるから戦え、と。
そう言っているのだが……。
どーにも浮かれた大人2人が、早々に参戦表明してしまい。
年長女子2人は、ただぐずぐずと涙目でうじうじしてるだけで。
大人どもが、まったく役に立たない。
そして人気者達は、『友情・努力・勝利』を全面に押し出して、キレイ事を並べ立てて、多数決、という民主主義に訴える迄もなく全員での戦争参加が決定してしまった。
なんとゆーか、こう、流れ的に。
雰囲気的に。
妙に盛り上がってる年長男子……つか、おっさん2人とクラスメイト達。
そんな奴らを、どこかシラケた目で眺める真言。
和樹も乗り気では無いようだ。
「……な~んか、良いコトばっか言ってるけどさ。……戦争って言ってるじゃんか。殺し合いするって、どーゆーコトか、分かってんのかね。後、一番大事なコトスルーしてるよな。……俺ら、帰れるのかよ……」
「……それな」
2人が、盛り上がってる輪からちょっと外れて並んで立っていると。
「……お前らは、冷静だな」
一緒に召喚されてきた、見知らぬおっさんが声を掛けてきた。
最初に声を上げたおっさんだ。
「さっきざっくりとやったけど、改めて。白桜高校3年、紅林真言です」
「あ、オレも。同じく進藤和樹です」
改めての自己紹介と共に、ぺこり、と頭を下げる2人。
それに答えるおっさんも。
「お、こりゃご丁寧に」
頭を下げて、改めての自己紹介を。
「おれは、佐伯冬至ってしがない長距離トラック運転手だ。歳は45な。で……だ」
おっさんは、真剣な顔をして声をひそめて言った。
「……お前らは、どこまで覚えているんだ?」
そして、自分が覚えている限りの召喚直前の出来事を話した。
おっさん曰く。
高速道路を走行中、急に奇妙な光に包まれハンドル操作を誤った……らしい。
「……で、気付いたら、何もない白い部屋に居てな。妙な男が出てきて、アンバランスな子供が出てきて。……あ~、この辺今イチ分かんねーな……」
おっさんは、イラついたよーに頭を掻いて、続けた。
「次の場面は、どっかの公園だ。……と、思ったんだが、どーやらムダに豪華な庭だったようだな。そこで、お前らと一緒にぼーっとつっ立ってた。後は──あの偉そうなおっさんに噛みついたくらいか」
お前らは? と視線で聞いてくるおっさん。
真言と和樹は顔を見合せ、さぁ話し始めよう、とした時。
「では、皆の者。今日のところは各自部屋にてゆっくりと休まれるがいい。明日には皆の職能を調べ、各自に適切な訓練を始めたいと思う。……さすがに今日明日で、いきなり戦場へ行け、などと無情な事を言うつもりはない。……その他、聞きたい事があるのなら各自部屋付きの者に聞くが良かろう。……王太子、王女、それでよろしいですかな?」
宰相の言葉に、王族の2人はただ頷いただけだった。
……王族って、お飾りか?
それとも……?
ちょっと探るような目を王族に向ける真言。
小声でぽつり、と言った。
「……王族って……」
おとなしく、何も言わずに転移者達の行動・言動を観察している王族達。
だが……自分達もまた、同じように観察されているとは思ってもいないようだ。
王太子、と言ってたか。
王太子は、泣き濡れる2人の大人女子を舐めるような目で見つめ。
王女は人気者のグループに目を付けたようだ。
やっぱ目立つヤツは目ぇ付けられやすいんだな~……。
親しいヤツ以外、あんまり気にしないように気配を遮断してた真言である。
……なんでトラックのおっさんに気付かれたんだろう……。
和樹を見てたら、隣りに立ってた俺も視界に入ったってコトかね?
まぁ、マトモそーなおっさんだから、良いか。
あの担任なんか、厨二が爆発してるモンな。
真言は、冷めた……と、いうよりも冷たい目で騒いでいる大人どもを眺めた。
三十路と五十路のおっさんコンビがすっげ~盛り上がってる。
……このテンションが、いつまで続くのやら……。
とりあえず、各自あてがわれた部屋へと移動した。
……個室だった。
ナニ企んでやがる。
部屋付きメイドってヤツが、やたら色目使いながらすり寄ってくるのが鬱陶しい。
ハニートラップにも程がある。
これに引っ掛かるヤツ……居るだろうな、確実に。
女子の方にも、ムダに顔の良い若い男の──執事? 従僕? そーゆーヤツが付いてるし。
ちょっと露骨過ぎないか?
