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わりとあっさりめ。
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ミヤさんが普段使いしてる魔刃は、魔素──魔力を自分好みの形状にして武器とする……って、ある意味俺らの組織の中じゃメジャーな武器で。
なんせ10~15㎝の……そーだな。
果物ナイフの柄部分だけ、みたいなモノを、握って念じて刃部分を伸ばして使う、みたいな?
刃の形状は普通にナイフ状にしたり棒状にしたり、ミヤさんみたいに糸状にしたり……人それぞれな。
……実は、この糸状ってのが一番タチ悪かったりする。
使用者──この場合はミヤさんか。
ミヤさんが望むまま、対象に絡みつかせて、きゅ、と引けば……。
輪切り胴切り賽の目切りなど、自由自在だ。
真っ向幹竹割り、とかも出来る。
でも、今、ミヤさんの手は空っぽだ。
何も持たずに、ぬるぬる近づいてきた人ウサギを絡め取っている。
……どゆこと?
きょとんとした俺に、ミヤさんは。
「僕さ、本当は道具とかいらないタイプなんだよね。魔力を──魔素を直接糸状にして使うっていうのが、本来のスタイル。魔刃用の道具を使ってるのは、ある意味カモフラージュだよ」
……それ、俺に言っていいんですかね?
俺がじとっとした目でミヤさんを見ると、ミヤさんは。
「君は、僕とは一蓮托生でしょ? 今も、この先も、ね?」
うっわ~……。
なんだその逃がさん、と言わんばかりの目は……。
ミヤさんは、部屋の中程まで近づいてきた人ウサギに。
「ほら。それ以上、僕らに近づくんじゃないよ。病原体なんかと関わりたく無いんだから」
吐き捨てるよーに言って。
思いっ切り、顔をしかめた。
そう言われた人ウサギの方は。
「何なんですかぁ……わたしが動けないの、おにぃさんの仕業ですかぁ~? ……どぉせ動けないならぁ、おにぃさんに、ギュっと抱きしめられて動けないぃ……って方が、いいのにぃ……」
なんかタワゴトを抜かしながら、ムリヤリこっちに近づいてこようとして……。
「あれ?」
「それ以上動いたら、バラバラになるよ?」
人ウサギの全身に、赤い線が走った。
縦に、横に……一辺5㎝ほどの、四角形のラインが幾つも幾つも。
「さて、コウ。病原体の完全処理と行こうか?」
ミヤさんは、俺の方を見て、にっこり……。
目が笑ってないから、ま~怖いこと怖いこと……。
人ウサギは、全身から出血中。
……こいつ……空気感染はしないんだっけ?
確か粘膜感染オンリーだったはずだけど。
……あの変態に、なんか弄られてるよな、こいつ。
「あー……じゃ、とりあえず多重結界」
人ウサギを、結界の中に閉じ込めた。
「ミヤさんがバラしたら、結界の中で徹底的に焼却処分、で、いいですかね?」
「消毒も兼ねるんだね? それでいいよ」
淡々と人ウサギの処分方法を話し合う俺らに、人ウサギは。
「そっちの赤い子はぁ~、キレイな顔してるのにぃ、なんでヒドいコトしか言わないんですかぁ……。あぁ、わたしがおにぃさんのコトばかり見てるのがぁ、気に入らないとかぁ~?」
だらしなく、にたあ……と、顔を笑みの形に歪めて。
「大丈夫ですよぉ~。おにぃさんと一緒にぃ、可愛がってあげますよぉ~……。あぁんなコトも、こぉんなコトも、ねぇ~?」
ゆるんだ口元から、たらーり、と……。
うわ、ヨダレたらしやがった。
白痴ってヤツか?
そして、うごうご動こうとして、身体に糸が食い込んで血がしたたっている。
痛みを感じて無いのか。
「あ~、もう! 動けないぃ……。おにぃさぁん、これじゃあ、いいコトできないじゃぁないですかぁ……。はやく……」
「うるさいよ」
ミヤさんは、冷たい目を人ウサギに向け、氷のように冷たく、鋭い声で切って捨てた。
そして、指を軽く蠢かせた。
「あひゃ?」
おかしな声を残して、人ウサギは解体された。
そりゃもうバラバラに。
「あー……。んじゃ、《業火》」
人ウサギだったモノは、一気に燃え上がった。
赤ではなく、蒼白い焔が結界の中でごうごうと燃え上がり、そして燃え尽きた。
骨のひと欠片も残さなかったのに、魔石だけが残った。
どんよりと赤く濁った、どこかいびつな石だった。
「コウ、魔素はどうかな?」
ミヤさんは、人ウサギの魔石を爪先でつつきながら言った。
「あー。……もうちょいってトコですかね」
魔素回収用のペンダントは、かなり濃い色に染まった。
あと一息ってカンジだ。
「そう。……じゃ、コレはいらないね?」
そう言って、ミヤさんは人ウサギの魔石を粉々に踏み砕いた。
なんせ10~15㎝の……そーだな。
果物ナイフの柄部分だけ、みたいなモノを、握って念じて刃部分を伸ばして使う、みたいな?
