287 / 374
撤収!
しおりを挟む
さて。
俺らの拠点跡地にやって来て、さぁ帰還術式を……って時に、思い出した。
結局、銀竜はどーするワケ?
どことなく、すがるよーな目で見てるジェイの視線を受け流しつつ銀竜は。
一度目を閉じてから、心の底を吐露するように。
「叶うのであれば、あるじ様と共に、いつまでも何処までも……と、願うのですが。どうやらそれは、不可能なようですので。支部長様さえよろしければ、マドゥーニーギルドにお世話になりたく思います」
銀竜は、ものスゴ~く残念そうだ。
が、前置きな決断を下したよーで、なにより。
……うん。
元の世界との繋がり──血縁的な、DNA 的なモンが無いと、次元間移動の際にどの辺で、どんな風になるか……皆目見当がつかないんだよな。
移動人数で言ったら、マクリールで聖女ならぬ性女になった、JKの分があるよな?と、調べたんだが。
これ、この術式。
あくまでも帰還術式なんだよ。
帰るっつーか、元に戻すっつーか。
あるべきところに返すだけ。
まったくもって、融通のきかない術式だった。
……親父……。
異世界から、余計なナマモノ持ち込むなってコトかよ。
まぁ、しょーがない。
とりあえず、俺が持っててもしょーがないモノは、全部銀竜にやろう。
俺らが帰った後、それをどうするか、どう使うかはお前の自由だぞ、銀竜。
俺は、俺らが使ってた《壺中天(笑)》、魔改造馬車。
ドランク系のサルどもとか、サメとかエビとかカニとか……。
いろんな素材を丸っと全部。
コピーした異次元倉庫にごっそりと入れて、プレゼントだ。
ある意味、報酬かな?
まぁ、とりあえず。
銀竜よ。
パンダが手ぐすね引いて待ち構えてるから、気をつけろよー。
さて。
帰るにあたって、俺らは拉致られ当時の
格好をしてるワケだが。
久しぶりに制服着たら、モノすげ~違和感。
学ランの首んトコのカラーが、擦れて痛い。
ギルド長は、見馴れない服に興味津々だ。
「……上質な布地に、この縫製技術……。異世界って、凄いわね~」
あの国、たびたび異世界から召喚という名の拉致を繰り返してんだから、少しくらい異世界知識が民間に流出してても……。
「……次代の王族の結婚相手として拉致するんだよ? がっちり抱え込んで、情報は一切洩らさないのが普通じゃないかな?」
あー。
ミヤさんの言うとーりカモな。
あのJK、完璧に隔離されてたしな。
……どーでもいいけどな。
スズとリッカさんは、リドラさんや猫科親子と別れを惜しんでいる。
ミヤさんは、ギルド長とお話中だ。
リーランさんが、鼻息荒く俺の行動すべてを、まばたきすらせず食い入るよーに見詰めているのがなんとなく怖い。
間近で、じゃないのは、銀竜がパンダを押さえてるからだな。
……最後まで済まんな銀竜。
じゃ、そろそろ始めるとするか。
俺は、魔素をたっぷりと取り込んで、真っ黒に染まったペンダントを外して地面に置いた。
丁度《壺中天(笑)》を展開していた中心部あたり、この辺かな? と見当つけてな。
スズにミヤさん、リッカさん。
別れの挨拶は、もう良いか?
左足だけ裸足になって。
俺は皆に声を掛けた。
リドラさんが俺の前に来て。
「……寂しくなるよ、コウ……」
そう言ったリドラさんに、思いっ切りハグされた。
……なかなかの腕力ですな。
地味に痛い。
そして離さない。
離れない。
リドラさん、元気でな。
ギルド長と仲良く……は、俺が言うまでもないか。
ハグっつーよりも、子供が親にしがみついて離れない的な雰囲気のリドラさんの背中を、ポンポンと叩いて。
よーやくリドラさんが離れたと思ったら、猫又母を頭に乗っけたジェイにも。
「お前のおかげで、母者とおれは自由になれた。ありがとう」
「にゃあ」
きゅ、と一回ハグして。
その後ギルド長とリーランさんにもハグされて。
スズ達も、ハグし合って。
最後に銀竜が。
「あるじ様」
思い切りには、本当にいろいろと世話になったな。
元気でやれよな。
「……もったいないお言葉です……」
涙目の銀竜。
気付けば、あっちもこっちも涙目だ。
俺は、裸足の左足──足の裏にある魔法陣が触れるよーに──で、ペンダントを踏み砕き、鍵となる言葉を言った。
「撤収」
俺らの拠点跡地にやって来て、さぁ帰還術式を……って時に、思い出した。
結局、銀竜はどーするワケ?
どことなく、すがるよーな目で見てるジェイの視線を受け流しつつ銀竜は。
一度目を閉じてから、心の底を吐露するように。
「叶うのであれば、あるじ様と共に、いつまでも何処までも……と、願うのですが。どうやらそれは、不可能なようですので。支部長様さえよろしければ、マドゥーニーギルドにお世話になりたく思います」
銀竜は、ものスゴ~く残念そうだ。
が、前置きな決断を下したよーで、なにより。
……うん。
元の世界との繋がり──血縁的な、DNA 的なモンが無いと、次元間移動の際にどの辺で、どんな風になるか……皆目見当がつかないんだよな。
移動人数で言ったら、マクリールで聖女ならぬ性女になった、JKの分があるよな?と、調べたんだが。
これ、この術式。
あくまでも帰還術式なんだよ。
帰るっつーか、元に戻すっつーか。
あるべきところに返すだけ。
まったくもって、融通のきかない術式だった。
……親父……。
異世界から、余計なナマモノ持ち込むなってコトかよ。
まぁ、しょーがない。
とりあえず、俺が持っててもしょーがないモノは、全部銀竜にやろう。
俺らが帰った後、それをどうするか、どう使うかはお前の自由だぞ、銀竜。
俺は、俺らが使ってた《壺中天(笑)》、魔改造馬車。
ドランク系のサルどもとか、サメとかエビとかカニとか……。
いろんな素材を丸っと全部。
コピーした異次元倉庫にごっそりと入れて、プレゼントだ。
ある意味、報酬かな?