半ば呆れながら、自分の部屋付きのメイドとちょっとした攻防戦を繰り広げている真言。
そんなところに、来客が。
和樹とトラックのおっさんだ。
これ幸いとメイドを追い出して、3人はちょっとした密談を始めた……。
そして、ざっくり過ぎる説明。
だが、王が語った事とさほど変わりなく。
よーするに。
どんな望みや願いでも、叶えてやるから戦え、と。
そう言っているのだが……。
どーにも浮かれた大人2人が、早々に参戦表明してしまい。
年長女子2人は、ただぐずぐずと涙目でうじうじしてるだけで。
大人どもが、まったく役に立たない。
そして人気者達は、『友情・努力・勝利』を全面に押し出して、キレイ事を並べ立てて、多数決、という民主主義に訴える迄もなく全員での戦争参加が決定してしまった。
なんとゆーか、こう、流れ的に。
雰囲気的に。
妙に盛り上がってる年長男子……つか、おっさん2人とクラスメイト達。
そんな奴らを、どこかシラケた目で眺める真言。
和樹も乗り気では無いようだ。
「……な~んか、良いコトばっか言ってるけどさ。……戦争って言ってるじゃんか。殺し合いするって、どーゆーコトか、分かってんのかね。後、一番大事なコトスルーしてるよな。……俺ら、帰れるのかよ……」
「……それな」
2人が、盛り上がってる輪からちょっと外れて並んで立っていると。
「……お前らは、冷静だな」
一緒に召喚されてきた、見知らぬおっさんが声を掛けてきた。
最初に声を上げたおっさんだ。
「さっきざっくりとやったけど、改めて。白桜高校3年、紅林真言です」
「あ、オレも。同じく進藤和樹です」
改めての自己紹介と共に、ぺこり、と頭を下げる2人。
それに答えるおっさんも。
「お、こりゃご丁寧に」
頭を下げて、改めての自己紹介を。
「おれは、佐伯冬至ってしがない長距離トラック運転手だ。歳は45な。で……だ」
おっさんは、真剣な顔をして声をひそめて言った。
「……お前らは、どこまで覚えているんだ?」
そして、自分が覚えている限りの召喚直前の出来事を話した。
おっさん曰く。
高速道路を走行中、急に奇妙な光に包まれハンドル操作を誤った……らしい。
「……で、気付いたら、何もない白い部屋に居てな。妙な男が出てきて、アンバランスな子供が出てきて。……あ~、この辺今イチ分かんねーな……」
おっさんは、イラついたよーに頭を掻いて、続けた。
「次の場面は、どっかの公園だ。……と、思ったんだが、どーやらムダに豪華な庭だったようだな。そこで、お前らと一緒にぼーっとつっ立ってた。後は──あの偉そうなおっさんに噛みついたくらいか」
お前らは? と視線で聞いてくるおっさん。
真言と和樹は顔を見合せ、さぁ話し始めよう、とした時。
「では、皆の者。今日のところは各自部屋にてゆっくりと休まれるがいい。明日には皆の職能を調べ、各自に適切な訓練を始めたいと思う。……さすがに今日明日で、いきなり戦場へ行け、などと無情な事を言うつもりはない。……その他、聞きたい事があるのなら各自部屋付きの者に聞くが良かろう。……王太子、王女、それでよろしいですかな?」
宰相の言葉に、王族の2人はただ頷いただけだった。
……王族って、お飾りか?
それとも……?
ちょっと探るような目を王族に向ける真言。
小声でぽつり、と言った。
「……王族って……」
おとなしく、何も言わずに転移者達の行動・言動を観察している王族達。
だが……自分達もまた、同じように観察されているとは思ってもいないようだ。
王太子、と言ってたか。
王太子は、泣き濡れる2人の大人女子を舐めるような目で見つめ。
王女は人気者のグループに目を付けたようだ。
やっぱ目立つヤツは目ぇ付けられやすいんだな~……。
親しいヤツ以外、あんまり気にしないように気配を遮断してた真言である。
……なんでトラックのおっさんに気付かれたんだろう……。
和樹を見てたら、隣りに立ってた俺も視界に入ったってコトかね?
まぁ、マトモそーなおっさんだから、良いか。
あの担任なんか、厨二が爆発してるモンな。
真言は、冷めた……と、いうよりも冷たい目で騒いでいる大人どもを眺めた。
三十路と五十路のおっさんコンビがすっげ~盛り上がってる。
……このテンションが、いつまで続くのやら……。
とりあえず、各自あてがわれた部屋へと移動した。
……個室だった。
ナニ企んでやがる。
部屋付きメイドってヤツが、やたら色目使いながらすり寄ってくるのが鬱陶しい。
ハニートラップにも程がある。
これに引っ掛かるヤツ……居るだろうな、確実に。
女子の方にも、ムダに顔の良い若い男の──執事? 従僕? そーゆーヤツが付いてるし。
ちょっと露骨過ぎないか?
半ば呆れながら、自分の部屋付きのメイドとちょっとした攻防戦を繰り広げている真言。
そんなところに、来客が。
和樹とトラックのおっさんだ。
これ幸いとメイドを追い出して、3人はちょっとした密談を始めた……。
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