307 / 381
vs. 王族あんど……。
原因の1つ……っつーか、1人。3
しおりを挟む
娘の洗礼か、すべてを瓦解させた。
夫の子では無い、と発覚してしまったのである。
ブランシェット侯爵家には、その血統による術式を継承するべき義務があった、らしい。
すでに失われた術式ではあるか、その血統を保つ義務はいまだに続いている、らしい。
娘には、ブランシェットの血は流れていない。
そして、ブランシェットの親戚筋は、絶えて久しい。
不幸な事故や流行り病で、ことごとく絶えてしまっていた。
だからこそ、生まれてきた娘はもちろん、産んだ自分も、それはそれは大切にされていたというのに……。
不快な事まで思い出してしまった。
一瞬顔を歪めたローズマリーであったが、すぐに思考を切り替えると狂い咲きの花のような笑みを夫に向け。
ゆっくりと立ちあがり、夫に近寄ろうと……。
「僕の領地が嫌だというのなら、カルギリア公爵にお願いして、君にふさわしい場所を用意してもらおう」
感情の欠片も無い表情で、淡々とそう言うと。
テオドールは、ローズマリーの極近く──それは、主従だとはとても言えないほど近く──に居た、ローズマリー気に入りの執事(名目だけ)に向かって。
「これは決定事項だ。ここは僕の、ブランシェット侯爵家の敷地だ。僕の決定が気に入らないのなら、早々にローズマリーと共にカルギリア公爵家へ戻ればいい。……お前を雇っているのは、カルギリア公爵家だものな。彼女と行くのだろう?」
まぁ、当然だろうけど。
そう嘯くと、テオドールはローズマリーに視線もくれずに立ち去った。
後に残されたのは、状況を把握しきれていないローズマリーとその愛人(事実)だけだった。
夫の子では無い、と発覚してしまったのである。
ブランシェット侯爵家には、その血統による術式を継承するべき義務があった、らしい。
すでに失われた術式ではあるか、その血統を保つ義務はいまだに続いている、らしい。
娘には、ブランシェットの血は流れていない。
そして、ブランシェットの親戚筋は、絶えて久しい。
不幸な事故や流行り病で、ことごとく絶えてしまっていた。
だからこそ、生まれてきた娘はもちろん、産んだ自分も、それはそれは大切にされていたというのに……。
不快な事まで思い出してしまった。
一瞬顔を歪めたローズマリーであったが、すぐに思考を切り替えると狂い咲きの花のような笑みを夫に向け。
ゆっくりと立ちあがり、夫に近寄ろうと……。
「僕の領地が嫌だというのなら、カルギリア公爵にお願いして、君にふさわしい場所を用意してもらおう」
感情の欠片も無い表情で、淡々とそう言うと。
テオドールは、ローズマリーの極近く──それは、主従だとはとても言えないほど近く──に居た、ローズマリー気に入りの執事(名目だけ)に向かって。
「これは決定事項だ。ここは僕の、ブランシェット侯爵家の敷地だ。僕の決定が気に入らないのなら、早々にローズマリーと共にカルギリア公爵家へ戻ればいい。……お前を雇っているのは、カルギリア公爵家だものな。彼女と行くのだろう?」
まぁ、当然だろうけど。
そう嘯くと、テオドールはローズマリーに視線もくれずに立ち去った。
後に残されたのは、状況を把握しきれていないローズマリーとその愛人(事実)だけだった。
10
お気に入りに追加
407
あなたにおすすめの小説
子連れの元悪役令嬢ですが、自分を捨てた王太子への復讐のために魔獣討伐師を目指します!
アンジェロ岩井
ファンタジー
魔法学園のパーティーに来賓で訪れた王太子妃にして公爵令嬢のアイリーン・カンタベルトは突然、自身の夫であり国の王太子であるルシア・ソーインツベルに離婚を突き付けられた上に『稀代の悪女』のレッテルを貼られ、処刑されそうになってしまう。
あまりにも理不尽な仕打ちに、彼女は最愛の娘と共に彼らの元を離れ、国の中に巣食う魔物を狩る魔獣討伐師、またの名を魔物狩人として生きながらえる事を決意した。
これは、そんなアイリーンが娘のシャルロッテと共に魔物狩人としての仕事をこなしながら、各地を回り『聖女』の地位と自らの信用を取り返すまでの物語。
ーー
更新頻度は多めの予定です。
殿下から婚約破棄されたけど痛くも痒くもなかった令嬢の話
ルジェ*
ファンタジー
婚約者である第二王子レオナルドの卒業記念パーティーで突然婚約破棄を突きつけられたレティシア・デ・シルエラ。同様に婚約破棄を告げられるレオナルドの側近達の婚約者達。皆唖然とする中、レオナルドは彼の隣に立つ平民ながらも稀有な魔法属性を持つセシリア・ビオレータにその場でプロポーズしてしまうが───
「は?ふざけんなよ。」
これは不運な彼女達が、レオナルド達に逆転勝利するお話。
********
「冒険がしたいので殿下とは結婚しません!」の元になった物です。メモの中で眠っていたのを見つけたのでこれも投稿します。R15は保険です。プロトタイプなので深掘りとか全くなくゆるゆる設定で雑に進んで行きます。ほぼ書きたいところだけ書いたような状態です。細かいことは気にしない方は宜しければ覗いてみてやってください!
*2023/11/22 ファンタジー1位…⁉︎皆様ありがとうございます!!
【完結】悪役令嬢の断罪現場に居合わせた私が巻き込まれた悲劇
藍生蕗
ファンタジー
悪役令嬢と揶揄される公爵令嬢フィラデラが公の場で断罪……されている。
トリアは会場の端でその様を傍観していたが、何故か急に自分の名前が出てきた事に動揺し、思わず返事をしてしまう。
会場が注目する中、聞かれる事に答える度に場の空気は悪くなって行って……
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
婚約破棄?とっくにしてますけど笑
蘧饗礪
ファンタジー
ウクリナ王国の公爵令嬢アリア・ラミーリアの婚約者は、見た目完璧、中身最悪の第2王子エディヤ・ウクリナである。彼の10人目の愛人は最近男爵になったマリハス家の令嬢ディアナだ。
さて、そろそろ婚約破棄をしましょうか。
婚約破棄を目撃したら国家運営が破綻しました
ダイスケ
ファンタジー
「もう遅い」テンプレが流行っているので書いてみました。
王子の婚約破棄と醜聞を目撃した魔術師ビギナは王国から追放されてしまいます。
しかし王国首脳陣も本人も自覚はなかったのですが、彼女は王国の国家運営を左右する存在であったのです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる