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vs. お貴族サマ。

銀狼の昔語り。2。

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暗黒大陸の民の名前は、基本的に長い。
それは周知の事実だが、森の民もなかなかの長い名前だった。

「……カリ……う?」
「黒師匠も長い名前だったけど、この人もまた長い名前だなぁ」
「……うん。無理」

コールは、あっさりと白子の森の民──カリオネスルルティアナの名前を呼ぶ事を諦めた。
早ぇよ。

「む?」

そんな諦めの早いコールをみて、白い人ことカリオネスルルティアナは。

「我が伴侶となるベスティアランララバルドロイブルーンドガエルディアビスーリアナを黒師匠と呼ぶか。では、わたしの事は、白師匠と呼ぶがいい。黒と白。対となるモノであるな」

ちょっと小首を傾げていた白い人は、何故か1人悦に入っていた。
ナニ考えてたんだろーな。
ロクでもない事だろう。
目と唇以外は真っ白なはずの森の民は。
なんだかうっすらとピンクに染まってた。
コールの教育に悪いんじゃね? と思ったのはナイショだ。



当人が白師匠と呼べ、って言ったし。
そんな理由でしばらくの間、一緒に行動する事になったその日の晩。

金の節約の為に、宿は3人一緒の部屋に泊まってたんだが。

すやあ……と、コールが寝入った頃。
白師匠は、コールを起こさないようにか小声で俺に囁いてきた。

「のう、あの娘だが……身の内に、面倒の元となる因子を抱えておるな」
「……は?」

突然ナニ言ってんだ?
意味が分からん、何だコイツ?

俺がジト目で白師匠を見やるのも、まぁ当然だよな。

いきなり娘に問題あり、とか言われて、ああそーですか……とはいかないだろ。

俺の反応を見た白師匠は、1人納得して。

「うむ。さすがに何の対価も報酬も無しで、我が知識を分け与える訳にはゆかぬしな。娘の中から、その余計な因子をすべて取り除き、それを我が知識の対価としよう。うむ。人の子の短い生涯には特に必要の無い因子であるから、ありがたく思うがよいぞ」
「……短いって決めつけんなよ」

すっげー良いコト言った、みたいな雰囲気をかもし出してる白師匠に、とりあえず突っ込んだ俺だ。

だが白師匠は、逆に不思議そーな顔で。

「? たかだか7~80年の人生など、短いものではないか?」
「……あ~……。長命種にとっちゃ、人族の寿命なんかあっという間か」
「然り」

森の民って、軽く4~500年以上生きるもんな。
なんか納得しちまった。






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