刃の形状は普通にナイフ状にしたり棒状にしたり、ミヤさんみたいに糸状にしたり……人それぞれな。
……実は、この糸状ってのが一番タチ悪かったりする。
使用者──この場合はミヤさんか。
ミヤさんが望むまま、対象に絡みつかせて、きゅ、と引けば……。
輪切り胴切り賽の目切りなど、自由自在だ。
真っ向幹竹割り、とかも出来る。
でも、今、ミヤさんの手は空っぽだ。
何も持たずに、ぬるぬる近づいてきた人ウサギを絡め取っている。
……どゆこと?
きょとんとした俺に、ミヤさんは。
「僕さ、本当は道具とかいらないタイプなんだよね。魔力を──魔素を直接糸状にして使うっていうのが、本来のスタイル。魔刃用の道具を使ってるのは、ある意味カモフラージュだよ」
……それ、俺に言っていいんですかね?
俺がじとっとした目でミヤさんを見ると、ミヤさんは。
「君は、僕とは一蓮托生でしょ? 今も、この先も、ね?」
うっわ~……。
なんだその逃がさん、と言わんばかりの目は……。
ミヤさんは、部屋の中程まで近づいてきた人ウサギに。
「ほら。それ以上、僕らに近づくんじゃないよ。病原体なんかと関わりたく無いんだから」
吐き捨てるよーに言って。
思いっ切り、顔をしかめた。
そう言われた人ウサギの方は。
「何なんですかぁ……わたしが動けないの、おにぃさんの仕業ですかぁ~? ……どぉせ動けないならぁ、おにぃさんに、ギュっと抱きしめられて動けないぃ……って方が、いいのにぃ……」
なんかタワゴトを抜かしながら、ムリヤリこっちに近づいてこようとして……。
「あれ?」
「それ以上動いたら、バラバラになるよ?」
人ウサギの全身に、赤い線が走った。
縦に、横に……一辺5㎝ほどの、四角形のラインが幾つも幾つも。
「さて、コウ。病原体の完全処理と行こうか?」
ミヤさんは、俺の方を見て、にっこり……。
目が笑ってないから、ま~怖いこと怖いこと……。
人ウサギは、全身から出血中。
……こいつ……空気感染はしないんだっけ?
確か粘膜感染オンリーだったはずだけど。
……あの変態に、なんか弄られてるよな、こいつ。
「あー……じゃ、とりあえず多重結界」
人ウサギを、結界の中に閉じ込めた。
「ミヤさんがバラしたら、結界の中で徹底的に焼却処分、で、いいですかね?」
「消毒も兼ねるんだね? それでいいよ」
淡々と人ウサギの処分方法を話し合う俺らに、人ウサギは。
「そっちの赤い子はぁ~、キレイな顔してるのにぃ、なんでヒドいコトしか言わないんですかぁ……。あぁ、わたしがおにぃさんのコトばかり見てるのがぁ、気に入らないとかぁ~?」
だらしなく、にたあ……と、顔を笑みの形に歪めて。
「大丈夫ですよぉ~。おにぃさんと一緒にぃ、可愛がってあげますよぉ~……。あぁんなコトも、こぉんなコトも、ねぇ~?」
ゆるんだ口元から、たらーり、と……。
うわ、ヨダレたらしやがった。
白痴ってヤツか?
そして、うごうご動こうとして、身体に糸が食い込んで血がしたたっている。
痛みを感じて無いのか。
「あ~、もう! 動けないぃ……。おにぃさぁん、これじゃあ、いいコトできないじゃぁないですかぁ……。はやく……」
「うるさいよ」
ミヤさんは、冷たい目を人ウサギに向け、氷のように冷たく、鋭い声で切って捨てた。
そして、指を軽く蠢かせた。
「あひゃ?」
おかしな声を残して、人ウサギは解体された。
そりゃもうバラバラに。
「あー……。んじゃ、《業火》」
人ウサギだったモノは、一気に燃え上がった。
赤ではなく、蒼白い焔が結界の中でごうごうと燃え上がり、そして燃え尽きた。
骨のひと欠片も残さなかったのに、魔石だけが残った。
どんよりと赤く濁った、どこかいびつな石だった。
「コウ、魔素はどうかな?」
ミヤさんは、人ウサギの魔石を爪先でつつきながら言った。
「あー。……もうちょいってトコですかね」
魔素回収用のペンダントは、かなり濃い色に染まった。
あと一息ってカンジだ。
「そう。……じゃ、コレはいらないね?」
そう言って、ミヤさんは人ウサギの魔石を粉々に踏み砕いた。
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