何処の何方か知りませんが……。

中央

迎えに来たのは子爵家の執事で

紳士はお怒りのようだ。
こちらを気にしながら女達に説教を始めた。
……。
どーやら、この女達は子爵令嬢と付きの護衛侍女で、子爵家が小金持ちなモンで、ある程度好き勝手がきくのを良い事に、伯爵家と縁結びしようと金にモノを言わせたが、伯爵子息がトンでもないシスコンだったモンで、思惑通りに行かなかった、と。だからって、似た顔の男に絡む理由にゃならんよな？無関係なのに巻き込まれた不幸。
で、何気なく自己紹介してきた紳士。
つか子爵家の執事。
思わず愚痴ってしまったよ。
初対面の男の家に押しかけてきて、一方的に自分の都合を押し付けてくるのが中央の女か、人ん家に押しかけてきて茶菓子を要求して全部平らげた上で更に要求してくるとか、令嬢のやる事か。

「辺境の人間だってそこまで図々しい真似はしないぞ。中央の人間の思考パターンが理解できない」

ホント、どんな教育受けてんだ？　

紳士は……子爵家の執事はコメカミのあたりを指先で揉み込むような仕草をして、しみじみと言った
。
「教育を誤ったようです……」

正しい御令嬢とは言えない、と執事が認めてるって、どーゆー令嬢だよ？

なんとも言えない雰囲気の中、問題の令嬢とそのお付きは茶菓子を要求してくる。
子爵家の執事はどーしてくれよう……って顔になってる。
執事がお嬢様を見るような顔じゃない。
ものすごく微妙な客間の中。
微妙な雰囲気をブチ壊すようにしてやって来たのは我が義兄だった。