笑顔でナニ言ってんですか?

庭にハニワ

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vs. お貴族サマ。

盛ってみた。

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まんまと一服盛られて、呆けてるお貴族サマ2人とそのお付き2人。

いや~、ものの見事に食らってくれたね。

……ま、仕掛けたのは私だけどな。



「……しょーがねえな」

そんなコトを言いながら、ナガツキさんが半笑いで自分の魔法収納袋から敷物を引っ張り出して、執務室の隅っこにべろん、と広げた。
そして、おやじ殿と2人して立ったまんまで寝トボケている無駄に器用なお付き2人を転がした。

「これでいいだろ?」
「あ~、いいんじゃね?」

おっさん2人──パッと見同年代とはとても思えない──が、仲良く肉体労働を済ませた。

お付き2人は、すやすや眠ったまんまだ。

よし。
しばらくそのまま静かに寝コケているがいい。



「……で? コール」

おやじ殿が元の席に戻りながら、ちょっと投げやりに言った。

「お前、ナニやらかしたよ?」

えー。

ちょ~っと素直になる術をお貴族サマ2人に。
口出しされると邪魔だから、お付き2人にはよーく眠れるおクスリを。

「大丈夫大丈夫。副作用も常習性も中毒性も無い、とっても都合の良いおクスリだから」

食堂で用意してもらったお茶セットだけどさ。
セッティングしたのは誰だと?

……私だ。

その時に、折を見て隙を見て一服盛ってみた。

お貴族サマ2人には、質問されたコトには全部素直に答える──言わなくてもいいコトまで、全部ぺらっとしゃべるってぇ自白剤を。
お付き2人には、無難に即効性の睡眠薬を、な。
たとえ解毒作用の魔法具とか持ってたとしても──お貴族サマなら持ってるだろうね──クスリが良く効くように、ちょいと術を仕掛けながら、ね。



お茶を配った後、私はず~っと周囲から見えないトコで密かに、ささやかに行動していた。

具体的にいうと、テーブルの下で膝の辺りで。
親指の爪で、中指の爪をかしり、かしり、とリズミカルに弾いて。
極々小さな音を鳴らした。
ささやかな音──空気の振動によって、使用された薬物の効き目を思うがままに左右する……って。
白師匠の妖術に、そんなのがあったんだよね。
ちなみに、薬物の方は黒師匠の専売特許だ。
両方を併用してみた。
黒白師匠達の技術は、とってもお役立ちだね。



などとサラッと答えたら。
おやじ殿は、無言で自らの頭を抱えた。
ナガツキさんは。

「もう耐えられない!」

って、ゲラゲラ笑ってるし。

組合長は。

「……ん~……。まぁ、別に命に障りが無い、というんなら……良い、かの?」

半笑いで小首を傾げていた。

うん。
いいんじゃね?

あんまし深く考えんなよ。
疲れるダケだぞ。







 
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