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vs. 王族あんど……。

あれは、誰だ?

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とりあえず、貴族御用達の高級宿“虹の揺りかご”に特攻かましたケヴィン・ザカライアスとその従者、エリス・ゴードンだったが。

ナニかしら、ブランシェット侯爵の娘の情報を取りたいケヴィンと、もうめんどくさい……と本気で考えてるエリスとの間には、かなり温度差があった。

都合のいい偶然を期待するケヴィンに、エリスが半ば呆れたように言った。

「職業倫理とか、守秘義務とかあるんじゃないですかね、こういう場所で働いてる人達って。いくら貴方がここの領主様の息子だからって、そんな簡単に利用客の情報を漏らすような従業員は居ないでしょうよ。実際、受付でナニ気なくブランシェット侯爵一行の事を聞いて、さりげなく拒否されたじゃあないですか」

なんでバカ正直に、正面からぶつかっていこうとするのか。

ボヤくようにぶつぶつと言ったエリス。
かわいい顔が台無しである。

真正面から正論をぶつけられて、ケヴィンは面白くない。
口をへの字に曲げて、むすっとしてる。

子供か。

……あ、コイツ15歳だったね。
コールと同い年だ。
じゃあ、子供扱いでいいんじゃないか?

ケヴィンは、妙なところで素直だった。
むぅ……と考え込む主人ケヴィンと、まだ帰らないのかな~、茶のおかわりしたいな~、ついでに小腹が空いたから、何かつまみたいな~……と、既に思考が明後日あさっての方に突進している従者エリスとのギャップ。
そんな温度差の激しい2人の前にその人が現れたのは、偶然の一致か。
はたまた運命のイタズラか。



その人は、何か、どこかちぐはぐな印象だった。

年の頃は、30前後。
女性、というよりも淑女と呼ぶべきだろう。
柔らかそうな、茶色のゆるふわな髪を緩く一つにまとめ。
控え目な化粧に、肌を見せない長袖の、高位貴族のお仕えです、と言わんばかりの黒いロングワンピース。
そのたおやかな物腰と立ち居振舞いは、完璧な淑女である。
が。
がっしりとした体格と、それに見合う長身。
必要以上にタップリと布を使った、ワンピースのスカート部分。

………。
なんだろう?
なんか、何かが……。

「……女性にしちゃ、でっかくないか?」
「失礼ですよ。世の中には、でっかい淑女だって、いるでしょう?」

2人そろって、小首を傾げる主従。
なんだかんだ言って、仲良しさんのよーだ。

良かったな。







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