まぁ、とりあえず。
銀竜よ。
パンダが手ぐすね引いて待ち構えてるから、気をつけろよー。
さて。
帰るにあたって、俺らは拉致られ当時の
格好をしてるワケだが。
久しぶりに制服着たら、モノすげ~違和感。
学ランの首んトコのカラーが、擦れて痛い。
ギルド長は、見馴れない服に興味津々だ。
「……上質な布地に、この縫製技術……。異世界って、凄いわね~」
あの国、たびたび異世界から召喚という名の拉致を繰り返してんだから、少しくらい異世界知識が民間に流出してても……。
「……次代の王族の結婚相手として拉致するんだよ? がっちり抱え込んで、情報は一切洩らさないのが普通じゃないかな?」
あー。
ミヤさんの言うとーりカモな。
あのJK、完璧に隔離されてたしな。
……どーでもいいけどな。
スズとリッカさんは、リドラさんや猫科親子と別れを惜しんでいる。
ミヤさんは、ギルド長とお話中だ。
リーランさんが、鼻息荒く俺の行動すべてを、まばたきすらせず食い入るよーに見詰めているのがなんとなく怖い。
間近で、じゃないのは、銀竜がパンダを押さえてるからだな。
……最後まで済まんな銀竜。
じゃ、そろそろ始めるとするか。
俺は、魔素をたっぷりと取り込んで、真っ黒に染まったペンダントを外して地面に置いた。
丁度《壺中天(笑)》を展開していた中心部あたり、この辺かな? と見当つけてな。
スズにミヤさん、リッカさん。
別れの挨拶は、もう良いか?
左足だけ裸足になって。
俺は皆に声を掛けた。
リドラさんが俺の前に来て。
「……寂しくなるよ、コウ……」
そう言ったリドラさんに、思いっ切りハグされた。
……なかなかの腕力ですな。
地味に痛い。
そして離さない。
離れない。
リドラさん、元気でな。
ギルド長と仲良く……は、俺が言うまでもないか。
ハグっつーよりも、子供が親にしがみついて離れない的な雰囲気のリドラさんの背中を、ポンポンと叩いて。
よーやくリドラさんが離れたと思ったら、猫又母を頭に乗っけたジェイにも。
「お前のおかげで、母者とおれは自由になれた。ありがとう」
「にゃあ」
きゅ、と一回ハグして。
その後ギルド長とリーランさんにもハグされて。
スズ達も、ハグし合って。
最後に銀竜が。
「あるじ様」
思い切りには、本当にいろいろと世話になったな。
元気でやれよな。
「……もったいないお言葉です……」
涙目の銀竜。
気付けば、あっちもこっちも涙目だ。
俺は、裸足の左足──足の裏にある魔法陣が触れるよーに──で、ペンダントを踏み砕き、鍵となる言葉を言った。
「撤収」
10
お気に入りに追加
574
あなたにおすすめの小説
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
異世界で勇者をやって帰ってきましたが、隣の四姉妹の様子がおかしいんですけど?
レオナール D
ファンタジー
異世界に召喚されて魔王を倒す……そんなありふれた冒険を終えた主人公・八雲勇治は日本へと帰還した。
異世界に残って英雄として暮らし、お姫様と結婚したり、ハーレムを築くことだってできたというのに、あえて日本に帰ることを選択した。その理由は家族同然に付き合っている隣の四姉妹と再会するためである。
隣に住んでいる日下部家の四姉妹には子供の頃から世話になっており、恩返しがしたい、これからも見守ってあげたいと思っていたのだ。
だが……帰還した勇治に次々と襲いかかってくるのは四姉妹のハニートラップ? 奇跡としか思えないようなラッキースケベの連続だった。
おまけに、四姉妹は勇治と同じようにおかしな事情を抱えているようで……? はたして、勇治と四姉妹はこれからも平穏な日常を送ることができるのだろうか!?
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
★恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
連載希望のコメントをいただきましたので、
連載に向け準備中です。
*他サイトでも公開中
日間総合ランキング2位に入りました!
僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~
SHIN
ファンタジー
それは、ある少年の物語。
ある日、前世の記憶を取り戻した少年が大切な人と再会したり周りのチートぷりに感嘆したりするけど、実は少年の方が凄かった話し。
『僕の兄上はチート過ぎて人なのに魔王です。』
『そういうお前は、愛され過ぎてチートだよな。』
そんな感じ。
『悪役令嬢はもらい受けます』の彼らが織り成すファンタジー作品です。良かったら見ていってね。
隔週日曜日に更新予定。
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
[完結]回復魔法しか使えない私が勇者パーティを追放されたが他の魔法を覚えたら最強魔法使いになりました
mikadozero
ファンタジー
3月19日 HOTランキング4位ありがとうございます。三月二十日HOTランキング2位ありがとうございます。
ーーーーーーーーーーーーー
エマは突然勇者パーティから「お前はパーティを抜けろ」と言われて追放されたエマは生きる希望を失う。
そんなところにある老人が助け舟を出す。
そのチャンスをエマは自分のものに変えようと努力をする。
努力をすると、結果がついてくるそう思い毎日を過ごしていた。
エマは一人前の冒険者になろうとしていたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる