笑顔でナニ言ってんですか?

庭にハニワ

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vs. 王族あんど……。

ある意味、コイツも被害者?

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サルファー王国の王都に、王宮並みに自己主張の激しい貴族の邸宅がある。もう、館っていうより城って言ってもよくね? ってくらいに豪華な館は、カルギリア公爵家の街屋敷である。
救いは、王宮よりは規模が小さめだ、という事くらいだろうか。



その豪華な館の一室に、赤みがかった金髪の40前後の紳士が1人。
苦虫を噛み潰したような顔で。レザーのソファーに身を預けていた。

紳士の名は、ステファン・カルギリア。
現カルギリア公爵である。

ステファンは、公爵家の影働きの者からの報告を聞いて──。

「………」

沈痛な面持ちでコメカミのあたりを指でぐりぐりと刺激していた。
アタマが痛い、というより段階を通りすぎて頭痛が痛い。
父──先代カルギリア公爵スチュワート・カルギリアの愚行をどうやって阻止すればいいのか、その一点に意識が集中していた。

祖父スチュワートは、妹のローズマリーを可愛がっていた。
そのかわいいかわいい孫娘のおねだり、とはいえ。

「さすがに公私混同が過ぎるのではないだろうか……」

ため息混じりに呟く公爵。
苦悩する紳士。

そんなステファンの様を垣間見たら、悶える婦女は数知れず……となるだろうが。
残念な事に、あるいは幸いな事に、今この場にはステファン以外は存在しない。



先代公爵スチュワートは、ローズマリーにねだられるまま公爵家の私兵や影達を使い、いたずらに数を減らし。
スチュワートの私財だけでは足りなくなったのか、公爵家の資産を着服してローズマリーに渡していた。
それでも足りぬ、と更なる使い込みを企んでいるらしい。

「本当に、父はどうしてしまったのか……」

何かおかしな病でも患っているのだろうか。

娘の、ローズマリーのおねだりは、孫娘に甘い祖父にだけ向けられた訳ではない。
ローズマリーの父である、ステファンにもまた。

『ねぇ、お父さま? かわいい娘のお願い、聞いて下さるでしょ?』

と、甘ったるい声でねだってきていた。



「金の無心だけではなく、有能な人材も寄越せ、などと……」

影働きの者達が使いモノになるまで、どれだけの時間と費用が掛かると思っているのか。
アレは本当に、自分に都合のいい事しか見ていない。

そろそろ本格的に、どうにかする事を考えた方がいいのかもしれない。

老害と化した父や、他家に嫁いだ娘にカルギリア公爵家を食いモノにされてはたまらない。

それにしても……。

「ローズマリーは、ブランシェット侯爵家に嫁いで10年以上経つというのに、まだ公爵令嬢のつもりでいるのか……」

ローズマリーがかなり幼い段階で、あ、この娘、ちょっとおかしい……と思ったのだが、スチュワートが猫可愛がりしていた為に、どうにも出来なかった過去がある。

「まったく……ナニユエにあんな娘に育ってしまったのか……」





ステファン・カルギリア。
現カルギリア公爵。
ローズマリー・カルギリア・ブランシェットの父。


スチュワート・カルギリア。
先代カルギリア公爵。
ローズマリー・カルギリア・ブランシェットの祖父。






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