笑顔でナニ言ってんですか？

vs. 王族あんど……。

少女趣味か？

白をベースに、所々に濃い茶色や黒でアクセントをつけて、落ち着いた雰囲気を醸かもし出している。
だが、カーテンやクッション等、小物類がすべてレースやフリルやリボンで飾られているという時点で微妙に年齢にそぐわないんじゃね？　と言いたくなる。
それが、前セリス伯爵夫人カレンばーさんの部屋である。

当然、ベッドルームもまたフリルでフリフリ、レースひらひらである。
……ばーさんが、繊細なレースやブリブリのフリルに囲まれているのって、どーなんだろう……。

ま、本人の趣味嗜好だからね。
誰かが迷惑被ってるって話も無いし。
放置の方向で、いいんじゃね？



で。
そのレースやフリルに囲まれたベッドルームの、白い天がい付きベッドで。
ばーさんカレンは、悪夢に襲われていた。

今、ばーさんが見ているのは今は亡き我が子クラウディア。
孫娘の口から聞かされた、クラウディアを襲ったあーんな事やこーんな事が目の前をくるくると場面を変えつつ迫ってくる。
そして、孫娘からの糾弾の声。

「母がそんな目にあってる時、アンタ達は一体ナニをしていた？」

ふ、と気付けば。
目の前には悲しげな目をしたクラウディアが。
婚礼の日の、白い花嫁衣装に身を包み。
本来なら、人生で一番晴れやかな、笑顔満載であるはずの、『本日の主役』の娘クラウディアは。

「………」

ナニかを諦めたような、憂うれいのある表情で、ただじっ……とカレン母を見ている。

「……ク…ラウディ…ア？」

思えば、これは実際に、クラウディア娘の婚礼の日に見た表情だ。
その時は、緊張してるのだろうとさほど気にも止めなかったのだが。

今にして思えば、違和感がつきまとう。
ハレの日に、何故あの子はあんな表情だったのだろう……？