何処の何方か知りませんが……。

中央

ファランギル辺境伯別邸・２

中央で流行りの菓子と共に、辺境の濃く出した茶が供された。
必要以上に甘い菓子に、以外と合う辺境の茶。
ちょっと苦味のある茶。
めちゃくちゃ甘く感じるが……嫌いじゃないこの組み合わせ。

義兄は甘いモノはあまり好まない……はっきり言って、嫌いだが。
この、辺境の茶に合わせる中央の菓子は好んで口にする。
って言ってる側から俺の分にまで手を出して、エリオットに行儀が悪い！と説教くらってる。

義兄……。



とりあえず、来る時に遭遇した妙な女の話題で場の空気を変えた。

「……それは、エムス伯爵家のご令嬢ですか」

エリオットの眉間に、くっきりと縦ジワが刻まれた。

「また面倒な令嬢に目を付けられましたね」

俺に絡んできた様子を思い出して、しみじみと思ったのは、やっぱりあの女、地雷女か……ってこと。
うわ、と思ってたらジルからの新たな情報が。
曰く、エムス伯爵家の長男、俺によく似てるらしい。

えええ～。